3都市で一番仏教徒比率の高いパタン
ネパールの首都カトマンズ盆地には、カトマンズ、パタン、バクタプールの3つの都市がある。
実際には、パタンの衛星都市であったキルティプールも加えれば4都市なのだが。
18世紀にインド西部ラジャスタンを源流とする中部山岳地帯にあったゴルカ王朝に滅ぼされるまではそれぞれが独立した国家として覇権を争っており、独自の文化を誇っていた。
自分はプロフィールにも書いている通り1988年から2年ほどカトマンズに滞在したのだが、実際に暮らしていたのはこのパタンだった。
そのせいで、というわけではないが盆地の3都市の中では一番好きな街で、また日本人の旅行者の中でもそのように言う人が多いのだが、それにはやはり理由がある。
このパタンの街は、仏教徒の比率が一番高くその影響が街のあちらこちらに色濃く残しているのだ。
ちなみに、おおよそではあるがパタンの仏教徒とヒンドゥー教徒の比率は75:25で、カトマンズは50:50、バクタプールは25:75となっている。
パタンに多く住む「サキャ」という名字を持つ釈迦族の末裔とも伝えられる人々はとりわけ仏像づくりや彫刻などの芸術にすぐれ、街には誰にも注目はされないもののよく見ると素晴らしい出来ばえの仏像が安置された祠や木像建築が至るところにある。
あまり知られてはいないのだが、チベットの首都ラサのポタラ宮は建物から中に安置されている仏像までほぼすべて、第二の都市シガツェの僧院も仏像はすべてパタンから派遣されたサキャの人たちを中心とするネワール人の手によるものだ(自分とカミさんが2年間居候していた家のお父さんは中国によるチベット侵略までラサで仏作師の仕事をしていた)。
旧市街は1km四方、ブラブラ散策が楽しい
パタンの旧市街は1km四方ほどでこじんまりとしており、ダーバースクエア(王宮前広場)周辺やクワバハル(黄金寺院)、マハボダ寺院などの有名観光スポットを見学するだけでも街の魅力は十分感じることができる。
が、せっかくここまで来たのなら、ぜひ路地をブラブラ散策してほしい。
上記の通り、道路脇にあるちょっとした祠や小寺院、建築物などに丁寧に目を凝らせば、その出来ばえのすばらしさに驚愕することだろう。
これらは、すべて人の手だけによって作り上げられているのだから……
神様の名前など事前に知識があればより楽しめるとは思うが、よくわからなくても祠の中をのぞいたりすれば思わず手を合わせたくなるようなご本尊に出会うはずだ。
また、バハルと呼ばれる一族が集まって住むネワール族独特の住居に取り囲まれた中央に仏塔が置かれた中庭もぜひのぞいてみてほしい。
中庭の真ん中に立てば、ネワール族が長い年月をかけて築き上げてきた生活の空気感が味わえるはずだ。
バハルに通じる小道
路地と建築
2015年の大地震で被害を受けた建造物
昔は水を汲みに来た女性たちでにぎわっていた井戸
小寺院や祠
ヒマラヤも見える
パタンはバグマティ川をはさんで北にあるカトマンズよりも標高の高いところがあり、そこからだとヒマラヤ山脈(ランタン山系)を目にすることができる。
距離があるのでそれほど雄大な印象は受けないだろうが、それでも標高は6,000mを優に超える山々で白い雪をかぶった山頂は神々しく見えるだろう。
トレッキングもしない、ナガルコットやカカニなどのビューポイントにも行かない、というような人にはいいかも。
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