チェンマイ(タイ)では、というか日本以外のほとんどの国がそうだろうが、水道の蛇口から出てくる水をそのまま飲むことはできない。
地元の新聞によれば、水道局は「飲んでも安全」と発表しているらしいのだが、もし本当だとしてもそれはおそらく浄水場を出る時の水であって、途中の水道管などのメンテナンスがどうなっているのかまったくわからないので、とても飲む気にはなれない。
で、みんなどうしているかというと、飲料水を買って来る。
おそらく、チェンマイの日本人在住者の多くは集合住宅に住んでいるなら階下にあるミニマート、そうでなければ近所のコンビニやよろず屋などで買っていると思う。
あとは、街なかの路上にある自動販売機を利用しているかもしれないが、個人的にはこの水はおすすめしない。
普通に店で売っている飲料水は使い捨てのペットボトルに入っており、有名ブランドの物も多いので安心感も高く、たいていは1.5L入り6本パックで50THB(約175JPY)前後だろうか。
欠点としては、ゴミがとても多くなるのと自分で家(部屋)まで持ち運ばなければならないことだろうか。
とりわけ、後者は自分のようにひどい腰痛持ちでギックリ腰が怖い者にとっては危険この上ない。
自分も一時期はこのペットボトル入りの飲料水をスーパーマーケットでまとめ買いして車で運び家にストックしていたのだが、南国の暑いタイでは消費する水の量も半端なく、まとめ買いしてもすぐになくなってしまうことが多く、いちいちまた車を出してスーパーマーケットまで行くのが面倒くさいので、今は買っていない。
ではどうしているかというと、一般的なタイ人がよく利用しているのだが、飲料水販売店に配達してもらっている。
タイ語ではランナム(ลังน้ำ=ケース売りの水、という意味)と呼ばれるものだ
これだと、なくなった時に電話すればピックアップトラックで家まで来て、指定した場所まで運んで置いてくれるので、腰の心配もない。
さらに、950mlのリサイクル・プラスチックボトル20本入りケースで40THB(約140JPY)程度と、スーパーで売っているものに比べて1リットル当たりの単価は半額以下だ。
ただ問題がないわけではない。
とにかく、おいしくないのだ。
スーパーで売っているものにしてもこの飲料水にしてもミネラルウォーターではないので、日本で長年飲んでいたコントレックスのようなおいしさはもちろん期待していないのだが、それにしても有名ブランドの物に比べるとはるかにまずい。
噂によると、こういうケース入りの飲料水を作っている会社の中には水道水をただ煮沸してボトル詰めしているだけというところもあって、フィルタリングが十分でないため砂や小石が混じっていることもあるらしい。
なので、中にはこういう水を飲む時にはまず透明ガラスのコップに水を注ぎ、それを持ち上げて不純物が混じっていないか確認する、というタイ人もいるくらいだ。
自分はさすがにそこまではしないが、特にコーヒーを淹れたりした時に感じる水のまずさを何とかできないだろうか、と常々考えていたところ、今回日本に一時帰国してホームセンターに行った時にいいものを見つけたのだった。
浄水器つきのポットだ
さまざまな有害物質を除去できるらしい
個人的にポイントが高かったのが横置きにしても収納可能な点だ
チェンマイの自宅の冷蔵庫は大家さんがあらかじめ設置してくれていたものだが、今どきの日本だったら一人住まいの学生ですら使わないだろう旧式の小型2ドア冷蔵庫なので、万が一ドアの内側についたドリンク収納スペースに収まりきらなくても安心だ。
分解して洗えるので、モノがすぐに汚れるチェンマイでも便利
少し値段が高かったのだが、「チェンマイで少しでもおいしくて安全な水が飲めるのなら……」と思い購入して、スーツケースに入れてチェンマイに持って来た。
早速箱から取り出してみる
分解して洗えるので、当然バラバラになって箱に入っていた。
浄水カートリッジはコーラの缶を一回り小さくしたぐらいの大きさ
しっかりとした説明書もついていた
「こんなものに、そんなに大げさな説明書がいるのか~?」と思って開いてみたら、実際に使う前にはカートリッジの空気抜きを行う必要があるようで、カートリッジを水に浸けてしばらく置いたり、あらかじめ何回か水を流し入れては捨てを繰り返したり……という作業を行わなければならなかった。
どうやら、使用前のこの作業が結構重要なようだ。
さて、実際に浄水を作ってみる
といっても、ただ単に水のボトルをプラスチックケースから取り出して浄水ポットの上から注ぐと、カートリッジ内のフィルターを通って下に水が溜まっていくだけで、写真で見ても面白いものではなかった。
もちろん動画にしてもぜんぜん面白くないので、撮影したものは確認した後で削除だ。
しかし、このポットの水を一口飲んでみて驚愕した。
「水って、こんなに味が変わっちゃうの!?」という感じだ。
うまく言葉で表現できないのだが、それまで感じられた雑味のようなものがまったくなくなり、ものすごくクリアですっきりとした飲みごこちになる。
そのまま飲んでも明らかに違うのだが、コーヒーを淹れてみてさらにビックリ。
それまで飛んでしまっていた、コーヒー豆の持つふくよかな香りや酸味、苦味などの複雑な味わいのひとつひとつがしっかりと立っている。
自分は、チェンマイで飲むコーヒーは一時帰国のたびに豆を日本から持って来ているのだが、ようやく向こうで飲んでいた時の風味に近くなった気がする。
ちょっと心配だった、チェンマイの自宅の小型冷蔵庫にもタテヨコ問題なく収まった
ちなみに、浄水カートリッジは通常使用で3カ月程度で交換が必要ということなので、今回は本体と一緒にひとつ購入してきた。
購入時についていたものとは異なる、機能が省略されたバージョンだ
交換用のカートリッジは買った時について来た12種類の有害物質が除去できるものと、この6種類に機能を低下させたものがあり値段がかなり違うので、とりあえずこちらを買ってみた。
もし水の味が変わらないようなら、次からはこの簡易機能バージョンを買って来ようと思う。
ともあれ、この東レのトレビーノポット型浄水器のおかげチェンマイで普段飲んでいる水の味がこんなにも変わってしまうというのは、衝撃的ですらあった。
こんなことなら、もっと早く買って来るのだった……と、ちょっと後悔したくらいだ。
チェンマイ(タイ)でおいしい水が飲みたい、かつ日本に一時帰国する人がいたらぜひ買うことをおすすめしたい一品だよ。
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