チェンマイに長く住んでいると、日本にいる時と同様、必ず定期的に行かなければならない場所や店がある。
そのうちのひとつが、床屋だ。
自分は日本にいる時は、昔住んでいた東京の根津にある美容院にそこから引っ越した後もずっと通っていたのだが、こちらではどこに行ったらよいかまったく見当もつかず、お友達から教えていただいたチェンマイランド(市のやや南にある新興商業街)の中にある美容室に行っていた。
そこはチェンマイでは中の上くらいのレベルだろうか、日本の美容室と同様2回のシャンプー、何本ものハサミを使ったていねいなカット、ガラスのふたつきコップに入れてくれる冷たい水……と技術的にもサービス的にもまったく問題はなかった。
が、ある時それまで200THB(今のレートで約700JPY)だった料金がいきなり250THB(同875円)に値上がった。
25%もの値上げである。
200THBだった時にはあまり高いとは思わなかったのだが、一気に値上げされたら急に割高感をおぼえるようになってしまい(それでも日本の1,000円カットよりもさらに安いのだが)、店を変えることにした。
といってもあてがあるわけではなく、家の近く……といっても今住んでいるところは少し郊外になるので歩いて行けるようなところには店がない。
さて、どうしようかと考えていたら、ふと前に住んでいた家のすぐ近くに床屋があることを思い出した。
使ったことはないが、前の家には長くいたのでお互い顔は知っている。
日本でもそうだが、髪の毛を切る店を変えるのは心理的な抵抗感がかなり大きくて面倒くさいのだが、いよいよ髪の毛も長くなってきてがまんできなくなったので、覚悟を決めて行ってみた。
外観はこんな感じ
ホンテウ(何軒かの家がつながったタイ式タウンハウス)の一軒で、よく見なければここが床屋だということもわからないだろう。
看板
チャルーン(เจริญ=繁栄する、発展する)バーバー(บาร์เบอร์=英語の床屋)と書いてある。
「繁栄理髪店」とでも店名は訳せばいいのだろうか?
何かかなりベタだたが(苦笑)
内部はこんな感じ
何か、とってもレトロな感じである。
片方のイスは使えないのだろうか、ほこりをかぶっていた。
客の背中側の壁には小さな鏡がついていて、目の前の大鏡と合わせてバックスタイルも一応確認できるようになっていた。
イスの前に設置されている髪を洗う用と思われるシンクは水栓が取れてなくなり、ただの物入れになっている(笑)
自分とあまり年齢は離れていないと思われるおじさんは、手慣れた感じで首から薄汚れた布を巻き髪を濡らすこともなくおもむろに裁ちばさみのような大きなハサミを持って切り始めた。
自分はタイの学生のような両脇をうんと刈りあげて上にちょこっと髪を残すカッパのようなヘアスタイルは絶対にイヤなので「短くしなくていいから!!」と何度も念を押すように言ったのだが、果たしてわかっているだろうか……はなはだ不安である。
時々ブラシで髪の毛をとかしながらザクザクッとハサミで切り、細かなところはバリカンで整える、という大胆すぎる方法で、10分くらいでカットは終了だ。
その後、何とヒゲまで剃ってくれ(もちろん蒸しタオルなどはなく、たぶん普通の石鹸を泡立てたものをハケで顔に塗っていきなり剃り始める。終わった後は、脱脂綿にローションのようなものをしみこませたものでササッと顔をなでて終了)、かかった時間はトータル20分ほどだろうか。
値段は、60THB(約210JPY)。
これでも、今年に入って50THBから値上げしたとおじさんは言っていた。
今まで行っていた美容室とは設備やサービスも比較にならないが、単純に値段だけ比較したらほぼ1/4である。
家に帰って来て、切った髪の毛がついてチクチクしていた身体をシャワーで洗うと同時に髪の毛もシャンプーして、乾かしてからスタイルを見てみたが、心配していたほど悪くない。
チェンマイでは、そんなにオシャレに気を使ってもしょうがないのでこれで十分である。
おじさんは「土日はワイルン(ティーンエイジャー)が大勢来て混むから、来るなら平日にしな」と言っていたので、次もこの店を土日を避けて利用することにしよう。
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