日本から移り住む前の旅行者時代を含めて、チェンマイで年越しをするようになってからもうかれこれ31年くらいになるのだが、元旦の朝はいつもタムブンに参加している。
タムブンは、「タム(ทำ=為す、積む)」、「ブン(บุญ=善、徳)」という意味で、日本語では積徳行と訳されるようだ。
「タイ事典」によれば、
とのことである。
自分が参加するのは、市内北部にあるワット(寺院)・サンティタムという寺院が、元旦の朝に限って通称ハーイェーク・サンティタム(ห้าแยกสันติธรรม=サンティタム5叉路)を封鎖して住民と僧侶が一堂に会して行うタムブンである。
朝早く、まだ薄暗いうちに起きて顔を洗い身支度を整えて、バイクでロータリーへと向かう。
すでにイスやテーブルが並べられ、大勢の人が集まっていた。
ロータリーの中央にはお坊さんが座るのだが、まだ来ていない。
人々は、持って来た供物をテーブルに置いてタムブンが始まるのを待っている。
自分もイスを確保すると、まずはバナナの木にお金をお祈りしながら刺す(お賽銭のようなもの?)。
そうこうしているうちに、お坊さんがやってきた。
ロータリーの中心にぐるりと並べられたイスに座る。
今年は例年に比べ気温が高いとはいえ、チェンマイの路上を裸足で歩くのは辛いだろう。
抱えているのは供物を入れる鉢だ。
司会進行の人がマイクでひとしきり話をした後で、読経が始まった。
読経はパーリ語、ところどころタイ語で行われ、お坊さんだけが唱えるもの、お坊さんのあとに続いて参加者が唱えるものなどがあり、30分ほど続いた。
それが終わると人々は立ち上がり、真ん中を通路のようにして開けて列を作る。
手には、用意してきた供物を持っている。
しばらくすると、真ん中の通路をお坊さんが通って行き、人々は鉢の中に供物を入れていく。
落ち着いて趣があるというよりは、何となくガヤガヤとした賑やかな雰囲気である。
当然鉢はすぐ一杯になるので、供物を入れた瞬間におつきの人が鉢から取り出して、持っているずだ袋にポイポイと供物を入れていく。
何か、こんなのでタムブン(徳を積む)になるのだろうか、と思ってしまう。
【動画】チェンマイ市内の元旦朝の特別タムブン(徳積行)の様子
供物を鉢に入れる儀式も30分ほどで終了し、集まっていた人々は5叉路の道をそれぞれの方向への帰って行くのであった。
少し高い位置まで昇った朝日を浴びながら「あ~、新しい1年がまた始まったなあ」と感慨にふけりながら、自分も自宅への戻った。
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