かつてはジョグジャカルタと並んで王朝が栄え、まだそれほど都市化が進んでいないことからひと昔ふた昔前のチェンマイにも少し似た雰囲気を持つインドネシアの古都ソロ(スラカルタ)。
明日からは郊外にあるスポット巡りをするつもりなのでこの日が市内観光の最終日となるのだが、まず街のほぼ中心部にある王家第2王宮で現在も王族が暮らしているマンクネガラン王宮(イスタナ・マンクネガラン)を見た後、そのすぐそばにあるアンティークや古い民具などを売る「トリウィンドゥ市場」をブラブラした。
次は、街の東寄りにある市内最大規模だという市場に行くつもりだったのだが、トリウィンドゥ市場を見終わった時点で12時を回っており、調べてみると目的地までは徒歩で20分たらずのようなので、のんびり歩きながら途中でランチを取りつつ向かうことにした。
目的地への道はそこそこの広さのある通りで、食堂のような店がところどころに建っている。
昼時なのでどこもそこそこ人が入っており、「さて、どこで食べようかな~」と思案しながら歩いていると、何やらものすごくいい香りがしてきた。
どうやら、この店からただよってきているぞ。
店の看板を見てもたぶん「9時半開店」と書かれているのであろう以外のことはさっぱりわからない。
こういう時に役立つのはグーグル翻訳なのだが、店の前に立ち止まってスマホ開いてイチイチ調べるのは正直って面倒くさいし、あとで調べてみたら大きく書かれている「tengkleng」も「klewer」も出て来なかった。
店の中をのぞいてみると、客はいるものの混みあっている感じではなく、言葉のできない外国人が入っていっても迷惑がられるようなことはなさそうなので、思い切ってここで食べてみることにした。
店内は、長テーブルにタイでもよく見るような丸い座面の安っぽいイスが置かれているだけだった。
キッチンと思われる場所は、ガラ~ンとしていた。
とりあえず空いている席に座ると、おばさんが「さて、外国人が来ちゃったけどどうしたものか……」みたいな顔をしながら近づいてきたので、周囲のテーブルを見渡すとみんな同じものを食べている。
おそらくいい香りを放っていたのはこれであり、しかもみんなが食べているということはここではこの料理一択なのだろう、と判断して、近くの人が食べていたその料理を指さしで注文した。
料理が出てくるのを待つ間周りを見回してみると、テーブルの上に大きくて透明な箱が置かれている。
エビの絵が描いてあるところを見ると、エビせんべいなのだろう。
ちょっと興味をひかれたのだが、箱の中があまりきれいではなかったし、まずはオーダーした料理に集中しようということで手は伸ばさなかった。
しばらくすると、料理が運ばれてきた。
ひとつはスープ煮にようなもので、それにご飯がついている。
スープには骨付きの肉がゴロゴロ入っていて、上には赤唐辛子が乗せられていた。
どんぶりの脇には、串に刺さった内臓(?)も添えられている。
スープ煮のどんぶりに顔を近づけて、香りをかいでみる。
う~ん、すごくいい!!
ほのかなカレーのような香りなのだが、かなり複雑なのだ。
たぶん、肉に色々な野菜や香辛料をプラスして煮込んでいるのだろう。
一口スープをすすってみると、実に繊細な味だ。
ベースは塩味なのだがそれはごくごく薄く、やはりさまざまな味が入り混じっている。
しいて例えるとすれば、味のすごく薄いスープカレーと言ったところだろうか。
肉は、おそらくヤギだろう。
が、骨に肉はほとんどついておらず、どちらかというとダシを取るのがメインのようだ。
何より、ヤギ独特の臭みがまったく感じられないのがすばらしい。
キチンと手をかけないと、絶対にこういう仕上がりにはならないはずだ。
あまりにおいしくてあっという間に平らげてしまい「もう一杯!」と言いたくなりそうだったが、もう13時を回っていたし夕食もあるのでグッとがまんした。
言葉はまったく通じなかったけれど、お会計をして店のおばさんと笑顔で別れ、気を取り直してたぶん40度近い猛暑の中を目的地の市場に向けて再び歩き出した。
しかし、この料理、名前は何というのだろう???
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