アーサーラハブーチャ(三宝節)とは
おとといの2019年7月16日は太陰暦8月の満月の日で、タイではアーサーラハブーチャという重要な仏教祝日であった。
日本語では「三宝節」と呼ばれるこの日は、お釈迦様が悟りを開いた後にサルナート(鹿野苑)で初めて仏教の教義を説き(初転法輪)最初の子弟ができた日で、これにより、仏・法・僧(三宝)が揃った日ということで、人々はそれを祝って寺院にお参りに行く。
この三宝は、すなわち悟りを得た仏陀がいたとしてもその教えである法がなければ、そして仏と法が存在したとしてもそれを聞きさらに広めていく僧(修行する出家者)がいなければ教義を伝えていくことができないということで、仏教を構成する最も基本的な要素と考えられている。
ちなみに、タイで寺院などにお参りに行くと、人々が仏像の前にひれ伏して3回地面に頭をつけるようにしてお祈りをしているのを見かけることがあるが、この「仏・法・僧」に祈りを捧げるという意味がある。
この日は多くの人々が朝早くから寺院にお参りに行くが、アーサーラハブーチャ(三宝節)はとりわけタイヤイ(シャン族)の人たちにとって重要な仏事の日であり、チェンマイ市内でも特にタイヤイが集まる寺がにぎわうということで、例年お濠北側のチャーンプアック門にほど近いワット・パーパオに見物がてらお参りに行っていた。
が、今年はちょうどこの日がお友達のお母さんの命日と重なり、朝の6時に寺院にタムブン(徳積行)に行くから付き合うように言われていて、それが8時前に終わったのでまだ時間がたっぷりあった。
なので、それに加えて、市内のもうひとつの有名なタイヤイ(シャン族)寺院であるワット・クータオとハシゴしてみることにした。
ワット・クータオの様子
ワット・クータオは、市内中心部からやや北のチャーンプアック・バスターミナルやチェンマイ市営競技場からほど近いところにある寺院だ。
17世紀の建立とそれほど歴史が古いわけではないが、お団子型(地元では「スイカ型」と呼ぶ人もいる)のチェディ(仏塔)が有名で、たいていのガイドブックには紹介されている。
チェンマイ市内では下に紹介しているワット・パーパオと並ぶタイヤイ(シャン族)寺院として知られているが、自分の中ではアーサーラハブーチャ(三宝節)の時よりもポーイサーンローン(少年の集団得度式)の時がにぎわうという印象がある。
寺院の入口。日本のような立派な山門はない
民族衣装を着ておめかししたタイヤイ(シャン族)の人たちがたくさんいる。
ちなみに門の周辺はバイクとかがビッシリ止まっており、近くの家は庭などを臨時の駐輪場としてひと稼ぎしていた。
境内には露店がたくさん出ていた
人々の間をお坊さんが楽隊を連れて喜捨を募って練り歩く
タイヤイ(シャン族)寺院の楽しみのひとつはきれいな民族衣装を見ることだ
お団子型のチェディ(仏塔)とタイヤイ(シャン族)式の本堂
アーサーラハブーチャ(三宝節)のタムブンは本堂脇の東屋で行われていた
ワット・パーパオの様子
ワット・パーパオは市内中心部のお濠の外側北東角(チェーンシープーム=シープーム砦)近くにある。
来歴など、寺院についての詳細は以下の記事を参照してほしい。
こちらは、ワットクータオと違い木製の山門がある
チェディ(仏塔)の傾いた楼門。背が低くてかがまないと通れない
チェディ(仏塔)。奥に見えるのが本堂
チェディの周囲にはさまざまな店が出ていた
本堂入口前のホールのようなスペース
例年であれば、本堂に出入りする人たちでごった返しており人にぶつからずに歩くのが大変なくらいなのだが、今年は空いていた。
入口でサンダルを脱ぎ、本堂に入るために登らなければならない階段もいつもなら押し合いへし合いなのだが、今年はぜんぜん余裕だ。
で、本堂の中に入ってまたもビックリ。
毎年、入口から一番奥のご本尊まで立錐の余地がないほど人がびっしりなのに、今年は手前半分ほどはパラパラと座っている人がいるくらいなのだ。
タイも今は不景気(といっても日本から見ればぜんぜん好景気だが)で、もしかしたら真っ先に首を切られるミャンマーからの出稼ぎタイヤイ(シャン族)が、もしかしたら仕事を失って大量に帰郷しているのかもしれない。
ともあれ、本堂の一番奥まで進む。
タイヤイ(シャン族)顔の(?)ご本尊
ご本尊の前には坊さんがずらりと並びタムブンを受ける
ここは、いつもと同じように人がビッシリだった。
自分もタムブン(徳積行)を終え本堂を出ると、朝から何も食べていなかったせいかお腹が空いてきた。
本堂の裏手に飲食店などが出ているので、そちら方向に進む。
やはり、結構な人出だ
自分がここに来たら、食べるものはただひとつだけだ。
カーオフンローン
豆ベースのドロッとしたペーストのようなものをかけまわした米細麺。
ツイッターをフォローしてくださっている方は、自分がよく金曜チンホー(馬に乗った中国人=隊商雲南人)朝市で食べているのを見たことがあるかもしれない。
タイヤイ(シャン族)のソウルフードのひとつと言ってもいいだろう。
水回りの設備とかもない臨時の店舗で作っているので味はそれなりだが、それでもチェンマイでは食べられる場所が少ないので、自分としては十分満足だ。
お腹もいっぱいになったところで、今年もタイヤイ(シャン族)寺院、それも2か所でアーサーラハブーチャ(三宝節)の様子を見れたことに感謝しつつ家への帰路についた。
コメント