チェンマイで新年を迎えるようになった20年以上のうち、ここ最近の10年くらいの元旦の朝は、市内やや北部にあるサンティタムという地区のロータリーで行われるタムブンに参加している。
タムブンは、「タム(積む)」、「ブン(功徳)」という意味で、日本語では「積徳行」と訳されるようだ。
自分がタイを理解するためによく読んでいる「タイ事典」という本によれば、
とのことである。
前日の大晦日は年越しパーティーをしていていたのだが、翌日の朝もこのパーティー会場になっていた家のお友達と一緒にタムブンに参加することになっていたので、その合間に家の中で翌日の準備をする。
近所のミニスーパーで買ってきた、お坊さんの鉢に入れる飲食物などはこんな感じ。
これを袋に詰めていくのだが、末尾が縁起のよい数字である「9」になるよう全部で19袋作った。
ちなみに、中に入れているのはインスタントラーメン以外はお菓子や甘い飲み物がほとんど。
が、これにはちゃんと理由があって、お坊さんたちが食べきれなかった供物は2週間後(1月の第2土曜日)にある子供の日に孤児院などの恵まれない子供たちにお寺からプレゼントされることになっているので、そちらに回ってもいいように供物を選んでいるからだ。
前日の夜中1時すぎまでパーティーをして自宅に戻ったためかなり眠かったのだが、朝6時前に起きてシャワーを浴び(タムブンに参加する時は最低顔を洗ったほうがよい。酒気帯びなどはもってのほか)、バイクに乗って会場へと向かった。
ロータリー近くの路上の適当な場所にバイクを止め、お友達に電話をして落ち合う。
着いたのが儀式開始の15分くらい前だったため、もう人がいっぱいだ。
写真では相当多くの人数に見えるかもしれないが、はっきりとわかるくらい年々参加者は減っている。
そりゃあ今の時代、若い人たちに「来世がよりよいものになるよう徳を積む」って言ったって説得力がぜんぜんないだろうから、葬式などのイベントはともかくこういう自発的な宗教行事にはもう参加しなくなっているのだろう。
前夜、飲んだくれてる人も多いだろうし。
お友達と雑談したり顔見知りと新年の挨拶をしていると、通りの向こうから坊さんがやって来た。
お坊さんたちは、ロータリーの中心をぐるりと取り囲むように置かれたイスに座った。
読経が始まるまでの間、寺男(?)が喜捨を集めて回る。
お寺の関係者かこのエリアの有力者なのかわからないが、初老の男性のアナウンスでタムブンは進行していく。
しばらくすると、読経が始まった。
人々も読経中は手を合わせ、時には一緒に経を唱える。
読経は20分ほど続いただろうか。
終わると人々は立ち上がり、真ん中を開けて列を作り始める。
僧侶たちがこの間を鉢を持って通り、人々が鉢に供物を入れるのだ。
子供たちも供物を持って並ぶ。
托鉢中のお坊さんは裸足だが、供物を入れるほうも裸足だ。
しかし、コンクリートは冷たいので、脱いだサンダルの上に足を乗せるという人も大勢いる(笑)
もしかしたら、足が汚れるのがイヤだというのもあるかもしれないが。
やって来る坊さんにサイバート(直訳すると「鉢に入れる」)する。
【動画】チェンマイ市内の元旦朝の特別タムブン(徳積行)の様子
動画をご覧いただければわかると思うが、けっこう雑然とした雰囲気の中で行われるので、厳かさとか風情とかとはまったく無縁の世界である。
自分の持って来た供物を鉢に入れ終ると、まだタムブンが続いていようがお構いなしに人々はロータリーを離れていく。
そこにいても何の徳も積めないので、当然だ。
なので、最後のほうはこんな風になる。
イスやテーブルもどんどん撤収だ。
あっという間に、ロータリーはバイクや自動車が騒々しく行きかう、普段の表情を取り戻していった。
しかし、元旦の朝にこういう行事に参加すると、やっぱり気分がいい。
今年1年も、チェンマイ生活が健康のうちに楽しく送れますように……
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