チェックインでVisit Japan Webとワクチン証明書チェック
2か月半ほどのチェンマイ生活を終え、日本に戻る。
自分たち夫婦は2013年からチェンマイで暮らしていたが、昨年7月に父が死去。
一人息子の自分は葬儀や相続手続きなど諸々に忙殺されていたが、生活道具や自動車とスクーターを置いてタイ人のお友達に世話をお願いしていた部屋の様子を確認したかったし、何よりカミさんの労をねぎらいたかったので何とか時間を作って帰チェンした。
それらの目的も無事達成でき、まだ手つかずの遺品整理などが残っているので再び日本に行かなくてはならない。
今回はTG(タイ国際航空)を予約したのだが、ナイトフライトよりも朝バンコク発の便のほうが安かったのでまず国内線で移動、乗り継ぎ用でしばしば利用しているバンコク市内東部のプラカノンにあるホテルに泊った。
日本に向かう当日は朝5時にホテルをチェックアウト、まだ真っ暗な道を手配していたリムジンでスワンナプーム空港へ向かう。
空港までの道はガラガラで20分ほどで到着したが、ターミナル内は早朝にもかかわらず大勢の人でにぎわっていた。
特にTG(タイ国際航空)のチェックインカウンターは大混雑で、ネットニュースなどで見ていた「搭乗手続きには2時間以上かかることも」というのはあながち誇張ではないということがよくわかった。
自分はビジネスクラスなので、それを横目にターミナル一番端のAブロックへ。
さすがにこちらは空いていた。
チェックイン時にはグラウンドスタッフから「Visit Japan Webとワクチン接種証明書を見せてください」と言われた。
「Visit Japan Web」は予想していたのだが、一緒にワクチン接種証明書を見せる必要があるとは知らなかった。
自分は日本の自治体で発行してもらった紙の証明書をパスポートケースに入れていたのですぐにそれを取り出して提示する。
それ以外は平時とまったく変わらず、ものの2~3分でボーディングパスを受け取った。
コロナ禍で経営破綻したとはいえさすがフラッグキャリア、チェックインカウンターのすぐ脇にある事実上の専用イミグレと手荷物検査場を使って出国完了だ。
手荷物検査場を過ぎてエスカレーターを降りると、目の前にラウンジのフロントがある。
さすがにまだ早朝の6時前なので、ラウンジ内はガラガラ。
ボーディングまでのひとときをノンビリと過ごした。
新しい777-300型機のシートはゆったり
今回利用したタイ国際航空TG676便の搭乗ゲートはD4。
ロイヤルオーキッドプレステージラウンジの2つある出入口のコンコースD側のほうの目の前だ。
搭乗券に書かれた搭乗開始時刻ほぼピッタリにラウンジを出て、30秒で着いてしまった。
普段(コロナ禍前)はマレーシア航空やベトナム航空などを利用することが多かったのでいつもゲートまでかなり歩いていたが、チェックインからの一連のスムーズさはやはり自国のフラッグキャリアならではで、こういうのは少し高い料金を払ったとしても十分見合うものが得られると自分は思う。
待合ロビーのイスに腰かけて20分ほどすると、ボーディングの案内が始まった。
スタッフが優先搭乗を案内しているのに、エコノミークラスに乗るインド系グループがボーディングブリッジへの入口をふさいで梃子でも動こうとせず大迷惑。
しまいには、ファランの乗客に無理やり押しのけられていた(笑)
予約を入れた時、機材はCY2クラスのコンフィグレーションの777-300ER型機だったのでそのつもりで機内に入ったところ、一番最初に眼に入ったのはファーストクラスのキャビンだった。
777-300ER型機はそのままだが、どうやら別のコンフィグレーションの機材に変更されたようだ。
自分の席はファーストクラスのキャビンのすぐ後ろ、ビジネスクラスの最前列だ。
この777-300ER型機はたぶんビジネスクラスの前方をつぶして新たにファーストクラスを設置したためだろう、自分がアサインしていたシートのあるキャビンは2列しかない。
ビジネスクラスなので騒がしいようなことはないが、2列しかなければ間違いなく落ち着いた雰囲気でのフライトになるので自分としてはうれしい。
シートは、従来の777-300ER型機と同じスタッガード配列だ。
実際に座ってみると、同じソロシートでも旧型機より余裕がある気がする。
座席右手にセンサー式のシートコントローラーが設置されているが、自分の席のものは反応がイマイチでちょっと使いにくかった。
AVコントローラーと電源&USBコンセントは、着座した時から見て右肩後方にあって場所的には使いやすい。
この機材で一番うれしかったのは、扉のついた小物入れが手の届く位置にあることだ。
自分はバンコク・東京間くらいの時間がかかるフライトでは途中持病の薬が複数必要になるのだが、最初からここに入れておけばいちいち天井の荷物入れにあるバッグを引っ張り出して薬を取り出す必要がないし、もしかしたら使うかもしれないスマホの電源コードなども初めから入れておくことができる。
エアバスA350型機のビジネスクラスのシートにも同じような小物入れがあるのに対し、ボーイング787型機にはどのキャリアにもついておらずそれが大きな不満で長いフライトになる場合は選択可能であればA350に乗っているのだが、TGの新しい777-300ER型機にもついていることがわかったのは今回の収穫だ。
ここ以外、ひじ掛けのちょっとした物入れがあってヘッドホンとアメニティの入ったオレンジ色のポーチが置かれていた。
一番左の小さなスペースはおそらく水のペットボトルを入れるためのものだと思うが、搭乗中には配られなかった。
経費削減のためだろう、スリッパはホテルなどにも置かれている使い捨ての安物だった。
席に座ると同時に、CAさんがウエルカムドリンクを持って来てくれたが朝早い便だからかだろうアルコールはなく定番のレモンティーをいただく。
この日はなぜか朝から呑みたい気分だったので、CAさんに「飛んだ後で構わないのでシャンパンをください」と言ったら、すぐに持って来てくれた。
ということで、いただいたく前にお決まりのワンカットを撮影。
シャンパンも飲み終わっていい気分になってきた頃、搭乗機は予定より30分ほど遅れてゲートを離れた。
離陸前のアナウンスでは飛行時間は5時間10分とのことで、この時期ならではのジェット気流に乗ってこの遅れ分くらいは簡単に取り戻しそうだ。
スワンナプーム空港の滑走路もコロナ禍前ほどではないもののそれなりに渋滞しており、出発便の列を眺めながらの離陸となった。
機内食は……まあ、こんなものでしょう
離陸して1時間ほどが過ぎベトナム上空にさしかかる頃、食事の準備が始まった。
最近、TGでは搭乗数日前に「機内食の事前予約」の案内メールを送って来る。
洋食と和食からのチョイスになっていたが、半年ほど前にTG642便で日本に一時帰国した時には和食をいただいたので、今回は洋食を予約してみた。
まずはCAさんの「コーヒー、紅茶どちらにしますか?」という質問から食事がスタート。
何も考えずコーヒーをリクエストしたのだが、ワインにすればよかったかも。
この新しい機材の777-300ER型機では、モニターの下からテーブルを引き出すようになっている(旧機材は、前席の背もたれ裏にむき出しで取りつけられていた)。
テーブルクロスが敷かれ、しばらくすると最初のプレートが運ばれて来た。
昔から変わらないフルーツの盛り合わせと、近年チェンマイのスーパーとかでも普通に見るようになった明治ブルガリアヨーグルト。
ヨーグルトは今まで出て来ていた一般的なものに比べて甘くなく、量も多くてうれしい。
クロワッサンにはジャム、ハチミツ、バターがついて来たけど、個人的には何もいらないかなあ。
フルーツを食べ終わりプレートが下げられると、メインディッシュが運ばれて来た。
マッシュルームオムレツにハーブチキンソーセージ、マッシュポテトにほうれん草のソテーだ。
ほうれん草はメニューには「Creamed Spinach」と書かれていたので本来はクリーム煮だと思うのだが、クリームはまったく使われていなかった。
おそらく朝食という扱いなのでこういうメニューなのだろうけど、正直和食(前回朝食で食べたものはこちらで紹介)に比べると満足度は低かった。
決してまずいわけではないのだが……次からは和食にしようと思った。
食事を終え、しばらくの間はフライトステータスのモニターをボンヤリ眺めてすごした。
このフライトステータス画面も旧型機とはぜんぜん違って新しいデザインになっていて、たぶんこれはマレーシア航空やベトナム航空とかで使われているのと同じものだろう。
ちなみに立ち上げる時にパナソニックとクレジットされていた。
搭乗機は台湾最南端をかすめるように通過し、沖縄、四国南方沖から本州南の海上を成田に向けて順調に飛行した。
富士山がとてもきれいに見え「あ~、日本に戻って来たなあ」という気分にひたっていると、「あと35分ほどで成田空港に着陸予定です」と機長からのアナウンスが入り、その後すぐに降下を開始した。
離陸前には5時間10分とのことだったが、実際には4時間58分で搭乗したTG676便は夕陽を浴びながら成田空港に無事着陸した。
成田到着。通関は紙で行い一般ロビーまで15分ほど
着陸してから飛行機がゲートに着くまで、ほんの3~4分しかかからなかった。
だが、機体のドアが開くとすぐに「最初に乗り継ぎの乗客を降機させるので、日本に入国する方はそのまましばらく席でお待ちください」とのアナウンスが。
「まだ、そんなことやってるのか……」と正直絶望的な気分になる。
前回日本に戻って来た時は15分以上待たされたが、今回は半分の7~8分くらいだっただろうか。
それでも、ゲートに着いて機体のドアも開いているのに待たされるというのは気分が悪いものだ。
ようやく降機してよいとのアナウンスが流れ、外に出る。
コンコースに入ったすぐのところには女性職員が立っており「Visit Japan Webの画面が青の方はこちらでを見せてくださ~い!」と大きな声を張り上げている。
自分は機内でスマホを通信接続して「Visit Japan Web」にログイン、青色画面を開いておいたのですぐにそれを見せた。
が、自分より先に降機した日本人の中には職員のそばでスマホを操作している人もいたので、自分のようにビジネスクラスで降機が早い人は着陸してスマホを使ってもよいという機内アナウンスがあったらすぐに通信接続して画面を出せるようにしておいたほうがいいと思う。
職員は不正防止のためだろう、自分のスマホの画面をスクロールしてから「健康カード」という黄色の紙をくれ、「こちらへ進んでください」と進むべき方向を示してくれた。
ここではQRコードのチェックはなかった。
TG676便は第1ターミナル第5サテライトの42番ゲートに着いたので、そこからメインビルディングまで延々歩かされることになる。
ちなみに、動く歩道は使用不可なので、手荷物が多かったりお子さんを連れている人にとってはかなり辛い移動になると思う。
メインビルディングへと続く通路には、水際対策緩和以前とまったく変わらず5mおきくらいにスタッフが立っている。
およそすべてのスタッフがやることがないのか、ヒマそうに立っているか2~3人で集まっておしゃべりしている。
自分の到着した時間帯がたまたま便が少なかったから、ということも考えられるが、もしかしたら業務委託先と長期契約を締結してしまっていてやめさせることができないのかも、とも思った。
検疫のゲートを「健康カード」を見せて通過するとイミグレーションになるが、外国人用の入国審査エリアを見てビックリしてしまった。
とんでもない人数が密になって順番を待っている。
ようやく成田に着いたらイミグレがこれじゃゲンナリだ。
「インバウンドが~」とか「おもてなし」とか聞いてあきれる。
まあ、役人にとってはそんなものはどうでもいいのだろう。
ちなみに、日本人の入国審査(顔認証システム)は所要時間30秒だった。
預け入れ荷物の受け取りターンテーブルまで来ると、すでにビジネスクラス以上の乗客のスーツケースなどはベルトから職員によって降ろされ、脇にまとめて置かれていた。
搭乗便の乗客で日本人はかなり少なかった印象で、スワンナプーム空港の搭乗ゲート前の待合でもほとんど日本語が聞こえないくらいだったが、外国人は入国審査で時間を取られているのだろうターンテーブル周りにまったく人はおらず、すぐに自分のスーツケースをピックアップした。
残りは税関だけだが、入国前に登録しておいた「Visit Japan Web」を使ったファストトラック(優先通過)エリアには15人ほどが並んでいた。
こちらのシステムでは、実際に税関に行く手前で再度パスポートの読み取り・登録などをしなければならないため、おそらくそれに手間取るからだろう。
何のためにそんな2度手間を強いるのか理由はわからないが、欠陥システムであることだけは間違いない。
一方、従来の紙の申告用紙を使った通関カウンターにはまったく人がおらず、自分はそちらを使った。
ちなみに、申告用紙は預け入れ荷物受け取りエリアに以前同様置かれているし、今回搭乗したTG(タイ国際航空)の機内でも配布された。
通関する時に職員に「あっち(電子申告)よりも従前の紙での申告のほうがぜんぜん空いてますね」と言ったら、「そうなんですよ~」とちょっと困ったような、恥ずかしいような顔をしていた。
通関を終え、大勢の出迎えの人が待つ一般エリアに出て時計を見ると、降機からおよそ15分しかかかっていなかった。
ここに到着するまで「Visit Japan Web」で発行されたQRコードを使うことは一度もなかった。
このやり方がいつまで続くのかわからないが、いずれにしてもとんでもない額の税金が無駄遣いされているということは容易に想像がつく。
コロナ禍になってこれで3回目の日本入国(帰国)だが、我々の手間自体は間違いなく減っているものの残っている手続きはまったく改善されていない、というかむしろ改悪されてのには驚いた、というか呆れたのが正直な感想だ。
チェンマイ(タイ)とは20度近い気温差に震えながら、迎えに来てくれていたカミさんと落ち合ってジャケットを受け取り、それを着てから駐車場へと向かい自宅に戻った。
国内No1空港送迎サービス。タクシーより割安なことも
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