チェンマイの南およそ15kmの隣町、ハーンドーンの東端のサンパクワーンという村ののどかな田園地帯の中に忽然と現れる廃寺。
ちなみに、寺院名のチャーン・ナムは「象(ช้าง=チャーン)」「水(น้ำ=ナム)」で、「タイ語大辞典」によれば、身体は象に似て長い鼻と牙があるが尾は魚という神話に出て来る「水象」のことらしい。
チェンマイ市内からだと、ハーンドーンへと向かう国道108号線を南下し第3環状道路(国道121号線)との交差点からさらに1.5kmほど進むと信号があるのでそれを左折して国道3007号線に入って3.5kmほど進んだ右手。
あるいは、ピン川右岸をひたすら南下して第3環状道路(国道121号線)との立体交差をくぐっておよそ2km進むとワット(寺院)・ウォンシンカムとピン川にかかる橋があるのでそれを100mほど通り越して国道3007号線へと右折して2kmほど進んだ左手。
自分のようにバイクでプチドライブがてら訪れるのであれば、双方を組み合わせるとチェンマイから同じ道を一度も通らずに往復することが可能だ。
どちらの方向から来ても国道5347号線との比較的交通量の多い交差点が目印になり、そのあたりから廃寺の楼門が見えるが、植木や花を売る店の敷地の先にあり国道3007号線からは直接入ることができない。
廃寺に入るためには、交差点を南方向に曲がり約100m進むと小さな四つ角があるので右折して路地に入って寺院の門をくぐり50mほどの右手が開けた廃寺になっている。
路地沿いに説明書きが設置されておりその脇から廃寺の中に入って行くことができるが、チェンマイ市内にあるそれとは異なりものすごく広い敷地を有している。
説明書きによれば、寺院が発見・発掘されたのは2012年だが建設時の記録がまったく残っておらず、来歴など詳細についてはまったくわかっていないという。
遺構を見た限りでは、それほど極端に古い歴史があるようには見えないが。
敷地の一部の周囲には塀も残っている。
敷地に入って一番奥、国道3007号線に一番近い場所には立派な楼門が建っている。
楼門のそばには近所の人が飼っているのだろうか馬がいてのんびりと草を食んでいたりする。
ワット・チャーン・ナムの遺構は敷地の中央付近にまとまって残っている。
発掘して間もないからか、あるいは一部を修復しているからなのかわからないが保存状態はチェンマイの数多くある廃寺の中でもかなりいい部類に入ると思う。
柱の一部やご本尊が安置されていたと思われる部分の台座も少しだけ残っているウィハーン(本堂)
東向きに建っており、前面と横2か所に入口だった場所の階段もある。
基礎の部分がきれいに保存されているウボソット(布薩堂)
2つに区切られた小さな長方形の建物で南を向いている。
自分には見分けがつかなかったが、説明書きよれば一部は建立後に改築されているという。
正方形の遺構はチェディ(仏塔)で、基壇だけが残されている
しかし、この廃寺を最も特徴づけているのは敷地の北東側にある大きな池だろう
一辺が10mはあるだろうか、正方形をしており池を形成している斜面上のレンガ積みもかなりきれいに残されている。
周囲の歩道のようになった部分は、もしかしたら発掘時に新たに敷設されたものではないだろうか。
説明書きによれば、これらのほかにもグティ(僧院)と何に使われていたのかわからない小さな建物の遺構もあるとのことだったが、自分は見つけることができなかった。
また、発掘時には仏像の一部やウィハーン(本堂)の結界石、金属製のかまど、タバコのパイプなどが見つかっているとのことだが、それらがどこに保存(展示)されているのかは記載がなかった。
このカテゴリーの記事で紹介している通り、チェンマイ市内にも廃寺は数多くあるがこれだけの広さを有しているものはなく、そういった意味では貴重な存在と言えるだろう。
遺構自体はそれほど珍しいものではないので、自分のような物好きでなければわざわざ来るほどのことはないが、外国人旅行者も数多く訪れる木工芸品のハンディクラフトビレッジであるバーンタワーイから3~4kmしか離れていないのでショッピングがてら、あるいはピン川沿いのプチドライブの途中で立ち寄るといいと思う。
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