連続ノンフィクション小説 ダムロン物語~あるチェンマイやくざの人生~ 第36話~第40話 by蘭菜太郎

ダムロン物語
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これは、私が民芸品やルビー、サファイヤなどの色石を買いつけるために、チェンマイを頻繁に訪れているうちに縁あって知り合い、後に私の親友となったタイ人のダムロンとその家族の話である。
彼の波乱万丈の人生はいまだに続いており話は完結してないが、彼と知り合ってから34年の途中経過として、この話を記することにする。【蘭菜太郎】

>>>登場人物紹介

≪注≫本文中に登場する人物などは、すべて仮名です。また、写真と本文とは一切関係ありません。【ガネッシュ】

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第36話:一家の光と陰

ウィラットは「オレの紹介したあの弁護士は、以前うちの署長とどなりあいのケンカをしても一歩も引かなかった猛者で、しかもすごく頭のキレる奴なんだ。ほとんどの警官が彼を知っており、みんな一目置いている。本当に頭のいい奴は敵を作らず味方を作るんだな。検事局の中でも、彼には一目置く人間が多いんだ。
あの時はチェンマイ警察の管轄からはずされていたのでオレは何もできなかったが、起訴を決定する検事局は同じなので、きっと役に立ってくれると踏んで無理やり頼んだんだ。結果はご存じの通り、望み得る以上のものだった。弁護士の仕事も最高だったし、ダムロンの完全黙秘もすごかった。聞いた話では、取り調べ中捜査官にいくらどなられようが殴られようが、ただジッと怖い目を向けるだけでウンともスンとも言わないので、捜査官はえらく薄気味悪がっていたそうだよ。普通、そこまで黙秘を通せる奴はいないからな。知っての通り、ダムロンは肝の座りかたが普通ではないんだ。もしかしたら、奴は完全に無神経なのかもしれないな。」とか言っている。
パンやブンは、「お前ら、真面目にやってるのか!」とどなられるのが怖くて普段ウイラットにはあまり近づかないが、私が楽しそうに話してるので安心したのか、2人ともそばに来て話を聞きながら笑っている。ティップもこれを聞き、声を上げて大笑いしている。「おいおい、いくら何でも主の留守にさんざんタダ飯食らって、おまけに主の悪口を言って、みんなでさんざんの笑い者はないだろう。」と言うと、それもそうだな、ということでまたみんな大笑いしていた。

この時はみんな、もうすぐダムロンが帰って来るとの思いで、とても浮かれていたのである。ウィラットがティップの夢見るような浮かれた様子を見て、「見てみろよ。まるで嫁入り前の小娘のようにはしゃいでるぜ。まったくやってらんないね。」とか言って、笑っていた。

しかし、後から思えばこの時にはもう、ダムロンが戻ってもすでにどうにもならないほどの数々の悪い要因に、この家族はガッチリと捕らえられていたのである。ところが、その悪い要因に気がつくのはそれから2年近くもたってからで、次々と不幸が訪れ始めるまでの2年間が、この家族の幸福の絶頂期でもあった。しかも、その幸福の大部分はティップとダムロンのもので、ケオやソムサックや彼らの家族には幸福は少ししか行き届かなかったようだった。この時にも、みんなが縁台のまわりに集まって楽しそうにしているのを、ケオとソムサックがそれぞれの家から、暗い目で見ていたのを印象深く覚えている。この家族の悪い要因の第1番目と第2番目はもうすでに、他人との心のつながりを喜びあうような精神的な余裕を失っていて、ただ酒と麻薬に溺れてしまっていた。2人とも何の仕事をするでもなく、相変わらず家族に見張られながらの生活に甘んじていたのだった。
ソムサックの奥方のニンは、ソムサックが酔って手を上げたとのことで、この時にも実家に帰っていなかった。一方のケオの奥方ボアライは家に引きこもってほとんど顔を見せないが、やんちゃ盛りの2人の息子がとても不憫に思われてならなかった。

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