どんなお店?
チェンマイ南部郊外、今のチェンマイができる前、2年間だけ王都が置かれていたエリアの遺跡群「ウィアン・クムカーム」の中に2015年にオープンした、ホテルも併設されたチェンマイ料理レストラン。
店の雰囲気も料理の味も抜群だが、オープンした当初はいつ行ってもガラガラで「このままでだいじょうぶだろうか?」と心配になるくらいだったが、徐々に店が知られ出し現在では特にタイ人観光客の人気が高く、時間帯によっては彼らを乗せたワンボックスカーが何台も駐車場に止まるようになっている。
個人的に、ウィアン・クムカーム遺跡はチェンマイ旅行に来たらぜひ訪れてほしい場所なので、その観光を兼ねてランチで立ち寄るのがベストな組み合わせだと思う。
ロケーション
店の場所は非常にわかりにくいが、遺跡観光の途中で立ち寄るのであればワット・フワノーンの遺跡を目指していくとよい。
チェンマイ-ラムプーン通りを市内から来ると、角に廃寺のワット・クー・カーウがあるウィアン・クムカーム遺跡の大きな緑色の案内看板が出ている交差点を右折シーブンルアン通りに入って進むとところどころの電柱に店の案内看板が出ているので、それを頼りにアクセスする。
600mほど進んだところにあるソイ7に左折して入り150mほど行くとワット・フワノーンの大きな遺跡に突きあたり、道は遺跡を右手に見ながら回り込むように左に伸びているが、そちらには行かず右の細~い道に入る。
ソイ7自体がようやく車がすれ違えるくらいの細い道だが、この路地は車もすれ違えないくらい狭くて少々心配になるくらいだ。
遺跡を左に見ながらこの細い道を進んで100mも行くと、レストランの入口がある。
ゲートを入ったところは広々とした駐車場になっており、中央に小さな高床式の建物(下には古いバイクが置かれている)左手には古い民具や建物の装飾品がずらりと並べられている。
TEL:089-4355529
目の前に広がる店内の景色はほれぼれするほど
駐車場からはレストラン(ホテル)の内部は見えないようになっており、「入口はこちら」と書かれた看板のあるところから目隠しの壁をクランクのように曲がって入って行くと、広々とした中庭が目に飛び込んでくる。
向かいの奥にあるいくつか並んだ古い高床式の建物がホテルで、左手には外の駐車場にあるのと同様に古い民具などがたくさん置かれていたり、チェンマイ盆地やタイ北部にあるにある有名な寺院や古民家の写真などが掲げれたギャラリー、土産物店の棟があったりする。
レストランは、この敷地に入ったすぐ右側から角を左に曲がったその奥まで、中庭の2辺を占めている。
手前の部分には古い木造の船を象った多人数が座れるテーブル席、中央のレジや土産物売り場を通り越して角を曲がった先は、東屋風の建物で木の床の上に4人~6人がけのテーブルが置かれている(タイトル下の写真)。
テーブルの間は余裕があり、広い中庭を眺めれるように配置されているので、どこに座っても気持ちよく食事ができるだろう。
料理の種類は多くないが、何を頼んでも間違いなし
メニューはなく、タイ語のみの料理名がずらりと並んだ細長い紙とペンが渡されるので、それにしるしをつけて注文するようになっている。
が、最近中国人旅行客が増えてきたのか、一部の料理しか載っていないものの中国語と英語併記で写真つきのメニューがあり、それも一緒に持ってくるかもしれない。
さらにもう1枚、飲み物のメニュー兼オーダーシートが渡されるが、こちらもやはりタイ語のみだ。
店員も残念ながら英語はほとんどできないようなので、この時点でかなり普通の旅行者にはハードルが高い店になってしまっているのだが、ホテルが併設されている関係でそちらには間違いなく英語の話せるスタッフがいると思うので、もしかしたら助けを呼べるかもしれない。
先に種明かしをしてしまうと、実はこの店の料理はすべてサンカムペーンのはずれにある「フアン・チャイ・ヨーン」と同じになっている。
そのため、味の評価やおすすめ料理は同店の記事と一部だぶってしまうのだが、その点はご容赦いただきたい。
基本的には、どの料理も非常に輪郭のくっきりとしたシャープな味付けになっており、使われている多種類のスパイスの風味ひとつひとつが料理を口の中に入れるたびに広がっていく感じがたまらない。
また、激辛というような料理はなく、全体的に日本人にもなじみやすい味になっている。
フアン・チャイ・ヨーンと合わせ、この店の料理はほぼすべて試したことがあるのだが、その中でも特におすすめできるのは
*ガイヌンムアン……店の一番の名物料理で、鶏肉のチェンマイ風カレースープ煮。チェンマイ料理の店には必ずある料理だが、辛味が抑えられており、少しインドっぽい味付けのカレースープが絶妙の味を醸し出している。骨付きの脚がほぼ1本ドーンとどんぶりに入って出て来るが、一人でペロリと食べられてしまうくらいだ
*ゲーンプリー……バナナのつぼみのスープ。少し独特の風味がありもしかすると好き嫌いの分かれる料理かもしれないが、クリームスープのように白濁したスープはそのまま飲んでもよし、カーオニヨウ(もち米)につけてもよし、ぜひ試してほしい一品だ
*チンソムパットガイ……ネーム(発酵したチエンマイソーセージ)と卵の炒めもの。あまりネームの発酵臭さや酸っぱさもなく非常にあっさりしており、日本人にも食べやすい料理で特におすすめできる
*チェンダーパクカイ……チェンダーという青菜の卵炒め。上記チムソムパットガイと違いまったく癖がないので、辛いもの、タイ料理が苦手という人にも向いている
*クアケー……芋茎のような野菜といんげんを北タイのスパイスで炒め煮にしたもの。シャキシャキした野菜に煮詰まってペースト状になったスパイスのソースがからまった食感は独特のものがある
*ナムプリックヌム……これまた非常に辛さが押さえられている。普段タラートなどのもの食べている人に物足りないのではないだろうか。その分辛いものが苦手な人でも食べられ、またひとつひとつの素材の味を感じることができる。付け合わせのカボチャやニンジン、インゲンなどの茹で野菜も、とても質のよいものが使われている
*ラープコア……タイ北部一帯で広く食べられているラープ(ミンチ肉の唐辛子ハーブ和え)で、もともとは結婚式や新築祝いなどのハレの席で出されるものだが、現在では多くの北タイ料理レストランのメニューに乗っている。味付けの濃さ、辛さともほどほどで、大変なじみやすい
どの料理も量が少ないので、4人で行ったら7-8種類の料理は楽しめるのではないだろうか。
同じ料理を使っている「フアン・チャイ・ヨーン」のオーナーは美術学校の先生で、店の建物にはターペー通りのソイ・マハーハンにあった築150年の家屋が使われているが、この店にも多数の古い民具や建築装飾が置かれていたり、ホテルの客室にはここの名前の通り古い高床式の米倉が転用されている点など共通する点が多い。
確認はしていないが、おそらくこの店のオーナーも同じ人か、あるいは親類などが経営にあたっているのかもしれない。
遺跡観光しないとしても、わざわざ来る価値あり!
チェンマイ市内にもこの「ローン・カーオ・ラム」と似たようなコンセプト・料理の店は何軒かあるが、これだけの敷地を有し広い中庭を見ながら開放的な気分で食事ができる店はそうそうあるものではない。
ウィアン・クムカーム遺跡観光に来た場合にはもちろんだが、そうでなくてもわざわざこの店まで市内から足を運ぶだけの価値は間違いなくあるだろう。
南部郊外と言っても、ターペー門からだと自動車だったらものの10分ちょっと、自転車でも30分あれば着くのではないだろうか。
その意味でも、サンカムペーンにある「フアン・チャイ・ヨーン」とは比べ物にならないくらいアクセスは容易だ。
仮に自前の足がなくても、ワローロット市場東のピン川沿いにある停留所からラムプーン行きの水色のソンテオに乗ってウィアン・クムカームの入口で降りてそこから歩いたとしても、15分はかからないだろう。
ちなみに、毎週水曜日は休業、営業時間は10:30から16:00となっている。
また、ホテルの「Lanna Rice Barn Homestay」についてはこちらを参照のこと。
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