プレーの旅へ
カミさんとちょっと久しぶりにどこかにドライブ旅行しようということになったのだが、タイ北部の主要な街にはあらかた行ってしまっており、なかなか行き先が決まらない。
2人で「まだ滞在していないところはどこかな~」と地図を眺めていると、プレーが目にとまった。
その先にあるナーンには何度か行ったことはあるのだが、いつもプレーは通過するだけだ。
泊りがけで行くほど見どころもないだろうと思っていたのだが、チェンマイ市内の本屋でタイ語のプレー県のガイドブックをパラパラと見たら結構観光スポットもあるようなので、それを買って早速出かけてみることにした。
チェンマイ自宅を朝遅くに出発し、国道11号線をラムパーンまで下る。
その先はデンチャイの街まで行って国道101号線に入ってプレーに向かうつもりだったのだが、ラムパーンから40kmほど進むと「←プレー」という道路標識が目に入ったので、予定を変えて左折して国道1023号線を進んだ。
片側1車線、ところどころ2車線になったアップダウンがあまりない車も少ない快適なドライブで、途中の小さな街でランチを済ませて14時頃にプレーに到着した。
ワット・チョームサワンのロケーション
そのままホテルに入ってもよかったのだが、部屋に入っても特にやることがないのでその前にガイドブックにあった寺院に立ち寄ることにした。
行ったのは、街の中心部から少しだけ北東にはずれたところにある「ワット・チョームサワン(วัดจอมสวรรค์)」だ。
総チーク造りの美しいタイヤイ(シャン族)寺院
ワット・チョームサワンは見てわかる通りタイヤイ(シャン族)様式である。
ラーマ5世時代、1900年から1912年にかけてチョーンナンに率いられたタイヤイ(シャン族)の労働者によって建設された。
タイヤイ(シャン族)は、19世紀末から20世紀の初めにかけてイギリス人のチーク商人の下で労働者、あるいは奴隷として働くために多数がプレーに移り住んできたらしい。
寺院は、道路に面した部分を除き大きな木に囲まれている。
寺院の入口は重層構造の屋根で典型的なタイヤイ(シャン族)様式だ。
上部の屋根の側面には、雷文模様の装飾が付けられている。
靴を脱いで階段を数段登ると、おそらくタイヤイ(シャン族)であろうおばあさんが数人談笑していて、その前にお参り道具が置いてある。
お布施を置いてお参り道具を手に取り本堂の中に入ろうとすると、おばあさんから「あんた、どこの国の人?」と聞かれた。
「日本人ですが、チェンマイに住んでいます」というと、色々と質問されてしまった(笑)
外国人が来ることが少なく、もしかしたら興味を持たれたのかもしれない。
寺院の内部は非常に広い。
総チーク造りでところどころミャンマー様式も取り入れられており、何本も太い柱に支えられた内部の壁や天井には錫製の枠組みに色ガラスがはめ込まれた飾りがつけられている。
正面奥にある本尊は「ルワンポーサーン(ลวงพ่อสาน)」と呼ばれている。
サーンは「編んだ竹」という意味であり、その名の通り竹を編んで作った仏像の表面に漆を塗り、さらにその上に金箔を貼って作られている。
ご本尊の脇の棚には、象牙製の仏像やビルマ語で刻まれた象牙製の16ページからなる仏教聖典が保管されているそうだ。
本堂の周りはほとんどが草むらのようになっているが、チェディ(仏塔)群もあった。
チェンマイ市内にも、ワット・パーパオやワット・クータオなどタイヤイ(シャン族)式の寺院はいくつかあるが、このような規模での総チーク造りのものは見たことがない。
このワット・チョームサワン、タイ語のガイドブックによれば国内のタイヤイ(シャン族)様式の寺院として最も美しいもののひとつとみなされているそうだが、それもうなづける。
プレーの街の観光の始まりとしてはなかなかいいものを見ることができ、この後の旅に期待を膨らませながらホテルへ向かった。
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