旅行関連のガイドブックやウェブサイトには、チェンマイ(タイ)は熱帯気候に属しており乾季と雨季の二つの季節に分かれている、と普通は書いてある。
昔、自分がバックパッカーだった頃、旅仲間の間では「Hot Hotter Hottestの3シーズンしかない」とか言われていたこともあるが、まあこれは冗談半分だろう。
実際に1年を通して現地で暮らしてみると、日本の四季あるいはもっと細かく言うと二十四節気……とまではいかないけど、微妙な陽気の変化があることに気がつくのだが、まあ大きくは2つのシーズンで間違ってはいない。
雨季、と言っても日本の梅雨のようにジトジトと雨が降り続くようなことはなくいわゆるスコールで、10m先が見えなくなる文字通りバケツをひっくり返したような激しい雨が降ったかと思えばカ~ッと太陽が照り付けたりするといった感じだ。
なので、昼間の天気からは夜に雨が来るとは思えないような日でも夜中に突然大雨が降ったりして、翌朝起きてみると家の前の道路には大きな水たまりができていたりすることも珍しくない。
で、ある日も日中はほぼ快晴でかなり厳しい暑さだったのだが、夕方から雷鳴がとどろき始めた。
しかし、雷の音は聞こえるもの一向に雨が降ることはなく「今日はこのまま降らないで終わるのかなあ」と思いながら眠りについた。
ところが、真夜中の3時ごろに激しい雨音で目が覚めた。
強くなったり弱くなったりを何回か繰り返していたが、強くなった時には久しぶりに聞くような激しい雨音で、こちらもそれに合わせて雨が弱くなると眠り、強くなると目がさめ……というのを1時間半ほど続けただろうか。
が、そのうちにすっかり眠ってしまったようで、翌朝はほぼいつもの時刻に起床したのだった。
玄関のカーテンを開け、ガラス扉のロックをはずして左右にスライドさせて外に出て門扉にかけてある錠前を開けるためにエントランスの階段を降り始めたら、前の道路に木の枝や葉が大量に落ちているのが目に飛び込んで来た。
どうやら、真夜中の雨は強風も伴っていたようだ。
自宅の寝室の窓の向こうは3,000坪は優にあろうかという隣家の庭で、そこには大木が数え切れないほど立っていて風をさえぎっていたのだろう、風が吹いていたことにはまったく気がつかなかった。
「あ~、派手に枝や葉が落ちてるなあ」と思いながら、反対側に顔を向けて自宅の庭を見たら、もっとビックリしする光景が目に飛び込んで来た。
何と、バイク用の日よけ傘が倒れていたのだった。
この日よけ傘はチェンマイの東にあるサーペーパー(手すき紙)で有名なボーサーンの街で作られたもので、生地(傘地)の部分は防水加工をした紙で、土台や中棒(シャフト)、骨はすべて木(竹?)でできている。
チェンマイのホテルのプールサイドや、オシャレ系のレストランやカフェでよく使われているものでかなり気に入っていたのだが……無残な姿をさらしていた。
ちなみに、こんな風になる前の傘はこうだった。
チェンマイは盆地だからなのか、東京に比べると普段は風が強く吹くことが少ないように感じるが、スコールが来たりするとこのように被害が出るほどになる。
朝方はまだ雨が残っていたので手が付けられなかったが、9時過ぎにはあがったので壊れた傘をたたんで分解し、紐でしばってゴミ回収車が次に来る時に出せるように始末をした。
値段的には大したことはない(確か700THB≒2,450JPY)ので買い直してもいいのだが、また壊れたら悲しいし、かといってビニール製とかに変えてみたところで風に吹かれたら同じだろう。
さて、どうしたものか……と直射日光が当たっているバイクを眺めながら、この日一日考えていたのだが結局結論は出なかった。
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