チェンマイ人の多くはタイヨーン族の末裔
チェンマイ盆地に人が住み始めたのはおよそ2000年前と考えられているが、その歴史はビルマ(ミャンマー)および中部タイの国々との戦いの繰り返しであった。
その過程で1776年から80年間もの長きにわたってこの街はまったく人が住まない廃墟となってしまったが、ラムパーンのカーウィラ王がラーマ1世の信任を得てチェンマイ再建に取り組んだ。
カーウィラ王は「野菜を採ってカゴに詰める作戦」と称して、タイヤイ(シャン)族、チェントゥン(現在のミャンマー・シャン州にある街)のタイクーン族、その東のムンヨーン(同)に住むタイヨーン族などを強制的にチェンマイに移住させ、その末裔が今日のコンムアン(คนเมือง=都人=チェンマイ人)となっている。
チェンマイ中心部ではその面影はもうほとんど見ることはできないが、少し郊外に出れば今でも「***族の村」として自分たちの伝統文化を守りつつ暮らしている姿に触れることができる。
今回紹介する「ワットパーターン」はタイヨーン族の村の中にあり、自分たちの文化を保存するため博物館や古い寺子屋を併設、機織りや薬草を使った伝統医療クリニックに村の子供たちを対象とした伝統工芸ワークショップなども行っており、日中は常に村人が寄り集まって世間話をしているようなコミュニティの中心となっている寺院だ。
サンカムペーンの南にあり行くなら自前の足が必要
「ワットパーターン」はチェンマイの東隣にあるサンカムペーンの南にある。
公共交通機関はないので、自動車かスクーターなどの自前の足が必要だ。
Grabなどの配車サービスを使う場合は、市内に戻る車がすぐに見つかるような場所ではないことに留意しよう。
チェンマイ市内からだと国道1317号線をひたすら15kmほど進み、信号のついた交差点を斜め右に折り返す感じで曲がって700~800m行った右側だ。
交差点の一角にはタイヨーン族の銅像が立っている。

寺院の手前には広々とした駐車場が用意されている。

駐車場の奥には、最近伝統医療クリニックが開設された。

オープンしているのは週のうち3日だけだが、その時には結構な人が訪れている。
ワットパーターンの見どころ詳細
ワットパーターンは、それほど大きな寺院ではない。
が、内部には普通のタイ寺院にはない小さな見どころがたくさんある。
お祭りや葬儀などの仏事が行われていなければ人もほとんどいないので、ノンビリと巡るのがおすすめだ。
敷地に入ってすぐ左手の大きなガルーダ像

詳しい来歴などはわからないが、ご利益があるのかここだけお参りして帰ってしまう人も結構いる。
写真のように大量の供物が置かれている時もある。
村の女性がいつも集っているみやげ物売り場
ガルーダ像の奥の建物は、外がみやげ物売り場になっている。


タイヨーン族の伝統工芸である「トゥンヤイメーンムム(ตุงใยแมงมุม=蜘蛛の巣の旗)」の壁飾りをはじめ、村人手作りの物が並んでいる。
「トゥンヤイメーンムム(ตุงใยแมงมุม=蜘蛛の巣の旗)」は高いものでも300THB程度なので、お土産にするといいと思う。
自分はチェンマイと東京両方の自宅に飾っている。
店の脇では、村人たちがおしゃべりをしながら商品を手作りしていることも多い。

タイヨーン族の伝統工芸に美しく飾られた本堂
本堂は寺院の門を入った正面になる。

本堂自体はこれといった特徴はないが、入口付近に「トゥンヤイメーンムム(ตุงใยแมงมุม=蜘蛛の巣の旗)」が飾られていてとても美しい。


本堂の内部はガラーンとしている。
ご本尊は白く塗られた細面のタイヨーン顔(?)だが、手前に時計塔や段々の飾り棚が置かれていて全体像を見ることはできない。

木槌マッサージや薬草、機織り機などが並ぶスペース
本堂に向かって左手の狭い通路を進むと、細長い東屋がある。
ここには手前から、トークセン(木槌マッサージ)、薬草(ハーブ類)保管&商品展示、布地類展示販売、機織りのスペースが並んでいる。
トークセン(木槌マッサージ)は、ただ床にマットを敷くか簡易ベッドを置いただけのスペースだが、サウナまで備えている。
ただし、実際に使えるかどうかは不明だが。


自分がここで施術が行われているのを見ることはめったにないが、どうやら普段はトークセン(木槌マッサージ)の技術を教えるのに使われているようだ。

なお、この寺院では市内で開催される観光客に大人気の「JJマーケット」に出張してトークセン(木槌マッサージ)を行っている。
不定期のようだが、もし施術を受けるのであればそちらに行ったほうがいいかも。
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薬草(ハーブ類)スペースは後ろの壁沿いに各種薬草(ハーブ類)を入れた中身が見えるようになった缶がズラリと並んでいて、なかなか壮観な風景だ。

この方面に興味のある人が見たら、いくら時間があっても足りないかも。
手前のショーケースには、薬草(ハーブ類)を使ったクリーム類やマッサージ用のハーブボールなどが入っていることが多いが、まったく何も置かれていない時もある。

もしかしたら、どこかに卸しているのかも。
ここに人がいることはないので、ほしい商品があったら上記みやげ物売り場に持って行こう。
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薬草(ハーブ類)スペースの先は、最奥の機織り場で作ったと思われる布地類をはじめとする工芸品が展示販売されている。


こちらも品揃えにはかなりばらつきがあり、写真のようにたくさんストックされている時もあればほとんど何もない時もあったりする。
もし、ほしいものがあったらすぐにその場で買ったほうがいいと思う。
向かいの通路側のショーケースには、タイヨーン族の伝統的な「カロー帽子」と呼ばれるヘルメット風の帽子が並んでいる。

これも、チェンマイ市内のみやげ物店ではなかなか見る機会がないものだ。
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東屋風の建物の一番奥には、機織り機が並んでいる。
機織り機の近くには糸車が置かれていて、女性が糸を紡いでいる様子が見られる時もある。


日中なら、たいてい誰かが座って機織りをしているのを見ることができる。
タイミングによってはたくさんのカラフルな糸が近くにかけられているのだが、これもおそらくこのあたりで作っていると思われる。

本堂に向かって右手はイベントスペース
本堂に向かって右手はちょっとしたオープンスペースになっているが、ここではさまざまなイベントが開かれる。
多いのは子供たちに村の歴史や伝統工芸技術を教えるワークショップで、開催中は大勢の子供たちがいてにぎやかだ。

イベントの内容によっては、きれいな民族衣装に身を包んだ人々が参加していることもある。

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この広場のすぐ脇に小さな堂があるが、これは地元の企業が建立したものだ。
堂自体はたいしたことはないが、壁にはタイヨーン族の生活習慣などが描かれており興味深い。


奥にある小さな博物館と昔の寺子屋は必見!
本堂を背にして左を向くと、角にプラクルアン(お守り)などの売り場のある建物がある。
その右側に、「トゥンヤイメーンムム(ตุงใยแมงมุม=蜘蛛の巣の旗)」がものすごくたくさん吊るされた小道が通じている。


小道は寺院の奥まで行くと左折するが、その先にいくつかの見どころがある。
まず左手にあるのが、古いタイヨーン族の住居だ。


古民家は2軒あるが、一棟はほとんど崩壊してしまい放置されている。
いつ頃のものかはわからないが、そんなに古くはない感じだ。
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その斜め向かいのこれまた古い住居は博物館になっている。

「博物館」と名はついているものの、このような古い住居を流用しているため内部はガラーンとしておりいくつかの古い民具などとともに古い写真が展示されている程度だ。

それでも、展示されている写真は昔のタイヨーン族の生活がよくわかるものが多く、とても興味深い。
この住居もそうだが、タイヨーン族はつい近年までかなり質素な暮らしぶりだったことがわかる。
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博物館の隣には、昔の寺子屋がある。

移築したものだと思うが一体どこに残っていたのだろうか、一部新しい部材で補修しているものの建物から机といす、黒板まで昔のままだ。
来歴がまったくわからないが、ここに来ると何か往時の子供たちが授業を受けている様子が目の前に浮かんでくる。
個人的にはこの寺院の中で最も好きな場所になっている。
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さらに進むと左手には古い井戸と牛車が、右には経文が収められていた古い箱が置かれた建物がある。


後者はあまり整理されていない感じで残念だが、興味があれば中に入って見みよう。
寺院の裏にある古いタイヨーン族建築ものぞいてみよう
寺院の西側の塀に沿って伸びる路地を入って行ってすぐのT字路の角にある家の敷地の中に入った突き当りに、「フアンチェンクン」と呼ばれる建物がある。

フアン(เฮือน)はカムムアン(チェンマイ語)で「家」のことを指す(標準語ではルアン(เรือน))。
この建物は、元々はカムペーンピチット王が2人いた妻のためにおよそ80年前に建築した住居だったが、子孫が途絶えたためここに移設されたという。
「チェンクン」は、この建物を作ったカムペーンピチット王の時代を意味するとのことだ。
建物の手前左手には、「カロー帽子」と呼ばれるヘルメット風の帽子が陳列されている。

この帽子は、パーターン村で100年以上前から作られて来たタイヨーン族の伝統的なものだったのだが、すぐ近くのボーサーンの傘のほうが有名になってしまいほとんど作る人がいなくなってしまったそうだ。
そのため、文化継承目的で古いものを保存しているらしい。
この建物は現在のオーナーによって1階はレストラン、2階は博物館として開放されていたが、現在は営業していないようで道沿いの門も閉まっていることが多い。
毎週木曜日はローカル色たっぷりの門前市
ワットパーターンが単なるタイヨーン族の伝統文化を保存するだけでなく、今もコミュニティの生活の中心となっている寺院であることの証左が、毎週木曜日に開催される門前市だ。
定期市は、寺院前から国道1317号線との交差点までのおよそ700mに渡って開かれる。

売られているものはタイヨーン族とは関係ない食品や衣類、生活用品が中心で主なお客は近隣に住む出稼ぎのタイヤイ(シャン族)などだ。
市内のタラート(市場)よりもローカル色がさらに強く値段も安いことが多いが、特に旅行者にとっては買いたいと思うようなものはほとんどないだろう。




スナックを買い食いなどしながら、ブラブラ散策するのがいいと思う。
空港送迎から観光まで300近くのチェンマイアクティビティ!



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