プレー最後の支配者の第一夫人の住居
まるごとチーク造りの家、「バーン・プラタプチャイ」を見た後は、チェンマイで購入したタイ語のプレー県のガイドブックにしたがって観光していくことにする。
まずは、旧市街のほぼ中心にあり日本語や英語のガイドブックでも紹介されている「ウォンブリー・ハウス」だ。
TEL:081-8830546
館内の案内看板および入場料を支払った時にもらったチケットがわりのしおりに書かれていた解説によれば
現在はミャンマーのシャン州にある昔のラーンナー王国・チェントゥンのメンラーイ王朝のチュラマニー・シリメクプーミン王子の血統につながるプレーの支配者の住居。
プレー最後の支配者、ルアン・ピリヤテープウォンの第一夫人の住居として1897年に建設された。
中国・広東から建築者が雇われ、地元のタイ人の建築者が協力して建設した。
ラーマ5世の時代に流行した装飾スタイルが多く用いられており、完成には3年を要した。その外観、内装の美しさから、当時を舞台とした映画などの撮影でたびたび利用されている。
1993年には、王室が後援するサイアム建築家協会の「傑出した建築遺産」に選出された。
とのことだ。
ちなみに、ウォンブリー・ハウスという名称の「ウォンブリー」は、ルアン・ピリヤテープウォンの相続人であったプロムスナンター・ウォンブリーの名前に由来するようだ。
建設以来一度も塗り直していないピンクの壁がかわいい!
このタイプのコロニアル様式の外観の建物はプレーに限らずタイ北部各地で見ることができるが、このウォンブリー・ハウスがほかと一線を画しているのは、その美しい色づかいだ。
壁という壁は一面、高い寄棟屋根のひさしの部分にまで複雑な木彫の装飾が施されている。
職員の方の説明でビックリしたのだが、何とピンクの色は建設当時そのままで塗り直しなどを一切行っていないそうだ。
当時は化学塗料などなかったと思うので、色あせ・色落ちなどしないように壁を塗るのはさぞかし大変だっただろうと思う。
ちなみに、カミさんはこの色がたいそう気に入ってしまい、日本の自宅の壁を10年ぶりに塗り替えた時に業者に写真を見せて、この色に近いものにしてもらったほどだ(笑)
当時の生活がしのばれる数々の展示
内部には全部で20の部屋があり、入口で靴を脱いで見学する。
どの部屋も床がピカピカに磨かれており、「毎日の掃除が大変だろうなあ」などとくだらないことを考えながら各部屋を見て回った。
どの部屋にも建設当時に使われていた、まさに贅をつくしたと思われる家具や調度品が展示されている。
応接間だけはカーペット敷きになっていた
正面の掲げられた額の女性がこの家の所有者である第一夫人だ
ベビーベッドが一緒に置かれた寝室
ダイニングルームであろうか
夫人の下僕たちが事務を執り行ったらしい部屋
部屋にはこの家で作成されたと思われる書類などが展示されているが、中には奴隷を売買した時の契約書があったりする。
理由は詳しくわからないが、この契約書は撮影禁止となっていた。
中央のガラスケースの中に奴隷の売買契約書が入っている
事務を行ったと思われるスペースは何か所かあったが、どこも「こんなところで仕事したら、気持ちがよすぎてはかどらないかも」と思ってしまうくらい居心地がよさそうだ。
ウォンブリー・ハウスで個人的に特に気に入ったのは窓際の風景で、どこを切り取っても絵になる美しさだ。
プレーに来たら絶対にはずせないスポット
自分はチェンマイのほかタイ北部のさまざまなこのようなコロニアル様式の建築物を見学してきたが、このウォンブリー・ハウスの完成度、美しさは群を抜いており、なかなかこれだけのものを見ることはできないと思う。
また、建物を取り巻く雰囲気もすばらしく、開け放たれた窓から家の内部に時折吹き込んで来る涼しい風を感じながら、車の音も聞こえない中で、往時の人々の暮らしに想いを馳せながらの気持ちのよい見学時間を過ごすことができた。
もし、プレーを旅する、あるいはナーンに行く途中でプレーを通過する機会があるならぜひ立ち寄ってほしい場所だ。
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