10月*日は、オークパンサー(出安居)であった。
オークパンサー(出安居)は、アーサーラハブーチャー(三宝節)の翌日のカオパンサー(入安居)から寺にこもって厳しい修行をしていた僧侶達が修行を終え、再び外に出て托鉢を始める日であり、旧暦11月の満月の日に行なわれる。
この日の前日は、年に一度唯一僧侶が夜に托鉢を行うということで、街のあちらこちらに僧侶と托鉢に参加する人々が繰り出し、すごい人出になっていたのをバイクに乗って眺めていた。
オークパンサー(出安居)の当日、アーサーラハブーチャー(三宝節)と同様、チェンマイでも特に人が多く出るというお濠の北辺外側を走るマニーノパラト通りにあるワット・パーパオへと向かったのであった。
お寺の周囲は、お参りに来た人たちのバイクやソンテウ(乗り合いピックアップトラック)などで大渋滞になっており、自分も店の前を臨時の有料駐輪場にしている商店にバイクを止めて、徒歩で寺院へと向かった。
寺院の入口周辺には、お供え物を売る店がずらりと並んでいた。
タイヤイ(シャン)様式の門をくぐり寺院へと入っていく。
いつもはガランとしている境内には即席のチェディ(仏塔)が作られていた。
こんな(と言っては失礼だが)臨時に造られたチェディ(仏塔)にも、多くの人がお参りしているから不思議である。
本堂に入る前に、少し寺院の中を歩く。
個人的にはこの寺院の象徴だと思う、崩れかけた楼門。
巨木も境内の中に何本も生えている。
本堂の近くには、民族衣装に身を包んだタイヤイ(シャン)族の女性が大勢いた。
本堂の中に入ると、大勢の人が僧侶にお供え物を捧げお経を唱えてもらっていた。
自分も最前列に行ってお供え物を捧げお経を唱えていただいた。
お経を唱えてもらい気持ちもさっぱりしたら、寺院の中の露店を冷かして回る。
この寺院を自分が訪れるのは、もちろんお参りが第一の目的ではあるのだが、それと同様、あるいはそれ以上に楽しみになのが、タイヤイ(シャン)料理を食べることだ。
チェンマイ市内にもタイヤイ(シャン)料理の看板を出している店はないわけではないが、正直言ってあまりおいしいと思ったことがない。
が、ここに出ている食堂は、どこも非常においしいのだ。
たぶんに雰囲気がおいしく感じさせる、という気がしないではないのだが……
何軒かある店のうちの一軒のイスに座って、まずはテーブルの上の料理を眺めたりする。
とりあえず、アーサーラハブーチャー(三宝節)の時に食べておいしかった「ミー・ルアム」をオーダー。
それほどスパイシーでもなく、日本人にも食べやすい麺料理だと思う。
必ずついてくる、唐辛子入りの高菜漬が実によく合う。
この漬物がなければ、ミー・ルアム本体の味も締まったものにはならないのでは、と思うくらい重要な気がする。
まだお腹がいっぱいにならないので、「カーオフン・トート」というものをいただく。
カーオフンは、おそらく大豆から作った固まりでレンガのような形状をしたもので、普通であればそれを薄く切ってどんぶりに入れ、上からものすごく辛い唐辛子ベースのソースをかけまわして食べるのだが、これはそれを少し大きく三角形に切って揚げたもののようだ。
前回、アーサーラハブーチャー(三宝節)の時には見かけなかったような気がするので、気になって頼んでみた。
見た目は、パートンコー(豆乳とよく一緒に食べる中国式揚げパン=油條)のようでもある。
が、パートンコーほど中身がふかふかではなく、もう少し詰まっている感じだ。
タレは醤油のような色をしているが、味がほとんどなかった。
最初はカーオフン・トートにつけた食べたのだが、あまりに味がなかったのでタレだけを指につけてなめてみたのだが、やはり味がない。
こういうタレはだいたいすごく辛いとか甘いとか、あるいは濃い味がするとかいう場合が多いので、ちょっと拍子抜けしてしまった。
本当は、ほかにも試してみたい料理があったのだが、残念ながら胃袋に余裕がなかった。
来年またこの寺院に来ることができたら、まだ食べていないものをぜひ食べてみたいものである。
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