チェンマイ市内やや北部、チャーンプアック門からチョータナー通り(国道107号線)を北に進み、チャーンプアック・バスターミナルがある信号のついた交差点を通り越して150mほど行くと左側にサイアムコマーシャル銀行があるが、その角のソイ(路地)を入ってすぐ左側にある廃寺。
この通りの両脇は問屋街(本や地図によっては、ここをエラワン市場と呼んでいるものもある)の中にポツンとチェディ(仏塔)だけが残された廃寺だが、珍しく基壇から頂上部までがきれいに残っている。
チェディ(仏塔)は典型的なラーンナー様式で、設置されている説明書きによるとこの周辺では唯一残されたラーンナー様式のものだということだ。
寺院は16世紀に建造されたと推測されるが、来歴などの歴史的な記録は文献などにはまったく見られない。
基壇は四角形のものが3壇重なり、その上にレンガ造りの多角形型のルアンタートゥ(仏塔の最重要部分で、仏舎利などを入れておく)を支える第2の基壇とでも呼べばいいのだろうか……の部分がある。
その上半分から先は大きさが絞り込まれ、ルアンタートゥへとつながっているが、ルアンタートゥ自体は後から修復された部分がほとんどで、ここだけはレンガ造りでなく色が黄色い漆喰づくりのようになっている。
その上部は急激に直径が絞り込まれた、釣鐘状のアンラタン、蓮のつぼみ型の塔頂部へと続いている。
修復はされているものの、仏塔としては完成されたシェイプを保っており、特に少し離れたところから全体を眺めると、このチェディの美しさを感じることができるのではないだろうか。
チェディの周囲は特に囲いなどがあるわけでもなく、基壇に沿って一周することもできる。
また、アーチ状の装飾(後に修復されたもの)が施された仏像が納められていたであろう部分の内部ものぞき見ることができるが、特に何かがあるわけでもない。
説明書きも出ているが、問屋街の中にあるせいもあって、仏塔ぎりぎりまでトラックが止められていることも多い。
また、チェディの左側には近年置かれたと思われる仏像も一体安置されている。
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