チェンマイ市内で自動車を運転していたら、何かヘンな感じがした。
うまく表現できないのだが、少し車が傾いてるというか動きが不安定というのか、とにかく普通ではない。
インパネの計器盤には異常を表示するランプなどは点灯していないので、エンジンとかの問題ではなさそうだ。
イヤな予感しかないのでとりあえず道路脇に車を寄せて止め、ドアを開けて自動車の周囲をグルッとひと回りして見ると……
右後方のタイヤがパンクしている!
動揺していてあわてて撮影したからかこの写真ではよくわからないが、空気が半分くらい抜けている。
さあ、困った。
パンクに気づいたのはあまり土地勘のない場所で、これがパンクしたのがスクーターだったらそこらじゅうに修理屋があるのだが自動車となるとそうはいかない。
グーグルマップを使って店を探すか、タイ人の友達に電話して相談しようかと考えていたら目の前の店にいたおじさんが「どうした?」と声をかけてきた。
「どうやらパンクしたっぽいんだけど、この辺に修理屋とかありますか?」と聞いたところ「ほんの100mくらい先にあるよ」と教えてくれた。
チェンマイ(タイ)のいいところは、困っている人にはまったく無関係な人でも気軽に声をかけて解決の手伝いをしてくれたりするところだ。
「それは助かります。ありがとうございます!」とおじさんにワイ(合掌)をしてお礼を言い、自動車に乗り込んでスピードを落として慎重に運転していくと100mどころか50mほど進んだところに修理屋があった。
店先には男性がポツンと座っていた。
ちょうど客のいないタイミングだったようだ。
自動車を降りて店に入り男性に「パンクしちゃったみたいなんだけど、見てもらえますか」というと、最初は外人がいきなりヘンなタイ語で話しかけたからかビックリしたようだったが、すぐに車のところに来てくれた。
「ああ、これは間違いなくパンクだな。直すまで少し時間がかかるから店の中で待っててくれ」と言うと早速右リアのタイヤをはずす作業に取りかかった。
男性ははずしたタイヤを転がして店の中へと運び込んだ
修理をしている間はやることがないので、店の中に入り適当な場所に座って修理の様子を観察する。
店内は自動車のタイヤが山積みだ
おそらく売り物だろう(チェンマイには中古のタイヤを売る店がけっこうある)。
看板には「タイヤ職人」と書かれていた。
何か、プライドが伝わってくるね。
男性は下にローラーがついた機械の上にタイヤを持ち上げて乗せると、強い光を当ててすこしずつ回し始めた。
どうやらこれでパンクの原因を探すらしい
「こんなやり方で見つかるのだろうか?」と少々いぶかしげに作業の様子を見ていたら、ほんの1分ほどで近くにあったペンチのような工具を手に持ち何かを引き抜いた。
「これが刺さってたよ」と見せてくれたのは1本のネジ
さすがプロ、こんな作業であっという間に原因を見つけてしまった。
男性は一辺が3~4cmほどの黒いゴムのブロックのようなものに接着剤を塗り、パンクした個所に貼り付けると「15分ほどこのままにするからしばらく待ってて」と言うと店の外に出てどこかに行ってしまった。
こういう機会はなかなかないので男性に色々聞いてみたかったのだが……残念。
戻ってきた男性はゴムを貼りつけた場所が固着しているかどうかを確認すると「よしっ」と言ってその周辺を水桶のようなものの中で洗い始めた。
この水洗いにはどういう意味があるのだろうか?
それが終わると機械でタイヤにアルミホイールをはめた
続いてタイヤに空気を入れる
最後にタイヤを車体に取り付けたら完了だ
「終わったよ」とおじさんが言って来たので値段を聞いたら、160THB(約700JPY)だと。
自動車のタイヤがパンクしたのは2度目なのだが、前回はタイヤを買った(新しいのに交換した)B-Quickに行ったら保証期間内(?)ということで無料だった。
なので、この値段が相場と比較して安いのか高いのかはわからないが、個人的な感覚としてはかなり安い気がする。
おじさんにお金を渡し、車に乗り込んで店を後にする。
今回は親切な人が助けてくれたおかげですぐに修理屋で直すことができたが、これが自分たち夫婦がよくドライブするような人家もまばらな田舎道だったらどうなったことだろうか、とちょっと心配になる。
まあ、時間とお金さえかければ何とかなるのだろうが。
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