蕎麦どころとして有名なカリガンダキ流域
ネパールの中西部、アンナプルナ山系とダウラギリ山系の間を縫うように南北に流れる川はカリガンダキと呼ばれ、バスやジープ(時には飛行機)が使え手軽にヒマラヤの8,000m峰を間近に見上げることができるトレッキングルートがあることから多くの外国人旅行者が訪れる国内有数の観光エリアとなっている。
また、明治時代に日本人として初めて鎖国状態のチベットに入り仏典を持ち帰った僧侶河口慧海がヒマラヤ山脈を越える前に長期間滞在した村があることでも知られており、日本人にとっては特に親しみのある地域だろう。
この流域に住むのは「タカリ」と呼ばれる民族で、かつてはチベットとインドを結ぶ交易に携わっていたことから裕福な人が多く、また料理がうまいことでも知られており今では国内の至るところに本当に彼らが携わっているかどうかに関係なく「タカリ」という名前の付いたレストランがある。
一方で山岳地帯のため耕作地が少なく、加えて雨がほとんど降らない乾燥した気候であることから作物には恵まれず、日本の土地が貧しい地域同様蕎麦を主食とすることが多く、そこから転じて蕎麦どころとしても有名だ。
タカリは蕎麦をお湯で練って蕎麦がきにして塩と唐辛子ベースのスープをつけて食べるのが一般的だが、カトマンズには本格的な日本式の蕎麦にして食べさせてくれるレストランがある。
それが「ヒマラヤ蕎麦処」だ。
日本人ツアーも泊る美しいホテル内にある
「ヒマラヤ蕎麦処」は、カトマンズ東部の市内とトリブバン空港とのちょうど中間地点にあたるバネスワールというエリアに建っている「ホテル・サンセット・ビュー」の中にある。
このホテルはネパール人と日本人のご夫妻の経営で設備やサービスもしっかりしているということで、日本からの中高年層のトレッキングツアーやビジネス出張者も多く宿泊している。
ホテルはバグマティ川の流れが地面を削ってできた小さな谷の北側の斜面に建っており、
南のパタンの街並みとその先のヒマラヤ前衛の山々を眺めることができる。
このあたり、自分が住んでいた大昔は人家もまばらでホテル前を通るカトマンズとパタンを結ぶ道も幅2mほどで未舗装の上、バグマティ川にかかる橋は歩行者しか通ることができずめったに来ることはなかったのだが、今は見渡す限り建物のないところが見あたらない。
ホテルの建物の一角に作られた店は、ツアーも利用するだけあってかなりの広さがある。
イスやテーブルも含め木材が豊富に使われており、パッと見には日本の長野とかの田舎にあるリタイヤしたシニアが始めた蕎麦屋と言われてもわからないかもしれない。
戸隠で修業したネパール人職人が打つ蕎麦に舌鼓
店内の一角には蕎麦打ちスペースが作られており、ガラス張りになっているので実際に打っている様子を見ることができる。
蕎麦を売っている職人さんがタカリかどうかは知らないがおそらくホテル経営者の方が派遣したのだろう、蕎麦で全国的に有名な長野県戸隠で修業をしたそうで、見ていても蕎麦打ちの手は日本の職人に何ら引けを取らない感じだ。
メニューは何種類か用意されているが、自分はいつも天ぷらつきのセットにしている。
蕎麦は日本のものに比べるともっちり感が少なく少しボソボソしている食感だが、そもそも実の種類も育てかたも日本とは違うのだからそれがネパール蕎麦の特徴だと思えばよい。
色も少し黒く、たぶんつなぎが少ないのも影響しているのかもしれないが。
つゆや薬味も日本とほぼ同じだ。
天ぷらもネパールではおそらくトップクラスの出来ばえ。
タメルあたりの「なんちゃって日本食」の店とは、素材はもちろん使っている油が決定的に違う(値段も比較にならないが)。
デザートに蕎麦羊羹までついて来る。
日本の蕎麦どころと言われる地域の店に行っても、蕎麦ようかんなんてめったに出てくるものじゃないよ。
食後はホテル内にあるカフェにも立ち寄ろう
今回紹介した「ヒマラヤ蕎麦処」。
自分はカトマンズに行くたび必ず寄るのだが、店のあるホテル・サンセット・ビューはきれいに整備された庭もあったりして食事したらさっさと帰ってしまうのはちょっともったいない。
なので、いつもホテルのメインの建物の反対側(入口に近いほう)の小さな建物にあるカフェに寄ることにしている。
上の写真の一番奥に写っているのがカフェだ。
こちらも日本の山小屋風とでも言えばいいのだろうか、雰囲気はチェンマイのカフェに引けを取らない感じだ。
ちなみにカトマンズは大昔から登山隊やヒッピー、バックパッカーなどの欧米人が多く訪れていることからケーキやパンはかなりレベルが高く、カフェが軒を連ねた「パイストリート」と呼ばれる通りがあったくらい。
チェンマイにありがちな見た目だけのカフェに比べたら、はるかにまともなケーキ類が食べられる。
カフェにはお土産物屋も併設されていて日本人好みのアイテムも多いので、蕎麦を食べた後にぜひ立ち寄ってみよう。
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