今年もまた、年に1度の自動車の保険を更新する時期がやってきた。
ここタイにおいても、自動車の所有者が加入する保険には自賠責(強制)保険と任意保険との2種類がある。
日本でも、最近は無保険(任意保険に加入していない)車の事故で補償を受けられないなどのニュースを時々耳にするが、タイ人は任意保険には加入していない、あるいは加入していても最低レベルというケースが多いようだ。
自分は外国人であり、万が一事故などにあった場合は仮に自分が悪くなくても言葉の問題などもあってその正当性を100%主張するのは非常に困難であろうし、さらに相手が社会的地位のある人物であったりしたなら警察ですら事実はどうであれ簡単にそちらの味方につくであろうことが容易に想像できる。
なので、そういうもろもろのリスクをヘッジする意味も兼ねて、自分は4段階ある任意保険のレベルの中で最高の「クラス1」というのに加入している。
幸いなことに今まで一度も保険のお世話になったことはなく、そういう意味では無駄な出費となってはいるのだが、文字通り保険なので「保険料がもったいなかった」などと思ったことは一度もない。
通称「ポーローボー(พ.ร.บ.)」と呼ばれる自賠責(強制)保険は、市内にある陸運局に出向けば自分自身で手続きを完結することができ、実際にバイクのそれは自力で行っているのだが、当地での色々なお付き合いの関係で自動車の自賠責(強制)保険の手続きは銀行の保険担当者を通じて、また任意保険の手続きは自動車を購入したディーラーで行なっている。
この2つは別に一緒に行わなければならないというわけではないのだが、今年はアポイントメントがたまたま同日に入ってしまったので、1日ですべてを片付けることになった。
まずは、市内にあるタナチャート銀行へと出向く。

タナチャート銀行は、一般の旅行者やロングステイヤーにはあまりなじみがないと思うが、タイ有数の商業銀行で自動車ローンの取り扱いもタイではトップクラスらしい。
また、グループ企業のタナチャート証券は日本の大和証券と業務提携契約を結んでいる。
前もって担当者に電話をしておいたので、行くとすぐに手続きが始まりあっという間に書類を作成してくれた。
書類を受け取って銀行を出たら、市内やや南部のノーンホーイというエリアにある陸運局へと向かう。
必要な書類が作成してあるので、手続きはドライブスルーだ。

日によっては陸運局の外の道路にまで車が並んでいることもあるが、この日は結構空いていて5分も待たずに自分の順番が来た。
高速道路の料金所のようなブースで係員にタナチャート銀行で作成した書類を出し、必要な代金を払うと、車に貼り付けるタイ暦の年号が印刷された紙のついた領収書つきのペーパーをくれる。
年号の印刷された部分はミシン目で切り離せるようになっており、あとで車のフロントガラスに貼りつける。
続いて、今度は任意保険の手続きのために自動車を購入したディーラーへと車を運転した。
駐車場に車を止め、新車の展示スペースを通り抜けて知り合いのスタッフのもとへと向かう。

こちらも事前に連絡してあったので、スタッフが保険の担当者の女性に取り次いでくれた。
テキパキと書類を作成し、「自動車の写真を撮らせてください」といって前後左右斜めからスマートフォンを使ってパシャパシャと自分の車の写真を撮影した。
おそらく、契約時の車の状態(損傷などがないか)を記録したのだろう。
保険料を支払うと、引き換えに書類一式の入った封筒をくれた。

「何かわからないことがあれば、ここに電話してください」と言って、自分の名刺も封筒にホチキス止めしてある。
保険証書兼領収書は、日本の旅行保険のそれによく似ていた。

真ん中付近に大きく黒文字で「ポーローボー(พ.ร.บ.=自賠責(強制)保険)は含まれていません」と書いてある。
この自動車任意保険はタイ最大の損害保険会社であるウィリヤ保険という企業が引受人となっており、その点も安心材料だ。
中に入っていた小冊子には、タイ全土のウィリヤ保険の支店名と連絡先が掲載されていた。

何かあった時にすぐに確認できる、フロントガラス貼り付け用の紙と透明シールもついていた。

タイでは、車同士の事故などの場合、過失割合に関係なく保険に加入している側が損害を負担することがあるらしく、こういうのを貼っていると有保険車であることが一目瞭然となってしまうので貼らないほうがいいよ、とお友達からアドバイスされたので封筒の中にしまって車に入れたままだが。
ともあれ、これで無事に保険の更新も終了して、安心してまたハンドルを握ることができるのだった。
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