チェンマイ市内やや北部、チャーンプアック門からチェンダーオ、ファーン方面へと続くチャーンプアック通り(国道107号線)を門から北に800~900m行った右手にある廃寺。
寺院の名称は「赤い(แดง=デーン)仏塔(เจดีย์=チェディ)の寺院(วัด=ワット)(外(นอก=ノーク))」という意味で、ここよりも旧市街に近いチャーンプアック・バスターミナルの西に「ワット・チェディ・デーン(ナイ)」というのもある。
ナイは「内(ใน=ナイ)」という意味で、おそらくこの2つの寺院はもともと対を成していたと推測されるが、自分が調べた限りではその関係の詳細についてはわからなかった。
他の廃寺に比べてかなり広い敷地を有しており、その中に上半分が消失してしまった状態のチェディ(仏塔)が残っているほか、その手前の道路に近い部分には井戸だったと思われる遺構も残っている。
このチェディ(仏塔)は、基壇が2つ積み重なっているところが大きな特徴となっており、その形状からタイ暦21世紀以降の建立であると思われる。
また、残存してる部分から、上部のルアンタートゥ(仏塔の最重要部分で、仏舎利などを入れておく)は、つる性植物の装飾が施されたアーチ型の庇がかけられた四角形と円形を混ぜ合わせたスタイルになっており、それがさらに四方から上部のアンラタン(鐘の形をしたドームから上の部分)を受け支えるような造りであったと推測される。
井戸は、ウィアン・クムカームやウィアン・ターカーンといった都市遺跡群の中にある寺院跡にもよく見られるので、もしかしたら寺院が単なる宗教施設というだけでなく、近隣の住民の生活水を提供する場としての役割も担っていたのかもしれない。
以前、この廃寺は敷地の中にゴミが散乱して非常に汚く、とてもチェディ(仏塔)に近づけるような状態ではなかったのだが、近年整備が進み説明書きのボードも設置された。
歴史的にも貴重な財産であり、また古都としてのチェンマイを象徴するものでもあるので、個人的にはすべての廃寺がこのようになってほしいと思う。
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