どんなお店?
チェンマイ市内やや北部の、長期滞在者は多く住んでいるがあまり旅行者が来るようなことはないであろうサンティタムというエリアの北はずれにある、見た目にはごくごく普通の小さなクエティオ(麺)屋。
だが、トムヤム(レストランなどで出てくるいわゆるトムヤムスープとは異なる、どちらかと言えば辛味スープと言ったほうがいいかも)をウリにしており、時間によってはひっきりなしに客が出入りするほどの人気がある店だ。
ロケーション
店のロケーションは、土地勘がない人にとってはかなりわかりにくいだろう。
市内から来るなら、一番わかりやすいのはチャーンプアック門からチョータナー通り(国道107号線)を北上し、タニン市場のある信号を越してすぐに左折、ウィアンブア通りを400~500m進んだ右手にある最初の道(チェディプローン通り)を入り、150mほど行った右手のホンテオ(商店兼住居がつながったタウンハウス)の1軒になる。
チェディプローン通りを進んでいくと道がほぼ直角に右に曲がるのだが、その曲がる直前の右手だ。
店先に、ガラスのショーケースのついたキッチンが出ているのでそれを目印にするとよい(タイトル下の写真)。
店内はシンプルで客席も少ない
店はまったく飾り気がなく、通りに面して右側に麺や材料を入れたショーケースと大きな寸胴鍋を備えた調理台、左手にセルフサービスの給水器と、付け合わせのモヤシや白菜の入った水を張ったボウルと小皿が置かれていて、中央部が店の入口になっている。
といっても、中には4人がけのテーブルが6つほど並んでいるだけで、調理台の裏側の2つのテーブルは常時店の人が座っていたり材料の仕込みをしたりしているので、実質的には4つのテーブルしかない。
ここに来たなら、食べるのはバミートムヤム一択!
メニューは極めてシンプルだ。
麺はセンレク(細麺)、センヤイ(太麺)、バミー(中華麺)、スープはナムサイ(普通のクリアスープ)、ナムトック(生血入りスープ)、トムヤム(辛味スープ)があり、それぞれを組み合わせてタンマダー(普通盛り)かピセート(大盛り)を選ぶだけだ。
ここでのおすすめは、何と言っても「バミー・トムヤム(辛味スープの中華麺)」だ。
近年は流行りなのか、チェンマイにはものすごい数のクエティオ・トムヤムという看板を掲げている店があるが、スープの味という意味ではこのトムヤムが最も店によって味付けが異なるかもしれない。
トムヤムとは本来「酸っぱくて辛い」を意味しており、トムヤムと聞いて普通の日本人が一番イメージするであろうトムヤム・クンもその中でクン(エビ)をどうおいしく食べるかを突き詰めた結果があの酸っぱさと辛さの組み合わせ、バランスのスープなのだが、このクエティオ・トムヤムの場合、トムヤム・クンの味付けのスープをそのまま使っている店(インスタントラーメンのトムヤム味はほぼすべてがそうなっている)や、それよりも甘さを強調したスープの店が多い。
その中で、このティーレックのトムヤムは、酸っぱさも甘さもほとんど感じられず、辛さがひときわ際立っている。
見た目にはまったく普通のクリアスープで、上にほんの少し唐辛子がふりかけてあるだけなのだが、辛いものが大好きな自分でもここのスープにはいつもうなってしまうくらいだ。
見た目にはまったく辛そうに見えないので、食べる前にテーブルの上にある唐辛子を追加投入して超激辛にしてしまうお客が後を絶たないのか、店の壁のあちらこちらに「唐辛子を入れる前にスープの味見をしてください。当店の唐辛子は自家製で非常に辛いです」とわざわざ注意書きを掲げているほどだ。
さらに加えて、この店はタイの店には珍しいくらい熱いスープを出してくれるので、それが辛さをより増幅させているように思う。トムヤム(酸っぱくて辛い)というよりも、タイトルでも表記した通り「辛味スープ」と言ったほうがふさわしいと思う。
このスープに合わせるには米の麺は少々力が弱いのか、自分にとってはバミー(中華麺)が最良に思われる。
麺はどこからか仕入れて来るのだろうが、非常に縮れていて固く、十分な歯ごたえ(コシとは違う気がするが)がある。
自分はここではいつもピセート(大盛り)をいただくのだが、それでも日本のラーメンに比べれば量が少ないので、普通の旅行者ならペロリと食べられるだろう。
辛さを和らげるのにとてもいいので、店先に置いてある付け合わせの生野菜を取って来て麺が出て来るのを待とう。
辛いものが苦手な人は避けたほうがいいかも
チェンマイで、かなりの数の店でクエティオ・トムヤムを食べて来たのだが、このティーレックは独特の味で自分はすっかりハマってしまい、今では1週間に1度は食べないと気が済まないほどになってしまった。
が、ここのトムヤムは本当に直接的な辛さなので誰にでもすすめられるものではなく、辛いものが苦手な人は避けたほうがいいと思う。
ちなみに、店名のティーレックのティー(ตี๋)は「中国系の男の子」という意味だ。
お濠の中の市内中心部から歩いて行くのは困難で、バイクや自転車などの自前の足がない場合にはタニン市場までソンテオなどできてそこから5分ほど歩くのが比較的わかりやすいアクセス方法だろうが、わざわざ出向くだけの価値はあると思う。
とりわけ、辛いものが大好きな人には絶対おすすめの麺の店だ。
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