先週末、11月2日から4日にかけてはローイクラトン(灯篭流し)であった。
ソンクラーン(タイ正月=水かけ祭り)と並んで、ただでさえ観光客の多いチェンマイはこの時最大のピークを迎え、ホテルはもちろんモーテル(ラブホテル)まで国内外からやってきた観光客で満室、市内の道路はどこも大渋滞とものすごいことになる。
特に中国系旅行者が大挙してチェンマイに押し寄せるようになってからというもの、パレードなどのイベントが行われるカードルアン(ワローロット市場)周辺のピン川沿いは、タイ語よりも中国語のほうが多く聞こえるのではないかと思うくらいの賑わいで、もはや風情も何もあったものではない。
ましてや、「破廉恥」と言っていいようなボッタクリ価格の参加料を取って某新興宗教団体が開催する(日本の某宗教団体も一枚かんでいて、それ故当初から日本人信者ツアーが大勢やって来たと言われている)、ただの観光イベントのコムファイ(熱気球)あげなどに行くのは、自分にとっては正気の沙汰とは思えないのだ。
そもそも、「コムファイ(熱気球)あげはチェンマイのイーペンの象徴」と言われること自体が大きな間違いで、この行為はイーペンとは何の関係もなくたかだかこの2~30年ほどの間に行われるようになったに過ぎない。
なので、自分は特にタイ人の知り合いとかからお誘いがない限りは市内には向かわず、バイクで郊外に出かけノンビリとした昔ながらのローイクラトン(灯篭流し)の様子を眺めつつ、通りかかったよさげな場所で灯篭を流している。
今年は、チェンマイからは南のラムプーン県との県境方面に出かけてみた。
その前に、まずは自宅を出て数100mのところにあるワット(寺院)に寄った。
チェディ(仏塔)やウィハーン(本堂)の周りにたくさんの燈明が置かれ、ウィハーン(本堂)の中からは大勢の読経の声が聞こえていた。
寺院の前には日中見たらドブ川にしか見えない小川があるのだが、そこでもローイクラトン(灯篭流し)が行われていた。
近所に住む子供連れとかがやっているようだ。
今年は雨が多かったせいでまだ小川にも水がたくさんあってよどんでもいなかったので、子供たちが浮かべたクラトン(灯篭)はゆっくりと下流に向かって進んで行った。
続いて、チェンマイ県とラムプーン県の県境の一部を構成しているメーピンノーイ(แม่ปิงน้อย=小さなピン川)と呼ばれる運河へと向かった。
こちらは、もっと大勢の人が出ていた。
こちらはほとんど水が動いておらず、おじさんが竹竿でクラトン(灯篭)を押していた。
さらに、今度はバイクを西に走らせてピン川の本流へと向かう。
橋を渡って対岸に行こうとしたら、すぐそばで灯篭を流しているのが見えた。
どうやら川岸にワット(寺院)があるようなので、バイクを止めて少し見学してみることにする。
寺院のウィハーン(本堂)は工事中だった。
すぐ近くでクラトン(灯篭)を売っていたので、今年はここで買って流すことにする。
寺院の境内を川のほうに向かって歩いて行くと、色々なものがあった。
まずは、仏像がいくつも並ぶ一角。
これは、生まれた曜日ごと(水曜日だけはさらに日中と夜に分かれている)の仏様が並んでいて、自分の生まれた曜日の仏様の前に置いてある鉢にお賽銭を入れるようになっている。
タイの寺院にはたいていあるので、旅行に来る人は自分の生まれた曜日をあらかじめ調べておくといい。
その先には動物の像が並んでいる。
自分が生まれた年の干支の像の脇の鉢に喜捨を入れる(木のようになっているものにお札をはさむ)場所だ。
干支の動物は、日本と同じものあればぜんぜん違うものもある。
さらに進むと、小さな鉢がたくさん置かれているテーブルがあった。
ひとつひとつの鉢に小銭を入れるようになっている。
インドのバラナシ(ベナレス)に行くと、ガンジス川のガート(沐浴場)の手前にずら~っと並んだ乞食にバクシーシ(喜捨)する用に、1ルピーコインを1パイサコイン100枚(実際は手数料を引かれるので100枚はもらえない)に両替してくれる人がいたりするのだが、ここにはもちろんいないので家から大量の小銭を持って来るのだろうか?
興味があったので少しの間眺めていたら、たまたま持っている小銭をいくつかの鉢に入れて終わり、という人ばかりですべてに入れている人はいなかった。
こういうのがあると知っていたら、家に大量にある25サタン、50サタン硬貨を持って来たのだが(普段はスーパーマーケットとかの募金箱に入れている)。
ピン川に降りる階段の手前には、お坊さんがいてラップポン(รับพร=お坊さんに供物を捧げお経を唱えてもらうこと)をしていた。
この寺院、次から次へとお金を差し出すものが用意されていて、もしかしたらウィハーン(本堂)建立のためにお金が必要なのだろうか。
あるいは、単純に書き入れ時だからかな?
自分も、生まれた曜日の仏様と干支の動物の鉢にお賽銭を入れた。
階段を降りて、ピン川の水面へと向かう。
すぐ上流にある水門がたぶん開いているのだろう、ピン川の流れはかなり早くて先ほどのメーピン・ノーイとは違って浮かべたクラトン(灯篭)はあっという間に下流へと運ばれている。
お祈りをしてから、クラトン(灯篭)をピン川に浮かべた。
チェンマイ市内中心部からほんの10km、バイクで30分ほど走るだけで、とても同じイーペン(ローイクラトン=灯篭流し)祭りとは思えないほどのゆったりとした風情あふれる様子を見ることができた。
この時期チェンマイに来る機会があれば、ぜひこういう場所にも足を運んでみてほしいと思う。
コロナ禍が落ち着いたら、ぜひチェンマイのイーペンを体験しよう!
Booking.com
コメント