ダムロンとその一族
ダムロン
この物語の主人公。チェンマイ市街、サンパコーイの路地裏に住むごく普通の一家の長男であったが、父親の死をきっかけに裏稼業の世界に入り込む。
クルンテープ(バンコク)での八百長ムエタイ(キックボクシング)の噛ませ犬役や白黒ショーの男役などを皮切りに、ありとやらゆるまともではない仕事に携わる。恐ろしいほどの悪相で、日本のヤクザ並に入れ墨をしている。
なぜか周囲の人の心をつかんでしまうような親分肌の性格だが、怒ると人間は無論のこと、犬でさえ怖がるくらいの迫力がある。普段は、釣りと博打を仕事のように日課としている。
ティップ
ダムロンの女房殿。姉御肌で世話好きなこの一家のまとめ役だが、普段はダムロンの忠実な僕に徹している。
チェンマイの北方に位置するファーンで生まれたが、15歳で親によってクルンテープ(バンコク)に売り飛ばされ白黒ショウの仕事などをさせられた上に、身ごもった子供を取り上げられる、という過酷な経験をしている。
心が広く寛容だが、イザとなると普段からは想像できないくらいの度胸を発揮する。
ケオ
ダムロンの一番上の弟で、私がダムロン一家と知り合うきっかけとなった人物。家族4人で、ダムロンの家と同じ敷地内に建つバラック小屋で生活している。
自分の年収以上の金が入った財布の忘れ物をわざわざ届けてくれるほどの好人物だが、後に麻薬におぼれ一家の厄介者となってしまう。
ボアライ
ケオの奥方。
セン/ダナイ
ケオとボアライの間にできた2人の息子。
ソムサック
ダムロンの次弟。やはり、ダムロンの家のある敷地の中に小屋を構えて、家族3人で暮らしている。
普段はおとなしくまじめな性格であるが、酒癖がこの上なく悪く、飲むとアッという間に人がかわってしまう。
ニン
かわいらしい感じのソムサックの奥さん。
ノーンラップ
ソムサックとニンの間の子供だが、知的障害というハンディキャップを背負っている。
イモン
ダムロンの妹で長女。話好きな男女2児の母。
タウィ
イモンの旦那。ダムロンの家と同じサンパコーイ地区で、小さな自動車整備工場を経営している。
オロワン/ナタポン
イモンとタウィの間にできた長男と長女。
ゲアッ
ダムロンの末弟。おとなしい上にすごくまじめな性格で、博打や色ゴトはもちろん、酒もタバコも一切やらない。ダムロンにとっては自慢の弟で、笑顔が精悍な美男子である。母親、妹(ニーパポン)と、ダムロンの家の敷地内にある母屋で暮らしている。
ニーパポン
ゲアッ、母親と一緒に暮らしているダムロンの末妹。美男子のゲアッと同じく、ダムロンの妹とはにわかには信じ難い、整った顔立ちの娘。おとなしくて、恥ずかしがり屋。
ウィ
ダムロンの知り合いの女性が産死して残した娘で、一家の養女として育てられているという、とてもカワイイ少女。
コップ
15歳になったウィと結婚した、当時17歳のお婿さん。
パタデーン
ダムロンの従姉妹で、ダムロンの家と同じ路地内に弟夫婦と住んでいる。体重150kgはあろうかという、超デブのおばさん。ちなみに独身。
オッ
ダムロンの従兄弟で、パタデーンの弟。パタデーンよりはずっとマシだが、この人もかなりのデブである。リヤカーつきのバイクを使って、プロパンガスのボンベの配達などの仕事をやっている。
ダムロンの友人・舎弟たち
ウィラット
チェンマイ警察の幹部で、ダムロンの幼馴染みであり親友。大物釣りが好きで、暇さえあれば夜釣りに行く。普段はとても頼もしいが、釣果が不満だとやたらに拳銃をぶっ放して鬱憤を晴らすという、アブナイ癖がある。
パン
いつもダムロンと行動を共にしている、舎弟か子分のような人物。ダムロンの自宅の近所にある貸家に、奥さんと幼い娘と3人で住んでいる。
ブン
ダムロン宅の隣の敷地に建つ貸家に奥さんと2人の子供と住んでいる人で、ケオの親友かつダムロンの子分のような存在。手製のパチンコを常に持ち歩いているという変わった人だが、性格はとてもよく信頼できる人物。
パーン
ケンカで人を傷つけ、刑務所に2年服役している間にダムロンと知り合い、出所後ダムロン宅に居候し子分となる男性。普段は、いたってマジメで心優しい青年。
レン
ダムロン宅の近所に出戻りの娘と暮らしているご隠居さんで、一日中、一年中、酒で酔っ払っている。私は、一度たりともこの老人がシラフの時を見たことがない。
ミスターダム
チェンマイの南、ラムプーン郊外にある釣り堀レストランのコック。
ポーン
サンカムペーンの奥にあるダムで、魚を捕ったり釣り人の手伝いなどをして生活している人。
ヌッ
ダムロンの家のはす向かいにある借家に住んでいる大工。
日本人
私
民芸品や色石(サファイヤ)の買い付けのためにたびたびチェンマイを訪れているうちに、ダムロン一家と知り合いになる。
一郎
仕事の下見を兼ねて私のチェンマイ行きに同行し、すっかりハマってしまう私の甥っ子。
田中氏
1960年代から世界各地を旅行して、日本には30年以上住んだことがないという私の友人。某国にて会社を経営している。
鈴木氏
はじめてチェンマイに来たのが1970年という、私よりもはるか以前からチェンマイに通いつめている旅の大先輩。
山田君
私の後輩。後に私がダムロンを堅気の仕事に就かせようとした時、現地でサポートをしてくれることになる。