どんなところ?
チェンマイ市内中心部のお堀沿いにあるタイヤイ(シャン族)の寺院。
チェンマイには、ワット・プラタート・ドーイステープをはじめとしてワット・スワンドーク、ワット・プラシンなどいくつもの有名寺院(ワット)があるが、ウィハーン(本堂)やチェディ(仏塔)などの基本的なデザインはどこも大差がなく、人によっては「同じようにしか見えない」と、退屈してしまうようだ。
しかし、ラーンナー文化の中心地として栄えてきたチェンマイには、この地方独特の様式を持った寺院も数多く存在している。
そんな中のひとつが、このワット・パーパオだ。
ちなみに、市内にはもうひとつ有名なタイヤイ(シャン族)寺院があり、それはお団子型のチェディ(仏塔)が有名で日本語のガイドブックにも載っているワット・クータオ。
「もう、タイのお寺は見飽きた」という方、タイヤイ(シャン族)やラーンナー文化に興味のある方にはおすすめのスポットだ。
ロケーション
お濠の北辺外側のマニーノパラト通り沿い。
チェーン・シープーム(お濠北東角)からだと100mほど西、チャーンプアック門からだと600mほど東に行ったところになる。
寺院の全体像はお濠からは見えないが、カムムアン(ラーンナー文字)、タイ語、英語の順に寺院名が刻まれた看板がついた普通のタイ様式と異なる木製の山門が目印になる。
来歴
建立はインタウィチャヤノーン王の治世下の1883年とそれほど古くない。
200年以上にわたったミャンマー支配下の後、何とか1796年にチェンマイを再建したラムパーンのカーウィラ王は、すっかり荒廃して打ち捨てられていた街を復興するために、チェンマイ周辺に広く居住していたタイヤイ(シャン)族、チェントン(現在のミャンマー・シャン州の州都)のタイケーン族、チェントンの東のムアンヨーンのタイヨーン族をこの地に移住させたが、19世紀後半に入るとチーク材の集積・輸送の中心地となったことから、北方からさらに大量のタイヤイ(シャン族)がその仕事に携わるために移民してきた。
ワット・パーパオは、この移民によって建立された。
境内
門をくぐって少し進むと、左側にウィハーン(本堂)がある。
建立当時は木製だったらしいが、現在はレンガ造りで漆喰の装飾で覆われている。
全体に茶系の渋い色使い、中央から両端にかけて連なる、門と同様に幾重にも重ねられた屋根とどこを取っても典型的なタイヤイ(シャン族)様式で、その落ち着いたたたずまいは、一般のタイ式寺院よりは日本人の好みに合っているような気がする。
本堂の内部には、正面にある階段を登って入る。
床はすべて木で覆われていて、ヒンヤリとした感触が実に気持ちよく暑い日などは一度座り込んでしまうとなかなか立ち上がることができない。
一番奥にある本尊は白い肌に金色の袈裟をまとい、青色の光背を従えている。
細いアゴや目の形などは一般のタイ様式、あるいはチェンマイの寺院にあるラーンナー様式や遺跡で見受けられるスコータイ様式などとも明らかに異なる。
自分はタイの仏像に詳しくないので詳細はわからないが、タイヤイ(シャン族)様式とでも言うのだろうか?
ウィハーン(本堂)の東側には、漆喰でできた薄汚れたようなチェディ(仏塔)がある。基壇は八角形と四角形を重ね、上部は大きな釣鐘型をしており、さまざまな装飾がつけられている。
最上部の装飾は傘をモチーフとしたミャンマー様式のものになっている。
四隅には麒麟(アフリカにいるキリンではなくビールのラベルにもプリントされている中国神話由来の創造上の霊獣)の像があるほか、半分土に埋まったような傾いた楼門が特に印象的だ。
日本の援助で建てられた学校もある
寺院の南側に建つ白い3階建ての細長い建物は、日本のODA(政府開発援助)で造られた、ミャンマーから来たタイヤイ(シャン族)の子どもたちにタイ語を教える学校だ。
校舎の壁には「JAPAN」と書かれたステッカーがたくさん貼られており、それを見ると何となく誇らしい気分になってくる。
平日の昼間に行くと、子供たちが皆でタイ語の発音をしている大きな声が聞こえてくるのがほほえましい。
祭りの時は街じゅうからタイヤイ(シャン族)が集まる
何もない普段の日は静かだが、仏教祭事のある日、とりわけアーサーラハブーチャー(三宝節)と ポーイサーンローン(タイヤイ(シャン族)の得度式)の日は、チェンマイ中から集まった民族衣装に身を包んだタイヤイ(シャン族)の人たちで身動きが取れないほど混み合いあう。
いずれの祭事も年によって日取りが変わるのだが、もしうまくタイミングが合うならぜひ行ってみよう。
普段はタイ人社会の中に埋没して特に外国人の眼ではなかなかわからないが、実際にはこの国の経済活動を支えている(いわゆる3Kの仕事はミャンマーからの出稼ぎのタイヤイ(シャン族)によって行われていることが多い)彼らの存在を目の当たりにすることができるだろう。
記事を見て行かれたナームさんからの情報です
4月の初旬に訪れた際は、子供たちの出家の練習日だったようで、仏教のお勉強をしているのを目にしました。
やはりビルマ人の子供が大半のようで、他のお寺とは少々雰囲気が違う子供たちでした。
あちらのお坊さんも(声をかけたお坊さんの返事によると)ビルマ人と言っていました。
子供たちは普段着のままでしたが、教官役の僧侶は棒を持って結構、厳しく教えていました。
本堂の横にある建物で合宿をしているのだそうです。
また、ワット・パーパオの近くには、ヒンドゥー寺院があります。
このヒンドゥー寺院は少々新しめで、さほど面白くはないかもしれません。
ご本家(インドの)の寺院と比較したら、仏陀もほかの神々と同等の地位で祭られているのが興味を引きました。
この日は、チェンマイでアジア1周ツアーだね!という感じでした。
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