カトマンズに増えているおしゃれ系ダルバートレストラン
ネパールの首都カトマンズの街も自分が住んでいた36年前とはすっかり変貌を遂げた。
当時は首都と言っても車で10分も走れば田畑が続くようなノンビリした雰囲気だったのが、今では盆地の中にはもはや空き地がなくなったと思うほど建物が立ち並び、自動車やバイクが激しく行きかうチェンマイ以上のカオスぶりだ。
ネパール人も目を見張るほど裕福になっており、今や国内のちょっとした観光地はネパール人旅行客であふれスマホで記念撮影をする光景はここが世界の最貧国のひとつであることを忘れさせる。
当然食の分野も様変わりしており、カトマンズ市内にはオシャレなレストランが数えきれないほどあってネパール人が楽しそうに会食しているのを見るだけでなく、日本食レストランに行ったら客はネパール人だらけなんてこともある。
彼らの主食であるダルバート(ネパールのカレー定食)を食べさせる店もまた同様で、インテリアなどの造りから出される食事までこれまた洗練された雰囲気を漂わせている場所が数多くある。
今回紹介する「JIMBU THAKALI(ジムブータカリ)」も、そんなオシャレ系ダルバートの店として、裕福そうなネパール人や在住の外国人から人気を集めている。
タメルから東に2キロ、歩けない距離ではない
「JIMBU THAKALI(ジムブータカリ)」はカトマンズの東部やや郊外と言ってよい場所にある。
外国人旅行者が集まるタメルからだと東に2kmほどで、歩行者にはやさしくないカトマンズの道を歩くと30分以上はかかるが決して歩けない距離ではない。
ちなみに店名の「タカリ」はタカリ族のことで、ネパール中部にあるアンナプルナ山系とダウラギリ山系を隔てるカリガンダキという川の上流、標高およそ2,500m以上の高地に住むチベット系の民族だ。
昔からこのカリガンダキに沿ってインドとチベットの間を隊商として行き来することで財をなし、住居や生活様式もネパールの中ではかなり洗練された民族で、特に「ネパールで一番料理が上手な民族」として知られている。
そのため、ネパール国内の多くのレストランが経営者あるいはコックの中にタカリ族がいるかいないかに関係なく店に「タカリ」という名称をつけている。
カトマンズ市内中心部の外国人旅行者が集中するタメルなどのエリアにも「タカリキッチン」という看板を掲げた店がいくつもあるを見ることができるだろう。
ちなみに、はるか昔の明治時代、梵語とチベット語の仏典を求めて2回も当時鎖国状態にあったチベットを訪れた日本人僧侶の川口慧海が密入国のさまざなま準備などを行うために長らく滞在したのもこのタカリ族の村であったりして、日本とも関係の深い民族ともいえるだろう。
山小屋風の店内。天気がよければ外がおすすめ
店は、ヨーロッパのアルプス山脈にありそうな(ほめすぎ?)山小屋風の外観をしている。
正面の窓のひさしの上には薪とトウモロコシがディスプレイされているなど、なかなか芸が細かい。
店の建物の前は本来なら駐車スペースになるのだろうか、ブロックを敷き詰めた広々としたエントランスがありテーブルが置かれている。
建物の中は結構薄暗いので、天気がよければこちらに座ったほうが気持ちがいいと思う。
店内はいくつかのスペースに分かれている。
ネパールでトレッキングした時に泊るバッティ(茶店兼宿屋)のような一列に食事の細いテーブルが並んでいるスペース。
奥のスペースはこれまたネパールの少し高級な店にあるような背もたれを高くして座ると区切られた感じになるソファのようなイス席が並んでいる。
店内の壁にはヒマラヤの山中の様子の写真がたくさんかけられているので、時間があったら見て回ろう。
盛り付けはちょっとさびしいが遠慮なくおかわりを
メニューは、英語併記のキチンとしたものが用意されている。
右のメニューの「Capital Grill」は隣にある同じ経営の洋食店で、ステーキなどが載っておりこちらの料理も注文が可能なので、ダルバート以外が食べたい場合もこの店は使うことができる。
とはいえ、やはりここではダルバートだ。
おしゃれ系(?)の店だからか、各料理の盛り付けもちょっとずつだ。
この写真だけ見ると「これでお腹いっぱいになるのかな?」という印象を抱くかもしれないが、基本的に肉以外はおかわり自由なので、足りなければ遠慮なく店員に追加してもらおう。
チキンカレー
この店はカロダル(黒い豆のスープ)だ
ネパールではダルというと黄色いレンズ豆が一般的だが、普通の家におじゃまして出て来るのはこのカロダルということも多い。
自分が2年間居候していた家も、必ずカロダルだった。
ジャガイモのタルカリ(野菜カレー)とアチャール(箸休め)2種
ジャガイモと一緒に入っているのは、インゲン豆のような野菜だ。
苦瓜のチップスとかこじゃれている
パパドと青菜のカレー炒め
主に豆の粉から作られるインドのせんべい「パパド」は、自分が住んでいた頃のカトマンズではこれほど一般的ではなかったが、ダルバートがどんどんインド化されていくのと並行してどこの店でもついてくるようになった。
「JIMBU THAKALI(ジムブータカリ)」のダルバートは店構え同様洗練された味つけになっていてヘンなクセがないので、外国人旅行者を含め万人受けすると思う。
そういう意味では、あまりネパール料理にはなじみがない旅行者とかもとっつきやすいのではないだろうか。
食後はすぐ近くの高級スーパーで買い物もできる
今回紹介したオシャレ系ダルバートの「JIMBU THAKALI(ジムブータカリ)」があるのはカトマンズ市内中心部ではないので、少しアクセスはしにくい。
ただ、市内から来る途中には王政廃止以前に王族が住んでいたナラヤンヒティ宮殿があったり、店から北に5分ほど歩けば街で最高級の大型ショッピングセンターである「バートバテニ」があって、お土産に好適なカレースパイス、チャイの素(インド製)やお菓子などをがあってお土産探しにもおすすめだ。
カトマンズ市内の旅行者が多いようなエリアでも、ダルバートの店は特に日本から来た旅行者は衛生的に不安に思うようなところもあるが、この「JIMBU THAKALI(ジムブータカリ)」はそういうった面でも問題がなく誰でも利用することができるレストランだと思う。
来ているお客さんもキチンとした身なりのビジネスマン風や裕福そうなファミリーだったりするので、そんな今風のネパール人を見ながらダルバートをいただくのもまた一興だろう。
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