プレーの街最後の支配者の住居
チェンマイから自動車で4時間ほどのところにある、チーク材で栄えた時代の美しい建物が残る街プレーの旅。
ウォンブリー・ハウスを見学した後は、クムチャオルワン・ムアンプレーに向かう。
向かう、といっても両者は500mも離れていないのだが。
TEL:054-524158
クムチャオルワン・ムアンプレーは、日本語のガイドブックにはまったく紹介されておらず、それよりも情報量が圧倒的に多い英語のガイドブックですら本文外のコラムで数行触れられているだけであるが、個人的にはここも絶対にはずせない見どころだと思う。
クム・チャオルワン・ムアンプレーはプレー県最後のチャオルワン(支配者)の住居であるが、入場の時にいただいたブローシャーによれば
ピリヤテーパ・ウォンウドーンは、ビジョンとリーダーシップを通じてプレーの人々と信心深い仏教徒を繁栄へと導いた。
彼の配偶者のメージャオ・ブアライも、絹に仏陀の教えを手で刺繍することによって、同様に仏教を復興させた。
この刺繍は、ワット・プラバート・ミンムアンで見ることができる。
統治のための彼の最も意義深い戦略的プランは、プレー警官隊を設立したこと、また地元産品の取引を活発化させることによって経済を発展させたことである。
また彼はプレーで最初の学校を設立し、それは今日のピリヤライ学校となっている。
1902年、ピリヤテーパ・ウォンウドーンはプレー県ンゲーで反乱を起こし失敗した後、ラオスへの移住を余儀なくされた。
これによって、プレーのチャオルワンという地位は終わりを告げたが、その影響は永遠に忘れられることはない。
とのことである。
ウォンブリーハウスのピンクとは対照的ともいえる淡い緑色をベースにした建物は、日本人好みの色づかいと言えるだろう。
コロニアル様式の美しいインテリア
72カ所という多数の窓があるレンガとセメント造りで内部にチーク材を用いたこの家は、ヨーロッパとタイをミックスしたコロニアル様式のインテリアになっていて、チャオルワンが居住していた当時使用していた家具や食器などが展示されている。
この日はほかに見学者もなかったからか、職員の方がつきっきりで館内を説明してくれた。
というか、もしかしたらここは職員と一緒でないと見学できないのかも。
チャオルワンの寝室
豪華なテーブルセットのダイニングルーム
館内を説明してくれた女性の職員の方はサービス精神旺盛なのか、テーブルの上に置かれていた食器などを手に取ってこちらに渡してくれたのでじかに触れることもできたのだが、うっかり落としてしまわないかとちょっと怖かった。
が、そのうちのひとつの陶器の皿には聞いたことがない(今はない?)日本のメーカーの名前が書かれており「はるばるここまでお皿も旅してきたのだなあ……」とカミさんとふたりで感慨にひたったのだった。
インテリアや展示物だけではなく、窓やひさし、屋根下の装飾も美しくてついつい足を止めて見入ってしまう。
バルコニーからは美しい庭園を眺めることができる。
もうひとつの見どころは地下に造られた牢屋!
この館のもうひとつの見どころが、地下に造られた牢屋だ。
中腰にならないと頭がつかえてしまうくらい天井が低く造られたこの牢屋では、罪人に対して厳しい刑罰や拷問などが行われたようで、当時の写真が展示されている。
罪人にはまともな食事が与えられることがなく、上階に住むチャオルワンたちが食べ物を床に開けられた穴から気まぐれに投げ落としていたらしく、その穴も残っている。
この牢屋で命を落とした罪人もたくさんいて、今現在もその霊がさまよっているそうで、牢屋を見学して外に出る時には牢屋のほうを向いたまま後ろずさりしないと、いずれ霊たちにここに引っぱり戻される、という言い伝えがあるということだ。
美しい建物の外観やインテリアからは想像もできない一面なので、ここも見逃さないようにしたい。
向かいには第二夫人の父親の住居もある
クムチャオルワン・ムアンプレーの館内を案内してくれた女性が、「この建物と道路をはさんだ向かいには、第二夫人の父親の家がありますよ」と教えてくれた。
プレー最後の統治者ピリヤテーパ・ウォンウドーンの住居の真向かいに第二夫人の父親の住居、ここから500mと離れていない場所に第一夫人の住居「ウォンブリーハウス」と、みんなで仲良く近くに住んでいたのかなあ(笑)
もっとも、第二夫人本人の住居がどこにあったのか、そしていったい何人のミヤノーイ(เมียน้อย=妾)がいたのかも聞かなかったのでわからないのだが……
第二夫人の父親の家は、ほかの建築物のように公開されてはいなかった。
というよりも、県立ナーリーラット学校の校舎として、何と現在も使用されているのだった。
授業中なので当然中に入ることはできず通りから眺めるだけしかできなかったが、濃い目の青と緑で彩られたこれまたなかなか趣のある建築だ。
クムチャオルワン・ムアンプレーを訪れたら、ぜひ眺めるだけでもしてほしい。
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