カムペーンペットの食事の選択肢は限られる
チェンマイから南におよそ350km、自動車で5時間ほどのところにあるスコータイ王朝時代の要塞都市の遺跡で有名な街、カムペーンペット。
唯一と言ってよい観光スポットの遺跡群は市内から少し離れているが、その近くには食事をとれるような場所がまったくないので、ランチは街まで戻って来ることになる。
しかし、遺跡群があるとはいえスコータイのようにツーリストがウジャウジャいるような街ではないので、そういう人達向けのレストランというのは皆無だ。
したがってローカルな普通の店で食べることになるのだが、そもそも街自体が非常にこじんまりとしているので選択肢は多くない。
あてもなく車で街なかをさまよっても時間の無駄なので、初日に前を通ったら結構混んでいてホテルのスタッフに聞いてみたら「おいしいよ~」とのことだった店に行ってみることにした。
市内の中心部にある麺食堂「バミー・チャーカンラーウ」
店の名前は「バミー・チャーカンラーウ(บะหมี่ชากังราว)」という。
バミーは中華麺のことで、名前の通り麺類の店だ。
今回自分とカミさんが泊ったホテルからだと300mほどと至近距離だ。
店は、タイの地方都市ならどこにでもあるごくごく普通の食堂だ。
上に取り付けられた、大きな緑色の看板が目印だ。
店頭のショーケースには麺や具材が並べられている。
ケースの下の看板には小さく「カムペーンペットで第一級のバミー(中華麺)」と書かれている(タイトル下の写真)。
店内も取り立てて特徴のないいわゆる街のバミー屋だが、古い時計などが飾られていて何となく老舗風な雰囲気を醸し出している。
自家製麺にインゲンつきのスコータイスタイル
壁に貼られたメニューはシンプルだ。
左が麺の品書きで、上から
キヨウ(ワンタン)
バミーキヨウ(ワンタン麺)
センレク(米細麺)
センヤイ(米太麺)
だけだ。
また、右下には大きくムーサテ(豚串焼き)が1本3THB、左から小皿・中皿・大皿と書かれている。
店名にもバミー(中華麺)とあるので当然それを頼むとして、周囲のお客さんを見回すとほとんどがムーサテ(豚串焼き)を一緒に食べているので、自分たちもオーダーすることにした。
席にいてオーダーを済ませると、いきなりやかんに入ったお茶が出て来る。
昔はチェンマイでもこうやってヤカンでお茶を出してくれる店は多かったのだけど、最近はすっかり見なくなってしまった。
バミー(中華麺)をウリにしていることからも想像はついていたが、こういうお茶が出てくるとということは間違いなく中国系の経営だ。
カムペーンペットはピン川のほとりに栄えた街だが、タイで川に沿った場所にある街はたいていが米を中心とする河川運輸の拠点として発展した歴史を持ち(ここから少し下流にあるナコンサワンが代表格)、運送業や米の卸売業などに携わるために移住してきた中国人が多い。
この店も、そうした中国人が開いた店なのだろう。
そうこうしているうちに、頼んだ料理が出て来た。
バミーナム(汁あり中華麺)
麺が出来合いのものとは全然違って、細麺なのに歯ごたえ(コシとは違う)がしっかりしている。
店の裏で毎日作っている自家製だそうだ。
別皿の付け合わせがチェンマイの普通の店とは異なっていた。
細切りのインゲンが大量に入っている。
これは、近年タイ全土で人気となっているスコータイ・スタイルだ。
考えてみたら、カムペーンペットはスコータイ王朝の要塞都市になるくらい近い(直線距離でおよそ70km)ので、スコータイ・スタイルの麺が出てきてもまったく不思議ではない。
スコータイに行った時に「本場のクエティオ・スコータイが食べたい!」と思って、看板を出している店で食べたらぜんぜん期待はずれだったのだが、ここカムペーンペットで本場の(?)それを食べることができたのは想定外の喜びであった。
しかも麺は自家製、スープも雑味のないクリアな味わいでチェンマイでもこれだけのできばえのものはなかなか食べられないのでは、と思うくらいのレベルだ。
サイドディッシュのムーサテ(豚串焼き)
肉は小ぶりだが脂身もちゃんとついていて、タレもピーナツの味がしっかりとしていて「清く正しいムーサテ」という感じだった。
カムペーンペットのような地方都市を旅する時は、情報が少ないということもあってあまり食には期待していないのだが、このバミー・チャーカンラーウはチェンマイにあったとしても人気店になるであろうくらいの味で、当地のランチとしては間違いなくおすすめだ。
ちなみに、営業時間は9時から15時となっている。
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