自分がチェンマイで新年を迎えるようになって、かれこれ30年近くがたつ。
今でこそ自分はチェンマイ郊外で暮らしているが、リタイヤする前の旅行者時代は長らく市内北西にあるサンティタムと呼ばれるエリアに家を借り当地を訪れるとそこに泊まっていた。
そのためサンティタムには今でも知り合いが多くいて何かと行く機会も多いのだが、引っ越してからもずっと続いている習慣がある。
それは、1月1日元旦の朝に「サンティタムの五叉路」と呼ばれるロータリーを封鎖して行われるタムブンに参加することだ。
タムブン(ทำบุญ)は「タム(ทำ=積む)」「ブン(บุญ=功徳)」という意味で、日本では「徳積行」と訳される。
タイ事典 [ 日本タイ学会 ]によれば、
タイにおける実践仏教の中核をなす観念。<中略>ブンが多いことは、現生的幸福をもたらす原因である。<中略>大方の仏教徒は、あらゆる機会をとらえて自己のブンを増やすことによって幸福を増進しようと努める。タムブンの形態には、僧侶に対する食事の供養、寺院の維持・修復や建立のための金品の寄進、労力奉仕などがある。
とのことだ。
2026年もチェンマイで迎えることになったので、例年と同じようにタムブン(徳積行)を行う。
五叉路には年末になると告知が掲示される


地元の人は、毎年のことなので告知がなくてもわかっているだろうが。
当日は朝が早いので大晦日に一緒に行く友人の家で供物を用意する

用意すると言っても自分がするわけではなく、家にいる友人の息子にこづかい(お年玉)をやって作らせるのだが。
供物は縁起のいい「9」の数字にちなんで9袋用意する

大晦日はこのまま友人の家で年越しのムーカタ(タイ式焼肉)パーティーなのだが、翌朝は早いし酒気帯びで仏教行事に参加するわけにはいかないので、早々においとまして早めにベッドに入った。
【動画】2026年1月1日元旦朝の新年特別タムブン(徳積行)
新年特別タムブン(徳積行)は、元旦の朝7時から始まる。
本当ならシャワーを浴びて身を清めてから行きたい(サンティタムにいた頃はそうしていた)のだが、今の自宅はスクーターで30分くらい離れていて5時起きだし何より寒いのでササッと顔を洗ってまずは友人の家に行き、昨日作った供物を持って2人で五叉路に向かった。
着いたのはタムブン(徳積行)開始の15分くらい前だろうか。
すでに大勢の人が集っていた

「大勢」と書いたが、10年前は軽くこの2倍の人が参加していた。
新しくできるのは商店か集合住宅ばかりでこういう行事に参加するような人が増えないのと、仏教そのものがタイ国内でも衰退しているというのが大きい理由のような気がする。
いつもならお坊さんは近くのワット(寺院)サンティタムから一列になって歩いて五叉路にやって来るのだが、この日は数名のお坊さんだけが先に来てロータリの周りにグルリと置かれたイスに座っている。
しばらくすると、お坊さんも全員揃った


新年特別タムブン(徳積行)の流れは毎年同じだが、今年はMCみたいな人が何かをしゃべった後で昨年崩御したシリキット皇太后に対して起立しての黙祷があった。

ここから先は例年通りだった。
まずは地区の有力者(?)によるお坊さんへのお布施

タイではこういう有力者によるセレモニーみたいなのが結構重要だよね。
その間に寺男が参加者のところにやって来てお布施を募る

事前セレモニーが終わると、次は読経だ



お経はお坊さんが一人で唱えるもの、お坊さんが集団で唱えるもの、お坊さんの先導にしたがって参加者が同じフレーズを唱えるもの、お坊さんと参加者が一緒になって唱えるものなど色々なパターンがある。
自分はまったく知識がないのだが、それぞれの違いの意味について調べてみるとおもしろいかも。
読経が終わるとお坊さんが立ち上がるので、参加者も立って真ん中を開けて2列に並ぶ



並んでいる参加者の間を鉢を持ったお坊さんが歩いて行くので、供物を入れる




供物は、食べ物が圧倒的に多く残りはハミガキのような消耗品だろうか。
自分は、食品はある程度保存が効くインスタントラーメンやパック入りのジュースにしているが、中には菓子パンや炊いたご飯におかずのような日持ちしないものを入れる人もいる。
お坊さんの持つ鉢に対して供物があまりにも多いため、お坊さんは一緒について歩いている寺男が持つ頭陀袋の中へザザッと投げ捨てるように入れて行かないと間に合わない。
お付きの寺男も大忙しだ

その頭陀袋もすぐにいっぱいになってしまうので、次から次へと用意しなければならない。
ピックアップトラックの荷台はあっという間に山盛りだ


ちなみに、これだけの量の供物が集まると当然お寺だけでは消費しきれない。
どうするかというと、お寺に持って帰った後で寺男とかが総出で仕分けを行い使い切れない分は孤児院などに回すようになっている。
チェンマイ市内には孤児院を併設している寺院があってそこでも元旦の朝は子供たちのための大きなタムブン(徳積行)を開催するが、そういう恵まれたところばかりでもないだろうから無駄を出さないようにするのはまさに善行だろう。
自分が持って来た供物がなくなるとそこにいてもタムブン(徳積行)の意味はないので、まだ儀式は続いていても参加者はどんどん帰ってしまう。
まだタムブンしている脇でも平気で片付けが進む


いつの間にか人は波が引くようにいなくなり、自分と友人も五叉路を後にした。
こうして、今年も元旦朝の新年特別タムブン(徳積行)は無事に終わった。
毎年のことだが、これで気分もさっぱりして文字通り新たな年を迎えることができそうだ。
この後は元旦もソンクラーンも絶対に休まない近くのお粥屋で朝ご飯を食べ、後はもう家で静かに過ごすのも毎年恒例。
どこに行っても人が多いしね。
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