今回のネパールの首都カトマンズの旅は、前半はお友達の家に泊めていただき後半はどこか適当な安ホテル、という形とすることにしていた。
ありがたいことに「好きなだけ泊まっていいよ」とお友達からは言っていただいていたのだが、お友達にも仕事や用事があるだろうしそうそう長居をするわけにもいかないだろう。
お友達はトリブバン空港に自動車で迎えにも来てくれ、そのまま自宅へと直行した。
自分がカトマンズ(正確には南隣の街パタン)に住んでいた頃からもう36年が過ぎているが、その変貌ぶりはチェンマイの比ではない。
昔なら、空港を出てからしばらくは牛がノンビリと草を食む農村風景が続いていたのだが、今ははとにかく車やバイク、人が多くて喧騒に包まれている。
1990年代後半からマオイスト(毛沢東主義ネパール共産党)が勢力を強め地方部でゲリラ活動を展開、土地を追われた人々が大挙してカトマンズに逃げ込んで来たため街は膨張し、今では盆地を囲む山々にまで住居が建ち並んでしまっている。
「何でこんなことになっちゃったかな~」と車窓から外の景色を眺めているうちにお友達の家に到着。
家は、市街北部のラジンパットと呼ばれるエリアにあった。
自分が住んでいた頃は、ラジンパットというと木の茂った鬱蒼とした森のような場所が多くて行く機会もあまりなかったのだが、今はとにかくビルや住宅がびっしりでもはや緑がほとんどない。
お友達の家に着き、荷をほどいてシャワーを浴びほかのお友達たちに「着いたよ~」という連絡をしていたらあっという間に夕方になっていた。
夜は、家でダルバートをいただく。
ダル(豆のスープ)バート(ご飯)という意味だが、実際のところはこれにカレーとかがついてくる。
ネパールの定食、といったところだろうか。
自分がお付き合いしているお友達のほとんどはこの国で言えば非常に裕福な層にあたり、家にはお手伝いさんが何人もいるような生活をしている。
今回泊めていただいた家にも、カトマンズから少し離れた山間部から出て来た若い女性のお手伝いさんが住み込んでいて、基本的にキッチン周りの家事一切をまかされている。
なので、夕食も彼女が作ったものだ。
この日の夕食全景

チキンカレー

じゃがいもとグリーンピースのサブジ

サブジはカレーの一種で、野菜をスパイスと一緒に蒸し煮にしたものだ。
バリエーションが豊富で、特にお友達の家に招かれると変わったサブジが食べられたりして楽しい。
汁気がないものが多く、経済的あるいは宗教的な理由で肉が食べられない人はこれとダルスープでご飯を食べる。
カリフラワーのサブジ

青菜のサブジ

グンドゥルックのサブジ

グンドゥルックは青菜を発酵させてから乾燥したもので、土地が貧しくまた高地のため作物を育てることのできないネパールならではの保存食品だ。
グンドゥルックのサブジには、大豆が必ず入っているのもポイント。
グンドゥルックなんて、この時食べるまで存在すらわすれていた。
ここで紹介した料理は、たぶん普通の日本語にすると全部「カレー」になってしまうのかもしれない。
が、具材によって使われている香辛料が全部異なっていてそれぞれ独自の風味になっているので、飽きが来るどころかむしろそれが楽しい。
ダル(豆のスープ)

ご飯

ネパールで主に食べられている米はタイと同様インディカ種なのだが、バスマティ米といってタイのものよりもさらに細長い。
大皿から自分の皿に取り分けて、いただきます!

日本に住んでいた時にはカミさんがしばしば作り、また近年は多数のネパール人が日本に住んでいることもあってレストランなどで食べる機会も多かったダルバート(日本でインド料理レストランを名乗っている店のコックが実はネパール人というところは非常に多い)。
チェンマイにネパール料理店はたぶん存在せず、インド料理店が10軒ほどあるだけだが正直言ってレベルは非常に低い。
ちなみに、バンコクのインド料理も自分の実感としてはやはりレベルが高いとは言いがたく、タイ国内にいるとぜんぜん食べたいとは思わない。
やはり、本場のネパールで食べるものは一味も二味も違った。
久しぶりに「あ~この味、この味」と感慨にふけりながら、パクパクといただいたのだった。
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