どんなお店?
チェンマイ市内のやや北部のピン川右岸沿いにある、まともな看板すら出ていないのに、夜は予約しないとまったく入れないくらい地元の人たちに大人気の知る人ぞ知る海鮮タイ中華料理レストラン。
店名はタイ語ではเลิศรส、英語ではLERTS ROSと書いてあるが、発音がカタカナではうまく表記できないので「ルートロット」は便宜的なもの、程度に思っていただけると助かる。
ロケーション
看板などが出ていないため、特に夜に初めて行った時は店を見つけることすら難しいかもしれない。
ラタナコーシン橋西詰からピン川右岸を走るワンシンカム通りを500mほど北に向かい、テンカラオケを通り過ぎてさらに400mほど進むと小さな商店が立ち並ぶ一角があり、右手に「168」という大きな数字を掲げたグレーの壁のカフェがあるが、その角にあるソイ(路地)を入って10~20mの突き当たりに店はある(タイトル下の写真)。
店の唯一目印となるのは入口、と言っても一般の住宅のような木製の扉なのだが……に置いてある何も入っていない冷蔵庫とその上部に赤いタイ語と英語で書かれた店名の文字だけだ。
通りから店の中をのぞいても客席などはまったく見えないため、「本当にここはレストランなのだろうか?」と不安になるだろう。
ちなみに、スーパーハイウェイからワンシンカム通りに入って南に進んだ場合は200mほどだ。
TEL:053-872092
店の中も、まったく飾り気がない
店の中に入ると、そこはオートバイや生活用品などが置かれているガラーンとしたスペースになっており、ますます不安になってくる。
そのまま奥に進むと、今度は階段があるホールのような場所になり、ここまで来るとようやく奥から料理を作る音が聞こえてきて少し安心する。
さらに進んでいくと、今度は店のキッチンが左手に見える。
お世辞にも清潔とは言えないが、一番手前で50代くらいの男性がほぼ一人で大忙しで料理を作っており、その奥で手伝いの女性が2~3人動き回っている。
キッチンを抜けると、ようやく普通のレストランの風景が広がる。
それほど広くはないが2つのスペースに分かれており、席は全部で20ほどあるだろうか。
アルミのテーブルにプラスチック製のイスと飾り気がまったくなく、木の床は人が歩くとギシギシと音を立て、テーブルも揺れるという状態。
店の一番奥の列のテーブルはピン川に面していて、本来であれば流れを臨むことができるはずなのだが、大きなゴレンシ(スターフルーツ)の木が邪魔をしていてよく見えない。
実は、この木が店のシンボルともなっており、店の正式な名前はルートロットの後ろに「ゴレンシ(スターフルーツ)の木の陰の下」を意味するใต้ร่มมะเฟืองをつけて「เลิศรสใต้ร่มมะเฟือง=ルートロットタイロムマフアン」、常連客は前部分を省略して「ใต้ร่มมะเฟือง=タイロムマフアン」と呼ぶそうだ。
あっさりしているが、凛とした味わいが口に広がる料理の数々
メニューには60~70種類の料理が並んでおり、もちろんタイ語のみで値段すら載っていないが、だいたい150B~350Bくらいの範囲に収まるようだ。
ただし、カニ料理などは500Bとかするものもあるので、心配な人はあらかじめ値段を聞いたほうがいいかもしれない。
また、キッチンを抜けたところに掲げられたホワイトボードにも料理が30~40種類書かれているほか、その下の床に置かれたホワイトボードにもその日のおすすめ料理が出ているので、注文する時には両方を見たほうが選択肢が広がるだろう。
通常のメニューにはお店のおすすめとして、トムヤムプラー(魚のトムヤムスープ)、カームプープリックタイダム(カニの爪の黒コショウ炒め)、ムクチュプペントート(イカのフリッター)、クンプリックグルア(エビの塩胡椒炒め)、ゲーンソム(魚の入った酸味スープ)の5種類が紹介されていて、このうちムクチュプペントートとクンプリックグルアは、ほとんどのテーブルの客がオーダーしている。
料理の味付けはどれもかなり薄いのだが、芯は非常にしっかりとしている。
普通のタイ中華料理を食べ慣れていると物足りないくらいに感じられるかもしれないが、色々な料理を食べ進めるにしたがって、ひとつひとつ凛とした味わいが口の中に広がって来る。
個人的に特においしいと思うのは、まるで澄まし汁のようにクリアなスープなのに、具の魚やベースとなっているスパイスのひとつひとつの味がくっきりと立っていて非常にシャープな印象を受けるトムヤムプラー(魚のトムヤムスープ)、メニューやボードには出て来ない裏メニューで、カニの爪だけを使った見た目はコッテリと脂っこく見えるのに、口に入れるとフワ~ッとしたマイルドなカレーの風味が広がってまったくしつこさを感じさせないプーパットポンカリー(カニのカレー粉炒め)、さらにご飯料理で唯一メニューに紹介されているカーオパットプー(カニ炒飯)だ。
基本的に何を頼んでもハズレがないので、何の料理かよくわからないままにオーダーしたとしても、きっと満足できるだろう。
旅行者には非常にハードルが高いお店だが……
店の看板すら出ておらず、日本語はもちろん英語もまったく通じないだけでなく、中華系の店にはありがちだが店員の愛想も決していいとは言えないので、一般の旅行者にはかなりハードルの高い店になるだろう。
またお世辞にも店内は衛生的とは言えず、清潔好きな人は席につく手前のキッチンを見ただけで帰りたくなるかもしれない(笑)が、味は間違いない(ちなみに、店名のルートロットは「最高の味」という意味だ)。
その証拠に、夜は予約なしの飛び込みで行ってもまず席につくことができない。
料理の量が全体的に多いので、できれば4人以上で、行ったことがあって場所がわかっているタイ語が堪能な人かタイ人にあらかじめ予約してもらってから一緒に連れて行ってもらうほうがいいだろう。
そうでないと、ヘタをすると冗談抜きに店にたどりつくことすらできない可能性がある。
営業時間は11時~14時、17時~21時で年中無休となっており、ランチタイムはそれほど混んでおらず予約も必要ないらしいので、チャレンジ精神旺盛な人は昼間行ったほうがいいかもしれない。
タイ語に不安がある方は、抜群の翻訳精度のこちらをおすすめします
コメント
初めまして!毎日覗いてはいるのですが、コメントを残すのは初めてです。
なかなか美味しそうなお店ですね。この界隈に出没することはないのですが、行ってみたいと思います。中国料理の系統では台湾料理が好きなのですが、今のチェンマイには私の好きな料理があるお店が見当たらないのが残念です。20年程前にはナイトバザールのマクドナルドの裏に1軒あったのですが・・・
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
食在清邁さん
コメントありがとうございます!
ホイケーオ通りのナコンピンコンドの斜め向かいに「台湾小吃店」の看板出してる店がありますが、私は食べたことがありません(お客さん入っていないような……)
すてきなサイトを運営していらっしゃいますね。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m
ご返信ありがとうございます。
「台湾小吃店」さんは安くて美味しいことは美味しいのですが、あまり台湾料理らしくないメニューが多いのです。サンティタムの「金餃」さん(まだアップしていませんが)はやはり餃子がメインで台湾っぽいのは肉燥飯と香腸くらいです。昨年7月からエバー航空、その後エアーアジアがチェンマイ/台北線を開設したので今後台湾料理のお店が増えてくることを願っています。メーサロンのウーロン茶は台湾の阿里山から原木を持ち込み台湾の方が技術指導されたのですが、土壌が合わないのか最近は香りが落ちてきているのが残念です。メーサロンの雲海を見たときは阿里山の雲海を思い出したので気候的には合っていると思うのですが。
インドネシアはシンガポール近くのバタム島、ジャカルタ、ジョグジャカルタ、バリと訪れましたが、ソロはまだです。インドネシア料理はガドガドとテンペが好きです。マレーシアも宿泊したのはのはクアラルンプール、ランカウィ、ペナン、バターワースくらいであとはタイとの国境の街をあちこち訪れたくらいです。東南アジア11カ国はすべて訪れているのですが、イスラム圏はむしろ中東にハマりました。イスラム圏の夕方のアザーンは風情があって大好きです。
日本に住んでいて、チェンマイに来れるほど長くない休みの時はいつも台南に行っていたので、時々サバヒーとか食べたくなるのですが、お話をうかがうとチェンマイでは難しそうですね。
メーサロンは年に一度お茶の買い出しに行きますが、お店の話では周辺はお茶の作りすぎで土地がやせてしまい、いいお茶はミャンマー側で作らせて運んでいるそうです。
あちらこちらにご旅行されていてうらやましいです。私は毎年カトマンズとか、行くところが固定されてしまって……(^^;