チェンマイ市内やや北部にある、チェンマイ県内の街と間を結ぶ中近距離バスが発着するチャーンプアック・バスターミナルの中にあるという、ユニークな廃寺。
文献にはまったく登場せず、歴史などはほとんどわからなかったが、1986年の修復の際に調査が行われ、写真の仏塔の中に、もうひとつ小型の円形の仏塔があることが判明した。
そしてその仏塔が、マンラーイ王(ラーンナー・タイ王国創始者)時代の典型的なスタイルであることから、極めて初期のラーンナー・タイ様式であることが確認され、古い歴史のある寺院であることがわかった。
今見ることのできるチェディ(仏塔)は15世紀に作られたもので、最下部の四方形の基壇は古いラーンナー様式を受け継いだ形をしている。
その上の2段のくびれ部分には、小さな輝く飾り(ガラス?)が付けられていたらしい。
上半分は、ほとんどが修復時に新たに作られたものだが、中央部にあるアーチ型の屋根飾りが付いた窓には、かつては仏像が安置されていた。
さらにその上には3段に重なった同様の窓が作られていて、これらの上についている人字型の屋根飾りはカヌンの花の形を模したデザインになっている。
最上部の尖塔は、ラーンナータイ様式とクメール様式が混ぜ合わさったようなスタイルだ。
その一方で、パーツによってはラーオ(ラオス)様式の影響も受けており、チェンマイの地理的・文化的位置を知る上で興味深い。
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