ロイヤルプロジェクトの安全食品を使ったレストラン
故プミポン国王が中心となって王室が設立した、タイ北部の山岳少数民族の貧困解消ならびにケシ栽培の撲滅を目的とした財団「ロイヤルプロジェクト」。
日本へのお土産に好適のコーヒー豆やはちみつなどの食品やアロマ製品、美容健康関連グッズなどを数多く生産・販売しており、自分は友人知人が来チェンした時に市内にあるショップへよくご案内している。
その「ロイヤルプロジェクト」が一番多く取り扱っている、安全に生産・管理された農産物や加工食品を主に使って作られた料理が食べられるレストランがこの「ロイヤルプロジェクトキッチン」だ。
商品の共通ブランド「ドーイ(山)カム」のふもとにある
「ロイヤルプロジェクトキッチン」は、チェンマイ市内から南西に15kmほど離れたドーイ(山)カムのふもとにある。
「ドーイ(山)カム」は、ロイヤルプロジェクトで製造販売している商品についている共通ブランドで、その関係もあってこの場所にあるのかもしれない。
チェンマイ市内からだと、ドーイ(山)ステープ山系のふもとを南北に貫くクローンチョンプラターン通り(国道121号線)をステープ通りとの交差点から南におよそ7.5km、もしくはエアポートプラザ(ショッピングセンター)のあるエアポート交差点から国道108号線を約6km南下し、プートスワンローク交差点(T字路)を右折してノーンクワーイ交差点をめざそう。
いずれも、ワット(寺院)プラタートドーイカムあるいはラーチャプルック御苑を案内する道路標識を頼りにするとよい。
ノーンクワーイ交差点からは広~い道を山の方向(西)に向かい、ラーチャプルック御苑入口の大きなロータリーをまっすぐ御苑に入らず右手に伸びる道に進み、そこからは御苑沿いにおよそ1.5km行った左手にレストランはある。
道路沿いに大きな看板が出ているので迷うことはない。
駐車場は、店の入口を通り越したすぐ先にある。
小山の麓の斜面を利用した緑いっぱいの環境
レストランはラーチャプルック御苑に隣接したドーイ(山)カムのふもとの斜面に造られており、店の敷地に入ると木々に囲まれた店の建物が一望できる。
東屋風の店内は、高さの異なる3つのブロックに分かれている。
東屋風の店内に入って最初のフロアは、中央にカフェ用のキッチンと会計カウンター、その周囲に席が配置されている。
入って一番最初(下)のフロアは中央にカフェのキッチンと会計カウンター、その周囲に席が配置されている。
写真は、上のブロックから撮影している。
入口に近くカフェ利用の客も多いほか、時間帯によっては出入口と上階とを客や店員が頻繁に行き来するため少し落ち着かない場所になっている。
ゆったりと食事をするなら、そこから階段を登った2段目のフロアがおすすめだ。
レストランとしても、こちらがメインスペースになっている。
テーブルの配置も下のフロアより余裕があり、人の行き来も少ないないのでゆったりとした気分で食事ができる。
特に通り側に面した席は高さがあって下を見おろす感じになり、展望も開けているので特に気持ちがよくおすすめだ。
店員はフロアごとにいるので、上にあがってもサービスがおろそかになるということもない。
なお、この上にももう1フロアあるのだが通常は団体専用となっているほかレストランが使用する物品のストックスペースもあったりして、普段は開放されていない。
また、この屋根のついた東屋風の建物以外にも、通りに面したスロープ状のスペースに屋外席も用意されている。
自分が普段この店に行った時には客が座っているのを見たことがないが、もしかしたら連休中など特に混みあう時期だけ使っているのかもしれない。
メニュー刷新、APEC首脳会議で出されたチョウザメも
料理は、かつては手の込んだ料理も多く行くたびに色々試すのを楽しみにしていたのだが、2019年中ごろに従業員(コック)が減って店が回せなくなったとのことで、タイ語でチャーン(皿=จาน)・ディヨウ(ひとつの=เดียว)と呼ばれる一皿に料理とご飯が盛りつけられそれだけで食事が完結する定食的なものばかりになってしまった。
そのため、ちょうどコロナ禍ということもあって自分はしばらく足が遠のいていたのだが、昨年(2022年)にコックなどの手配がついたのだろうメニューが刷新されて多くの一品料理が再び並ぶようになった。
野菜などを栽培している山岳部の少数民族の料理も並んでいる(左のページ)。
メニューに載っているのはほとんどがタイ料理だが、プロジェクトが製造している生パスタを使った洋食(フィットチーネを使ったニジマスのソテー添えパッタイとか)なども若干用意されている。
また、2022年にバンコクで開催されたAPEC首脳会議の晩餐会でも出されたというキャビアを採ったチョウザメの肉を使った料理や日本人が技術指導して養殖に成功したというニジマス料理も並んでいる。
肝心のキャビアそのものはない(おそらくメチャクチャ高価なのだろう)が、チョウザメの肉は日本でも珍しいと思うので、興味があれば食べてみるといいだろう。
メニューは英語併記、写真付きなので、タイ語ができなくても注文にはまったく問題はない。
野菜たっぷりで洗練された味の料理、フレッシュジュースもおすすめ
料理はロイヤルプロジェクトが生産・管理し畑から直送した新鮮な安全野菜をはじめとする質のよい素材を使っており、洗練された味つけになっていてレベルは高い。
また、どれも量がそれほど多くないので2~3人で行ったとしても色々と楽しめる。
新メニューになって以降いろいろな料理を試してみたが、どれひとつとして「これはちょっと……」というものには出会ったことはなく、何を注文しても間違いはないと思うが、タイ料理系の辛さは容赦なしなので、苦手な人はオーダーする時に注意したほうがいいかもしれない。
自分がおすすめと思う料理を以下にいくつか紹介するが、これ以外にも色々な料理があるので出されたメニューをじっくり眺めてみてほしい。
ガイウプマントーウユーンナーン(ไก่อุ๊ปหม่านโถวยูนนาน=タイヤイ(シャン族)式ハーブローストチキンと雲南式饅頭)
個人的なイチオシメニュー。
メニューにはローストチキンと書かれているが、実際にはチェンマイ料理として有名なガイヌン(鶏肉の唐辛子ハーブ蒸し煮)に近く、それよりももう少しスパイスを効かせた感じ。
それに、揚げパン風の饅頭を合わせてあり、いくらでも食べられる感じ。
ラープパクソット(ลาบผักสด=生野菜のラープ)
ロイヤルプロジェクトで栽培した新鮮な野菜だけを使用したラープ(唐辛子ハーブ和え)。
本来であれば豚肉や鶏肉を使うのが一般的だが、それを野菜のみにしてこのレベルに仕上げているのがさすが。
農場直送の新鮮野菜を使っているからこそ、まともな料理になるのだと思う。
ラープムークアパクソット(ลาบหมูคั่วผักสด=豚肉の北タイ式ラープ、生野菜添え)
普通のラープがいいのであれば、こちらの北タイ式(水分がないのが一番の特徴)のラープがおすすめだ。
やはり生野菜がたくさん添えられている。
ポーピアパクソースサワロット(ปอเปี๊ยะผักซอสเสาวรส=パッションフルーツソースの野菜春巻き)
野菜春巻き自体はそれほど珍しいものではないが、そこにパッションフルーツのソースを合わせているのがこの店ならでは。
サクサクに揚げた春巻きと酸味のあるパッションフルーツソースが料理をさっぱりとした仕上がりにしている。
ピックガイトートソースマカームナムプン(ปีกไก่ทอดซอสมะขามน้ำผึ้ง=鶏手羽先揚げの蜂蜜タマリンドソース)
ロイヤルプロジェクトのショップでも販売されているタマリンドと人気商品のハチミツをソースに使った鶏手羽先揚げ。
タマリンドのほのかな酸味とハチミツの風味がミックスされた独特で、クセになる料理だ。
クアヘーンガイバイイラー(คั่วแห้งไก่ใบยี่หร่า=鶏肉をクミンの葉とともに炒ったもの)
他の店では食べた記憶がない、珍しい料理だと思う。
名前だと鶏肉をクミンの葉とともに炒っただけのシンプルな料理に見えるが、他にも色々なハーブや唐辛子を加えてあり、かなり複雑な味がする。
これもレベルが高くおすすめだ。
チュットナムプリックパクソット(ชุดน้ำพริกผักสด=新鮮野菜と3種のナムプリック)
これも生野菜が主役の料理。
3種類の異なるナムプリックと生野菜を組み合わせたもので、シンプルだからこそどちらの素材の本質的な出来が問われるのだが、これも手が止まらなくなる。
ナムプリックはご飯にかけてもおいしいし。
日によってはナムプリックが揃わないことがあり、その場合は単品と生野菜の組み合わせになったりする。
トムヤムガイブレスクローンガーンルワン(ต้มยำไก่เบรสโครงการหลวง=ロイヤルプロジェクトブレス鶏のトムヤムスープ)
ロイヤルプロジェクト特産品のブレス鶏と野菜やキノコ、ハーブ類を使ったトムヤムスープ。
スープはナムコン(น้ำข้น=ココナツミルクやチリオイル入りのにごったスープ)ではなくナムサイ(น้ำใส=ココナツミルクの入らないクリアスープ)で仕上げているのは素材の味を生かせるようにということなのだろう。
個人的にはナムサイのほうが好きなので、これも行くと時々オーダーしている。
ただし、見た目以上の辛さなので、苦手な人は注文する時に控えめにするよう言ったほうがいいかも。
ゲーンチュートヘットホームパクソットムーサップ(แกงจืดเห็ดหอมผักสดหมูสับ=しいたけと野菜、豚ひき肉の中華風澄ましスープ)
ロイヤルプロジェクトショップでは色々なキノコが売られているのだが、これはしいたけをメインに野菜や豚ひき肉団子を加えた中華風の澄ましスープだ。
タラート(市場)のおかず屋とかでも普通に売っているし、まったく辛くないので日本人にはなじみの深い料理ではないだろうか。
この店のゲーンチュートは、そんな一般的な普通に食べられるものとはまったく違う。
一言で表現するなら「圧倒的な素材感」。
キチンとした具材を使えばここまで味のレベルを高められるのだということがよくわかる。
具材の量もケチケチしていないところもいいのだろう。
ご飯はカーオクローンドーイ(ข้าวกล้องดอย=山の玄米)がデフォルトだ
ロイヤルプロジェクトショップには山岳民族が栽培した玄米がその民族名とともに複数販売されているが、そのうちのどれか(種類は不明)を使ったものが出される。
理由はわからないが、昔から写真のような熊(?)の形なのがおもしろい。
ドリンク類もロイヤルプロジェクトのコーヒーをはじめさまざまなものが用意されているが、個人的にはフルーツやハーブのジュースやシェイクがおすすめだ。
マンゴーシェイク
アンチャン(バタフライピー=蝶豆)ジュース
ワット(寺院)プラタートドーイカムやラーチャプルック御苑観光とセットで
店の雰囲気、料理のクオリティからすると、市内のこの手のレストランに比べたら値段も安めでコストパフォーマンスが高い。
また、カフェとしても利用可能でケーキ類もあるので、食事時以外のティータイムなどでも使えるのも都合がよい。
バリエーションは減ってしまったが、街の大衆食堂にあるような一皿に料理とご飯が盛りつけられた定食的なものもまだ残っているので一人でも利用可能で、近隣に住んでいる欧米人の一人客(運河のあるクローンチョンプラターン通り沿いにある分譲住宅街やコンドミニアムには外国人居住者も多い)も時々見かける。
ドーイ(山)カムの頂上にあるワット(寺院)プラタートドーイカムは霊験あらたか(特に宝くじ当選)な寺院としてだけでなく、チェンマイ盆地を一望できる景色も有名で地元の人たちやタイ人旅行者からはある意味ワットプラタートドーイステープよりも人気のある寺院なので、個人的にはチェンマイに来たらぜひ訪れてほしいスポットのひとつなのだが、その途中で、あるいはラーチャプルック御苑に遊びに来たついでに立ち寄るには特におすすめのレストランだ。
ワットプラタートドーイカム
それらのスポットに来るのでなくても、これだけの雰囲気があって料理もおいしい店を市内で探すのはなかなか難しいと思うのでわざわざ来る価値があると思う。
また、店の向かいにはロイヤルプロジェクトショップが最近リニューアルオープンして、食品だけでなく雑貨類などのお土産物にも向いているアイテムが数多販売されているので、ぜひ合わせて訪ねてみよう。
営業時間は8時から17時で定休日はない。
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