はじめに
チェンマイは、旧市街のお堀の一辺が約1.5km、スーパーハイウェイ内の市街地全体ではおよそ7km四方あり、主要な観光スポットがその中および周囲に点在しているので、それらを歩いて回るのは困難で、また効率もよくない。
さらに、場所によってはソンテウやトゥクトゥクなどの公共交通機関がほとんど通らないので、行ったはいいが帰る段になって足の確保ができず途方に暮れる、ということも容易に起こり得る(Grabも場所によってはすぐにつかまらない)。
このような地理的特性を考えると、多少距離があっても楽に移動でき、時間や帰りの交通機関のことを気にせず、自分の都合に合わせて観光が楽しめる乗り物として、レンタカー・レンタルバイク・レンタサイクルの利用価値は、大いにあると言えるだろう。
実際、これらの乗り物を貸し出す店は、ターペー門やナイトバザールあたりをはじめ、旅行者が多く訪れるエリアには山のようにあり、正月などの繁忙期を除けば選択肢はいくらでもあるので、チェンマイにある程度の期間滞在するのであれば、ぜひ利用することをおすすめしたい。
レンタルする時の注意点
いずれの乗り物を借りる場合も、契約前には書面(自転車はないことが多い)などを通じて条件などをよく確認し、少しでも不明な点があれば店員に質問するようにしよう。
何となくわかった気になっていたが、いざ問題が起きた時に自分の理解とは異なっていた、と言っても後の祭りだ。
また、万が一事故や故障などが起きた時にいつでも連絡できるよう、店(スタッフ)の携帯電話番号を教えてもらっておくと安心できるだろう。
自動車はもちろんだが、バイクもタイでは一般庶民にとってはとても高価なもので盗難も多発しているので、ほんのわずかの時間駐車(輪)する場合でもハンドルは必ずロックし、バイクはキーの差込口にフタがついていたら必ず閉めよう。
最近ではバイクや自転車のカゴに入れたバッグなどをひったくられる、という事件も多いので、ベルトをミラーにかけてからカゴに入れる、あるいは肩からたすきがけにして体から離さないなどの対策も講じるようにしたほうがよい。
また、街なかにあるヘルメット屋などではカゴにつけるネットも売られているので、それを使ってもいいだろう。
自動車の場合は信号待ちをしている時にバイクを脇に止めてドアを開け、シートに置いている荷物を奪うという事件もあるので、ドアロックを忘れずに。
あまり神経質になることもないとは思うが、「ここは日本とは違うのだ」ということは、いつも頭の片隅に置いておいたほうがいい。
また、バイクと自動車を利用する場合は、日本で国際運転免許証を必ず取ってくること。
最近は市内の至るところでで警察がなかば外国人を狙い撃ちする形で検問していることも多いので、パスポート(コピーでもだいじょうぶだと思う)とともに国際運転免許証は常に携帯しておくべきだ。
昔のように、免許不所持などで捕まった場合、賄賂で簡単に放免してくれるとは限らない。
さらに、タイでは一部の交差点では左折する時に赤信号でも曲がってよいなど、日本とは異なるローカルルールがいくつか存在する。
これは、文章で読んでもなかなかその場面に遭遇してみないことには理解するのはむずかしいと思うので、バイクや自動車を借り受けたらいきなり本格的に走り出すのではなく、例えばターペー門近くの店で借りたらお堀をゆっくり1周してみるとか、感覚を慣らすために少し試し運転をしてみるといいのではないだろうか。
いずれにしても、(自分に責任があるかどうかに関わらず)事故などに巻き込まれる可能性は日本よりもずっと高いので、慎重の上にも慎重を期して、運転するように心がけよう。
また、道案内などの標識も英語併記で割とキチンと設置されているので迷うようなこともないだろうが、できれば書店で地図を事前に購入してからドライブに出ると安心だろう。
やはり、スマホの地図アプリとは違うよさがあると思うので。
レンタサイクル(貸し自転車)
レンタサイクルは、この3~4年で特に数が多くなったような気がする。
自分は腰痛を抱えているため友人が借りるのに付き合ったことしかないが、レンタル料もかなり安い。
自転車も、以前は中国製のゴツくてしばらく乗ったらお尻が痛くなってきそうなものが大半だったのだが、最近はマウンテンバイク型のものを貸し出している店も多く見かけるようになった。
チェンマイの気候(3月~5月には40度を越える日も珍しくない)や地勢(中心部を外れると坂道が多くなる)を考えると、よほど体力に自信のある人は別にしてあまり遠方に行ったりするのには向かないと思うが、たとえばお堀の内側の寺院だけを見て回るという場合だったらレンタサイクルでも十分用は足りるだろう。
レンタルする場合は、イスの座り心地や車体がゆがんでいないか、チェーンはしっかりしているか、ブレーキはちゃんときくかなどをチェックするようにしたほうがいいと思う。
また、乗る時には帽子をかぶる、日焼け止めを塗る(特に首の後ろ側は忘れやすいので注意)、水分補給をこまめにするなど、日射病・熱射病に対する防御策を講じてからにすること。
また、これは自転車に限ったことではないが、チェンマイ市内は一方通行の道が非常に多いので、自転車の場合もそれは遵守したほうがいいと思う。
たまに、一方通行を自転車で逆走している外国人旅行者をみかけるが、傍から見ていると非常に危険でヒヤヒヤする。
バイクや自動車が中心のチェンマイの道路では、自転車は基本的にうまく交通の流れに乗ることができないので、交差点を通過する時や道路を反対側に渡る時などは十分周囲に注意しよう。
チェンマイ(タイ)では、日本のように歩行者や自転車を優先する習慣はまだまだしっかり定着しているわけではないので、日本のように自転車が道路を渡ろうとしているからといって、自動車やバイクが止まってくれると安易に期待しないほうがよい。
実際にレンタサイクルで街を走ったスーさんからのアドバイスです
チェンマイ市内での自転車の乗りかたですが、自動車やバイクと同じ「車両」としてルールに従って走れば、意外と安全で走りやすい街だと思いました。
ただし「車両」ですから、レーン変更などの際にはしっかり後ろを確認したり、手でサインを出すことが重要です。
日本の市内を走ると、スピードの遅い自転車を邪魔者扱いする車が多く、プレッシャーを感じながら走ることになります。
タイでは自転車を含め、ポンコツスクーターや3人乗りで重くなったバイクなど、スピードの出ない車両も路上にたくさん走っており、それらに非常に寛容です。
猛烈な交通量のお堀周りで、手で車輪を漕ぐ身障者の自転車とも何回かすれ違いました。当地のドライバーは安全な距離を空けてくれるし、無理な割り込みを絶対にしない、というのが自転車に乗った私の感想です。
しかしながら、チェンマイ市内に限って言えば、お堀の周りは道幅があり、直進やUターンの際、車に伍して車線変更をする必要があります。
日本で歩道をチョロチョロ乗っている程度のライダーは、やはり乗らない方がいいでしょう。
なお、私がチェンマイに行ったのは12月ですが、涼しくて大変自転車に適した気候でした。
レンタルバイク
レンタルバイクは、個人的にはチェンマイを見て回るのに最も適した乗り物だという気がする。
渋滞に巻き込まれることもなく、自動車では入りにくいようなソイ(小道)もスイスイ行くことが可能で、駐輪場所に困ることもない。
自転車のように疲れることもなく、郊外や山道を行くのも簡単だ。
レンタル料は、店やバイクの種類、マシンの状態(同じ店の同じタイプのバイクでも、新しいものは高かったりする)、レンタル期間などによって幅があるが、最も一般的なホンダのスクーターで、1日100~250THB程度(ほかに、デポジットとしてパスポートを預かったり保証金を取る店も多い)で、レンタカーに比べると値段もグッと手ごろだ。
最近ではカワサキなどの大型バイクを貸し出す店も増えてきており、そうした乗り物に興味のある(かつ乗りこなせる)人にとってはうれしい限りだろう。
こうしたバイクなら、チェンマイから他県に出てタイ北部を広くツーリングすることも可能だ。
借りる時は、目立ったキズなどの損傷がないか、ブレーキがきくか、ヘッドライトや方向指示器がちゃんとつくかなどをきちんと確認してからにしよう。
運転する時には、後部座席に乗る人を含めヘルメットを必ずかぶること。
通常は店で貸してくれるが、ない場合や「人がかぶったのはいやだ(たまにひどいニオイがするものとかもある)」という人はロータスやビッグCなどのスーパーマーケットか街なかにあるヘルメット屋で簡単に手に入る。
値段も200~300THB程度からあるので使い捨てにしても惜しくはないだろう。
現地の人は何もかぶらずに運転していることも多いが、最近は警察による検問も頻繁に実施されており、ヘルメットをかぶっていないと呼び止められてトラブルになる。
何より、事故に遭ったら即、命の危険にさらされることになる。
また、タイでは昼夜を問わずバイクのヘッドライト点灯が義務づけられている。
警察などとの余計なトラブルに巻き込まれないためにも、運転時には必ずヘッドライトをつけるようにしよう。
さらに、市内を運転する場合、トゥクトゥクやソンテウの後ろにはあまりピッタリ近づかないようにすることをおすすめする。
これらは、客を乗降させるために急な停車や路線変更を頻繁にするので、非常に危険だ。
ガソリンは、通常借り受けた時にはほとんど入っていないので、まずはガソリンスタンドに行って補給することになる。
ガソリンには2種類あり、タイでは91(ガオヌン。タンマダー(普通)ということもある)と95(ガオハー。スーパーということもある、いわゆるハイオクタイプ)のどちらかをまず指定し、次いでどのくらい入れるかを言う。
その場合入れる単位はリッター数ではなく「30THB」とか「50THB」とか金額を言ってその分のガソリンを入れる。
満タンは「เต็มถัง(テム・タン(タンク。省略してもOK))」という。
普通のスクーターの場合、どんなにたくさん入れても100THB前後なので、満タンにしてしまうことをおすすめする。
レンタカー
一緒に行動する人数が多かったり、地方に出かける時にはレンタカーが重宝する。
以前は、旅行者がレンタルするのは圧倒的にスズキジムニーが多かったのだが、最近ではセダンタイプやSUV、ワンボックスなどバリエーションも豊富なので、予算(車の種類によって1日1,000~4,000THBくらいまで幅広い)や用途に応じて好きなものを選ぶことができる。
借りる場合は、路上に車を止めて「貸します」というボードを屋根の上に乗せているようなところではなく、キチンと店を構えてるところにしたほうが安心だ。
中級以上のホテルであれば、ホテルのコンシェルジュに相談するのもいいと思う。
借りる場合の注意はおおむねレンタルバイクと同じだが、自動車の場合は車体に傷などがついている場合、事前に店のスタッフときちんと確認しておこう。
それを怠ると、自分が傷をつけたとして返却時に責任を問われることもある。
さらに、返却する場合はガソリンをどうするのか(借り受けた時に入っていた量と同じくらいにして返すのか、そのまま返して減った分を大体で計算してお金を払うのか)なども聞いておいた方がよい。
優良店では、日本同様それらをきちんと確認・説明してくれるが、いい加減な店も多いので後でトラブルになることを防ぐためにも、契約時には細心の注意を払うようにしよう。
タイは、日本と同じ左側通行なので運転時にはそれほどとまどうこともないだろうが、郊外に出ると多くの車は100km以上の猛スピードで爆走する。
しかし、慣れない道ではなるべく速度は控えめにして、後ろから車が迫ってきたら、あせらずに追い抜かせるようにした方がいい。
また、タイ人は山道の見通しのきかないようなところでも平気で追い越しをかけてくるが、決してまねをしないように。
タイの道は結構広くて路面の状態もよく、ついついスピードを出しやすいが、突然道が大きく曲がっていることも多く(一応標識は出ているが)、たまに大きな穴があいていたりもするので常に前方の道路の状態に気を配っておこう。
県境や郡境、峠などの主要なポイントでは、検問も頻繁に行われている。
それらに遭遇した場合、なるべく丁寧に応対して、パスポートや免許証の提示、あるいはトランクを開けるよう命令されたら素直に従おう。
ローカルの店と比べても大して高くありませんチェンマイで自動車をお持ちのラビットさんからのアドバイスです
日本から来て、チェンマイの街の運転ルールに初めて接すると「メチャクチャだ!」と感じる方も多いようです。
実際に、運転技術的な点では日本のようなしっかりした教習システムもありませんし、上手ではないドライバーも多いようです。
しかし、チェンマイにはチェンマイなりの交通ルールやマナーが確立しており、日本のものとは違うということを理解してしまえば、それなりの秩序が保たれていることに気がつくと思います。
チェンマイの街は、一方通行の道がとても多いです。
自動車でこの一方通行を逆走すれば当然交通違反ですし、事故のもとです。
そして注意したいのは、時間帯によって流れる方向が変る道があることです。「何時から何時までは、どちらの方向へ走れ。」と標識に書かれてはいますが、タイ語表記のためわからないかもしれません。
その場合は、一方通行の入口で走ってくる車の方向を確認してから進入すると安心です。
後続の車にはジャマでしょうが、タイのドライバーはこの程度のことにこだわる人は少ないようです。
タイは日本と同じ左側走行ですが、たまに右側通行の道があったりして面食らいます。
具体的にはワローロット市場の西側、チャーンモーイ通りとターペー通りを結ぶ道です。
ロータリーが多いのも、チェンマイの特徴です。
ロータリーでは、先にロータリーへ侵入している(右から来る)車が優先されています。
ロータリーの中には、T字路の真ん中にドラム缶を置いているだけのところもあります。
その場合、ドラム缶の右側を抜けて走行することが大切です。
押しボタン式信号の横断歩道も設置されています。
本来、歩行者があり歩行者用の信号が青(つまり車は赤)の場合は、日本同様に横断歩道手前での停車義務があります。
しかし、実際には停車しない車も多く、横断歩道手前で急停車すると、追突されることもあります。
一般の横断歩道でも、交通規則上は歩行者優先となっており、歩行者の横断を妨害した場合は、罰金刑となっています
タイのドライバーの中にも歩行者を尊重している方がいます。
よいマナーのドライバーを見習いたいものです。
交差点での左折について、前方の信号が赤であっても、多くの交差点で左折が認められています。
左折時には右からの直進車と、歩行者に十分注意して曲がりましょう。
不安な時は、信号が青に変ってから左折しても後続のドライバーは待ってくれるでしょう。
一方右折では、交差点で前方の信号が青であっても、右折信号灯のあるところでは待ったほうがいいようです。
また、右折しようとする際、直進対向してくる車がパッシングをしてきても、それは日本のように「どうぞ」と道を譲ってくれるものではありません。
日本とは反対に「あぶないぞ!どけどけ!!」との警告です。
パッシングされたら、必ずその車の通過を待ってください。
そのほかタイでの運転の鉄則としては、イライラしないこと、特定の車に対してクラクションを鳴らさない(恨みをかって因縁をつけられたり、最悪銃で撃たれることがある。よくテレビニュースでやっている)こと、車の流れを守ること、シートベルトを着用することなどがあげられると思います。
何かあった時にはやはり大手のほうが安心です
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