友人と会食して自宅に戻る途中、バイクがパンクしてしまった。
時間は夜の10時過ぎ、場所はチャーンプアック競技場にほど近いサナームキラー通りで、パンクしたバイクを自宅まで押して歩いて帰るにはちょっと厳しい距離だ。
さて困った、ということで家の面倒を見てくれている友人に電話すると、「すぐ近くに深夜営業の修理屋があるからそこへ行け」とアドバスがあり、言われた場所へロトロとバイクを運転していった。
店は、チャーンプアック通りとソイ2(チャーンプアック病院の前を走る一方通行路)が交差する十字路の角にあった。
「ปะยาง มอเตอรไซค์(パヤーン=パンクしたタイヤにゴムをはって修理する、という意味【養徳社「タイ日辞典」P1081】・モーターサイ=モーターサイクルの略でバイクのこと)」としょぼい手書きの看板が出ているだけのほとんど掘っ立て小屋のような建物で、その中にポツンと中年男性が座っていた。
店の中にバイクを止め、「パンクしちゃったんだけど……」というと、男性は笑顔も見せずに小さくうなずくと、早速修理に取りかかった。
修理が終わるまで待つためのイスがいくつか置かれており、そこに座って待つ。
店の中には何ひとつとして余分なものはなく、修理の価格表が目立つ程度だ。
夜遅いとはいえこの日はかなり温度が高く、店内は扇風機がブンブンとうなりを立てて回っているものの、生ぬるい風が身体をなで回すだけで汗がドッと噴き出してくる。
そんな中で、男性はてきぱきと作業をこなしていく。
パンクしている個所を見つけると、「すごく小さな穴だから、チューブを取り替えずにゴムシートを接着剤でくっつけてふさぐこともできるけど、どうする?」と聞かれたので「チューブごと取り替えちゃってください」と答えると、やはり小さくうなずくだけで、店に置いてある新しいチューブのビニール袋を破って中身を取り出し、再び作業を始めた。
地元の人にはよく知られた店なのか、自分が修理を終わるのを待っている間にも、次から次へとお客がやってくる。
店内でそのお客たちを見ていると、なかなか楽しい(タイトル下の写真)。
パンクの客はいなかったが、チェーンカバーが外れてしまった人、おそらく酔っ払い運転か何かでコケたのだろう、ギヤチェンジするための足乗せレバー(名称がわからん)が曲がってしまった若いカップル2組づれ……などなど。
店には男性ひとりしかいないので、若いカップルたちには大きな木槌を投げ渡し、「こうしろ、ああしろ」と言いながら自分たちで修理させている。
男性もところどころで手伝いながら10分くらい格闘していた(すっかり酔いもさめたことだろう(笑))だろうか、何とかギヤチェンジできるようになると、「お金はいらないよ」と言って木槌だけを返してもらっていた。
無口で愛想はよくないけど、何かすごく良心的だぞ。
チェンマイでバイクに乗っていると、パンクはよくあることだ。
夜出歩かない、というなら別だけど、バイクに乗る人はこういう店を知っておいて絶対に損はないと思う。
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