チェンマイの旧市街の南辺にあるチェンマイ門の南前(旧市街の外側)に建つ廃寺。
チェンマイ門南のにぎやかな商店街の中に、ポツンと取り残されたようにチェディ(仏塔)だけが残っているが、チェディの両脇ギリギリまで商店があるため注意していないと気づかずに通り過ぎてしまうかもしれない。
今からおよそ350年前のタイ暦2100年代終盤、ラーンナー王朝末期に建立されたと推測されるが、その後数々の改修が重ねられており、現在のチェディは、当初の形とはかなり違っていると考えられている。
基壇の部分は、損壊してすでになくなってしまっているが、建立された時代から、当初は横幅が広い四角形をしていたと思われる。
通常、チェディ(仏塔)は3層構造になっているものなのだが、このワット・チェンコーンは、写真でもわかる通り下部と中部がほぼ同じ大きさ・形をしており、一瞥すると2層にしか見えない。
さらに、その上部にあるルアンタートゥ(仏塔の最重要部分で、仏舎利などを入れておく)も、かなり天地が短くなっている上に、通常ならば1辺にひとつの門を作り、その上には漆くいでできた、花や蔓が刻まれたアーチをかけるのであるが、ここではアーチのない門が4ヶ所も作られている。
この門の内部ひとつひとつに仏像が納められていたらしいが、他では見られないデザインだといえよう。
唯一、建立当時の原形をとどめているのは、アンラタンと呼ばれる鐘の形をしたドームから上の部分で、ラーンナータイ初期の典型的なスタイルをしている。
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