どんなお店?
チェンマイ市内やや南部のミニショッピングモールの中にある南部タイ料理のぶっかけ飯屋。
ゲーンリアン(カボチャや野菜のエビ味噌ミントスープ)が絶品で、お昼よりずっと前に売り切れてしまうことが多い店の一番人気のおかずだが、それ以外の料理のどれもがエッジが効いた素晴らしい味で、単なるぶっかけ飯屋のおかずを越えた次元になっている。
また、魚を丸ごと使った料理やハーブ入りのオムレツなどの一品料理もあってバラエティーに富んでいるほか、デフォルトでついてくるナムプリックガピ(エビ味噌のディップ)もしびれるようなおいしさで自分は頻繁に通っている。
市内やや南部のミニショッピングモール内にある
店は、チェンマイ-ラムプーン通り(国道106号線)沿いにある「89プラザ」というミニショッピングモールの中にある。
マヒドン通りとチェンマイ-ラムプーン通り(国道106号線)とが交わるノーンホーイ立体交差点から後者を700mくらい南に進むとメーピン警察署のある信号のついた交差点があるが、そのすぐ手前の道路の左右に広がるのが「89プラザ」だ。
店は市内方向から来て右側のモールにある。
モールの中央あたりの道を入っると奥に広い駐車場があるが、店はその右奥に並ぶ食堂街(と言っても4~5軒が並んでいるだけ)の一番左にある。

料理ケースの前で注文、付け合わせを取ったら席で待とう
店に入ると、左右にテーブルが並んでいる。

正面が大きなガラス窓になっているので店内は明るく、掃除なども行き届いているので気持ちよく食事ができるのもいい。
そして、正面が料理の並んだ注文スペースになっている。

右手には汁物のおかずが、左のガラスで囲われたケースの中には炒め物や揚げ物などが並んでいる。


店の外の扉の脇と店内の壁に料理が書かれたメニューボードがあるが、基本はぶっかけ飯屋なので、それを見ずにいきなり指差し注文でまったく問題はない。
なお、店はタイ語以外通じない。
一人の場合は最初からぶっかけになるのだが、複数で行った場合はおかずを注文するとご飯にかけるか単独でどんぶりに入れる(=みんなで取り分けて食べる)か聞かれることがある。
また、汁気の多い料理(ゲーンリアンも)はぶっかけにできずどんぶりに入れてしか注文できない。
注文が終わったら、右手にあるガラスケースから生野菜やハーブ類の付け合わせを皿に盛ろう。

いつ行っても感心するのだが、この店の生野菜とハーブは本当に質がよい。
特にホーラパー(โหระพา=タイ北部で特に好まれるバジルの一種。チェンマイ語ではボーラパー)はタラート(市場)で売られているものに比べてはるかに茎が太くて葉っぱが大きく、味もえぐみはほとんどなくハーブのさっぱり感のみで、自分はいつもたくさん食べてしまう。
こんなところにも店のこだわりが感じられるのがおもしろい。

生野菜とハーブ類を取ったら席につこう。
しばらくすると、料理が運ばれてくるはずだ。

イチオシはゲーンリアンだが、何を食べても峻烈なおいしさ
冒頭にも記した通り、何と言ってもイチオシはゲーンリアン(แกงเลียง=カボチャや野菜のエビ味噌ミントスープ)だ。

ゲーンリアンは南部タイ料理ではあるものの全土的に非常にポピュラーな料理で、チェンマイでもタラート(市場)のおかず屋などで普通に売られているほどだが、この店のゲーンリアンはそれらとは明らかに一線を画した味だ。
メインの具材であるカボチャをはじめ、小エビ、ベビーコーン、青菜やタケノコが入っていることが多いが、そのすべての質がよいことが食べてみるとすぐにわかる。
そして、ほかの多くの店では火を通し過ぎなのか煮崩れた具材が溶け込んでしまってスープは味が濁ってしまっている上に舌触りが少しザラッとしているのに対し、この店のゲーンリアンはひとつひとつの具材がキチンと形をとどめ、それをまとめ上げているスープはスープとして最初につけられた風味がしっかりと残っていて、それらが作り上げるひとつの料理としての完成度が抜群。
早めに売り切れてしまうことが多いが、この店に来たらぜひ試してほしい一品だ。
ゲーンリアン以外のどの料理も「エッジが効いている」あるいは「峻烈」という言葉がまさにピッタリと思う、素材やスパイスそれぞれの味が立っていて輪郭がくっきりとしていながら、それでいて個々が自己主張せずにひとつの料理としてのまとまり具合が絶妙と思える仕上がりになっている。
もし、この店に行くことがあればショーケースをのぞいてみて興味のあるものを指さして注文、味わってみてほしい。
何を食べても、間違いはない。
店が用意する料理は日によって異なるので、ここでいろいろおすすめしても実際に行ってみたら食べることができなかった、という可能性もあるのだが、これまでに自分が店で実際に食べたものの中で、特に感心したものをいくつか挙げておく。
クア・クリン(超激辛豚肉そぼろ)

このクアクリンは、辛いのが大好きな自分が食べても汗が噴き出して頭がボーッとしてしまうくらいの超激辛なので注意。
しかし、食べ続けているとその辛さの奥に隠れている味わい深さが感じられるだろう。
ゲーンリアンに次いで、自分が行った時に注文する頻度の高い料理だ。
ムーパットガピ(豚肉のエビ味噌炒め)

ゲーンタイ・プラー(魚の南部タイカレー)

カイチヨウ・チャオム(臭菜のオムレツ)

これは例外的にまったく辛くない。
普通は、下記のナムプリックガピをつけて食べる。
豚スペアリブのハーブスープ

ゲーンパー・パクタイ(南部タイ式森のカレー)

プラーデーントート・カミン(魚のクミン揚げ)

これらの料理を実際にぶっかけてもらうと、こんな感じになる。

デフォルトでついてくるナムプリックガピも抜群の味
料理が運ばれてきた時に、頼んだ記憶のない小さな器に入った茶色っぽい液体が一緒について来る。

これは南部タイ料理ぶっかけ飯屋でご飯を食べるとたいていデフォルトでついてくる、ナムプリックガピ(น้ำพริกกะปิ)と呼ばれる発酵したエビ味噌をベースにしたディップで、普通は生もしくは茹でた野菜、揚げたり焼いたりした魚やタイ風の野菜天ぷらなどにつけて食べる。
グリーンピースのような生の茄子が入っているナムプリックガピは発酵食品なので好き嫌いが分かれるかもしれないが、この店のものはガピの臭みが出すぎておらずほかの料理同様絶妙の味つけになっている。
これまた見た目に比べるとかなり強烈な辛さなので注意が必要だが、上に紹介したカイチヨウ・チャオムや付け合わせの生野菜につけて食べたり、ご飯に少しまぶすようにして食べてもおいしい。
早めに売り切れるので行くならお昼前に
営業時間は7時半から16時30分だがお昼前には売り切れてしまう料理も多く、特に一番人気のゲーンリアンは11時頃に行ってもないことがしばしばだ。
なので、行くのであればブランチとして11時より前に行くのがおすすめだ。
自分はいつもそうしている。
南部タイ料理は一般的に辛いことで有名で、この店の料理も基本的にどれもかなり辛いのでそれが苦手な人には少し辛いかもしれないが、味の完成度はそれを容易に乗り越えてしまうだけのすばらしさがあるので、ぜひトライしてみてほしいと思う。
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