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【チェンマイで暮らす】新築祝いに招かれる (1)儀式編、そして当地で初めての鹿肉料理

チェンマイのタイ人の家の新築祝い 仏教行事・イベント
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以前住んでいた家の隣にいて、今でもお付き合いのあるお姉さん(小学生の子供が2人いるがおばさんと呼ぶにはまだ若い)から電話があり「新築祝いをするから来てください」という。

新築祝いに招かれるのはこれが初めてではない。

が、この新築祝いにはぜひ参加したいと思った。

というのもこのお姉さんはミャンマー・シャン州のモンヨーン(ムアンヨーン)出身のタイヨーン族で、もしかしたらタイヨーン族式の新築祝いとかが見れるかもしれない、と考えたからだ。

招待状もある、というので市内に出たついで電話をして受け取りに行った。

チェンマイのタイ人の家の新築祝いの招待状

中央に大きく「新築祝いのタムブン儀式」と書かれている。

場所を見たらチェンマイの東隣の街のサンカムペーン、そしてムーバーン(もともとは「村」という意味だが今では新興分譲住宅街のこともこう呼ぶ)の名前が書かれている。

サンカムペーンと言ってもいささか広く、近年は比較的高級なムーバーンが次から次へと開発されており名前をみてもどこだか見当もつかないため、場所を細かく確認しようとしたら「あなたも知ってる***が来るのに交通手段がないから車で一緒に乗せて来てちょうだい。彼女が場所は知ってるから」と言う。

どうせ1人で行っても2人で行っても車を出すことには変わりないし、ナビゲーターがいたほうが楽なので、もちろんOKだ。

するとお姉さんは「儀式は朝の9時、パーティーは17時からだから、必ず両方とも参加するのよ」と強く念を押されてしまった。

招待状を見たら、儀式は正確には「9時9分 僧侶による儀式」と書かれていた。

タイでは、9はガオ(เก้า)と読むがこれは「歩む・進む」のガーオ(ก้าว)と発音が近いので吉祥数字とされ、新築や結婚などの祝い事の儀式はたいてい9時9分(こだわる人は9秒まで刻む)に始められる。

ともあれ、当日はその知り合いをピックアップして新築祝いの会場へと向かった。

行ってみると、確かにサンカムペーン(郡)ではあったが場所的にはサーという紙を使った傘などの工芸品で有名なボーサーンの南と言ったほうが近かった。

やはり、結構高級そうなムーバーン(新興分譲住宅街)だ。

タイのチェンマイ郊外にある新興分譲住宅街

お姉さんの家はちょうどちょっとした飾りつけが終わり、これから本格的に新築祝いの準備に取りかかろうとしている感じだった。

タイのチェンマイ郊外にある新興分譲住宅概観

土地は70坪といったところだろうか、部屋は正確に数えてはいないが6部屋くらいあったと思う。

「いったい値段はどのくらいだろう?」と思い知り合いに聞いてみたら「たぶん300万THB(約1,200万JPY)をちょっと下回るくらいじゃないかな」という。

タイ人、それも大都会の首都バンコクとはまったく比較にならない経済レベル(田舎)のチェンマイで暮らす人が簡単に買える金額ではない。

実際、こういうムーバーン(新興分譲住宅街)の家はチェンマイのローカルではなくバンコクの人が投資目的で購入する、というケースが非常に多い。

お姉さんの旦那さんは大きなピックアップトラックに乗っているが日中は家にいることも多く「何の仕事しているのだろう?」とは思っていたのだが、こんな家を買える(もちろんローンだろうが)ほど稼いでいたんだ、とちょっとびっくりした。

外から家を眺めていたら、お姉さんが中に招き入れてくれた。

入口からすぐの広い部屋(タイではリビングルームにあたる)で儀式をやるようだ。

タイのチェンマイにある一軒家のリビングルーム

ちょっと早く着きすぎたようで「朝ご飯があるから食べてちょうだい」と言われたのでごちそうになることにする。

建物の外観は洋風に近いが、家の中はところどころ昔ながらのタイ式っぽい部分も残っているのがおもしろい。

招かれて入ったキッチンは、まさにタイ式だった。

タイのチェンマイにある一軒家のキッチン

さてどんな朝食が出て来るのかと思ったら、自分の大好物のノムセンナムギヨウ(タイヤイ(シャン族)式スープのタイ素麺)だった。

チェンマイのタイ人の家の新築祝いで出たカノムチン

ノムセンはカムムアン(チェンマイ語)でカノムチン(タイ素麺)、ナムギヨウはギヨウという名の花を入れたスープという意味だが、ギヨウはタイヤイ(シャン族)のことも指す。

実際、スープにはトゥアナウというタイヤイ(シャン族)の納豆が入っていたりしてそれもうなづける。

この日いただいたノムセンは比較的薄味のあっさりしたもので、サラッと食べられた。

で、ノムセンを食べていたら知らない人が「これも食べろ」と持って来てくれた。

チェンマイのタイ人の家の新築祝いで出た鹿肉料理

見た目は色の濃いハンバーグのようだ。

肉はミンチ状になっていて食感がなく、しかもハーブやスパイスが大量に入っているので風味は正直よくわからないのだが、どうも普通の肉ではない気がする。

その昔、メコン川沿いの遺跡の街チェーンセーンのタラート(市場)の中にある食堂で出された肉料理がどうも食感が豚や鳥ではなく、かといってカエルとも違うので何の肉か聞いたらネズミだった、ということがあったので、ちょっとイヤな予感がして何の肉か聞いてみた。

そうしたら、持って来てくれた人が両手の人差し指を立てておでこの上に持って来て「クワーン」と言う。

角が生えた動物ということはわかったのだが「クワーン」という単語は聞いたことがない。

スペル(กวาง)を聞いてスマホの辞書アプリで調べたら、何と「鹿」だった。

チェンマイと関わってもうかれこれ36年になるが、鹿肉を食べたのは初めてである。

チェンマイで鹿とか簡単に手に入るのだろうか、と思ったら今朝早くタキレクから持って来たと言う。

タキレクは、チェンマイから車で4時間半ほどのタイ最北端の街チェンラーイ県メーサーイと川をはさんだ対岸にあるミャンマーの街だ。

何回かタキレクには行ったことはあるが、少し離れたところはひと気のない雑木林のような場所も多くそういうところで捕まえたのかあるいは飼育しているのか……

しかし、毒消しの意味もあるのあろうけどこんなにスパイスやハーブを投入したら肉の味がわからなくなっちゃうよなあ。

次にタキレク方面に行ったら、市場とかで鹿肉や鹿肉料理があるか探してみることにしよう。

そうこうしているうちにいつの間にか坊さんが来ていて、すっかり儀式の準備が整っていた。

通夜や葬式とは違うことくらいはわかるのだが、あまり詳しくないので儀式そのものについては正直書くことがない

お姉さんの出自であるタイヨーン族の様式が混じっているのかもわからないが、儀式に使わている用具とかにはラーンナー独特のものもあるように見受けられた。

2枚目の写真は建物の周りにいくつも置かれたたぶん土地の神様へのお供え物だと思うが、もうタイ国内ではメーサーイでしか見ることがなさそうな葉巻煙草(たぶんミャンマーから買い物に来た人向け)が写っている。

チェンマイのタイ人の家の新築祝いのロウソクと線香
チェンマイのタイ人の家の新築祝いのお供え物

お坊さんが所定の位置につき儀式の支度を始めると、参加者もみんなリビングルームへと集まった。

チェンマイのタイ人の家の新築祝いの僧侶

まずはお坊さんひとりひとりにサンカターン(供物)の入ったバケツをお供えする。

それが終わると、お坊さんの読経から儀式の開始だ。

チェンマイのタイ人の家の新築祝いで読経する僧侶

読経はお坊さんだけがするもの、お坊さんの唱えた後に続いて参加者が唱えるもの、お坊さんと参加者が一緒になってするものといろいろあるのは大きなタムブン(徳積行)などの儀式と共通している。

チェンマイのタイ人の家の新築祝いの僧侶と参加者

読経が終わると、家主のお姉さんと旦那さんがお坊さんの脇にある日本で言えば仏壇にあたるものに安置されている仏像にお線香を供え、そこから部屋の中央に組まれた三本の太い竹をたてかけたものまで伸びているサーイシン(สายสิญจน์=聖糸)を巻いてあるものをさらに引き出して部屋にいる一番後ろの人に渡した。

チェンマイのタイ人の家の新築祝いの線香あげ
チェンマイのタイ人の家の新築祝いの聖糸

すると、座っている人はそのサーイシン(สายสิญจน์=聖糸)を自分の頭にグルグルッと巻くように乗せると隣の人に渡す、というのを繰り返していき、全員が1本の聖糸で結ばれた。

チェンマイの新築祝いで聖糸を頭に巻いた参加者
チェンマイの新築祝いで参加者の頭に巻かれた聖糸

おそらく仏像からの法力を参加者全員に伝えるためだろう、

全員が頭にサーイシン(สายสิญจน์=聖糸)を巻き終わると、再びお坊さんによる読経があった。

僧侶の読経【動画】

儀式はこれで終了のようだ。

儀式が無事に終わるとまず部屋の中に残ったお坊さんたちに食事がふるまわれる。

このようなイベントの食事で、まず最初に口をつけるのは必ずお坊さんだ。

チェンマイの新築祝いの儀式後に食事する僧侶

しばらくすると、外の駐車場かテラスのような場所に並べられたテーブルに移動した列席者に食事がふるまわれた。

チェンマイの新築祝いの儀式後の食事風景

出された食事は、想像していたよりもずっと質素だった。

チェンマイの新築祝いの儀式後に出た食事

一番手前から時計回りにジャックフルーツの薄味スープ、牛生肉のラープ(唐辛子ハーブ和え)、花のような野菜(名前聞いたけど忘れた)煮浸し風、ナムプリック(唐辛子とハーブのディップ)、豚肉の北タイ風ラープ(唐辛子ハーブ和え)

もちろん、これにカーオヌン(カーオニヨウ=もち米)も出たし、ハレの場だからだろうこのおかずなら普段は出ないカーオチャーオ(カーオスエイ=うるち米)もあった。

後でチェンマイ市内から車に乗せて来た知り合いに聞いたら「この後パーティーがあって酒と料理が出るし、みんなそっちにも出席するから昼はそんなに豪華じゃなくていいのよ」とのことだった。

鹿肉も出なかった。

ということは、さっきの料理は家族のための賄いだったということだろうか?

まあ、これだけの大人数に出せる量の鹿肉を用意するのはたぶん無理だよね。

自分は儀式の前にノムセン(カノムチン)も食べてしまったし、これはこれでおいしそうだったのだがさすがに食べれなかった。

食事が終わるともうやることもなく、夕方からのパーティーまでまだ時間がたっぷりあるのでいったんおいとまする。

招待してくれたお姉さんとご主人に挨拶をして家の外に出ると、パーティーの準備と思われる作業がすでに始まっていた。

チェンマイの新築祝いのパーティー会場の設営

≪(2)に続く≫

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