かつてはジョグジャカルタと並んで王朝が栄え、まだそれほど都市化が進んでいないことからひと昔ふた昔前のチェンマイにも少し似た雰囲気を持つインドネシアの古都ソロ(スラカルタ)。
ボロブドゥール遺跡のような世界的に有名な観光スポットがないため、多くの旅行者が鉄道で1時間ほどしか離れていないジョグジャカルタに泊ってしまって訪れるとしてもせいぜい日帰り観光程度、ということもあって、街にはツーリスト相手の商売をしているような店がほとんど見当たらない。
そのため、特に食事については毎回頭を悩ませることになった。
当然ガイドブックにも飲食店の情報が少なく、あったとしても自分が訪れた時期はちょうどタイの酷暑季にあたっていたため離れた場所にある店には行く気にならない。
日中の観光を終えてホテルに戻り、シャワーを浴びて一休みしてからネットで情報収集して行く店を決める、というのが日課になってしまった。
この日は、インドネシアのWongnai(タイ版の食べログ)のようなサイトを見ていたら、ホテルから歩いて10分くらいのところにフードコートがあるのを発見、インドネシア料理がよくわかっていないので「行けば何か食べたいものもあるだろう」と思い出かけてみた。
陽が落ちて少し涼しくなってから着いたフードコートは、大きな東屋のような建物だった。
何か、自分は昔のアヌサーン(チェンマイのナイトバザール近くにある観光客向けのショップ&レストラン集合体)を思い出してしまった。
中に入ってみると、建物の両脇に屋台風のブースがずらりと並んでいて、真ん中にテーブルとイスが置かれている。
客はそれほど多くなく、見てみると食事をしているというよりはアイスクリームを食べたり冷たいドリンクを飲んでいる人が多い。
実際に、出ている店を見てみても食事を出す店よりもそうしたものを扱っている店のほうが多いくらいだ。
さて、どうしようか……と思いながら出ている店を1軒1軒見ていたら、串に刺さった肉を置いているのが目に留まった。
サテ(インドネシア風の串焼き)だね。
店の前に「Sate Kambing」と書いてあったので、スマホで調べてみたらどうやらヤギ肉のサテのようだ。
チェンマイ(タイ)でも、カーオマンガイ(タイ式海南鶏飯)やカーオソーイ(チェンマイ風カレーラーメン)を出す店には必ずサテが置いてあるのが、普通は豚肉だけだ。
ムスリムの国インドネシアなので豚肉がないのは当然なのだが、ヤギ肉のサテというのはまだ一度も食べたことがない。
これはおもしろそうだと思い早速注文してみる。
お店の人は例によってまったく英語が通じず、とりあえずこちらが「サテ・カンビン!」と叫ぶと紙に数字を書いて見せるので、「今ここで金を払え」という意味と分かり支払いを済ませると、数字が書かれたプラスチックの番号札のようなものを渡された。
これをテーブルの上に置いて待て、ということだ。
ついでにそばの店でドリンクもオーダして空いている席にすわって、料理が運ばれてくるのを待つ。
5分くらいして運ばれてきたのが、これ。
頼んだつもりはなかったのだが、白いご飯が一緒についてきた。
インドネシアでは、サテをおかずにご飯を食べるのだろうか?
タイのサテは、肉が小さくココナツミルクを塗って焼き、ピーナツをたくさん使った甘いタレをつけて食べることが多いと思うが、このサテは肉が大きくソースとかもついていない。
色からして下味をつけて焼いているのはわかったが、それほど濃い味付けにはなっておらず、どちらかというと肉そのものを楽しむ感じのようだ。
何か、夕食としてはちょっと寂しい内容のような気もしないではないが、肉が大きかったせいかお腹は結構いっぱいになったのだった。
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