どんなお店&スンタリーさんはどんな人?
チェンマイ北部郊外のピン川沿いにある、タイ人の間では超有名な北タイ料理レストラン。
「フアン」はカムムアン(チェンマイ語)で「家」という意味で、「スンタリー・ウェチャーノン」はオーナーの名前だ。
スンタリー・ウェチャーノン(สุนทรี เวชานนท์)さんは、北タイのみならずタイ人の多くが知っていると言われるくらい有名な、チェンマイの北100kmほどのところにあるファーン郡出身の北タイフォークソング歌手で「サーオ・チェンマイ(สาวเจียงใหม่=チェンマイ娘)」という、チェンマイの女性とミャンマー(ビルマ)の男性の悲恋物語を歌った楽曲が代表作だ。
また、近年では北タイフォークソングを現代風にアレンジした曲で立て続けにナンバーワンヒットを飛ばした人気シンガー、ランナー・カミンのお母さんとしても知られている。
なので、もちろん料理もおいしいのだが、店の最大のウリはこのスンタリー・ウェチャーノンさんのライブが楽しめることにある。
ロケーション
店はもともと市内北部のラマ9世橋の近くにあったのだが、2006年9月に現在の場所に移転した。
現在は、北部郊外のパーターンと呼ばれる地域のピン川右岸沿いにある。
市内中心部からだと、ピン川右岸を走るワンシンカム通りをひたすら北上し、スーパーハイウェイとの立体交差を過ぎてそのまま2.5kmほど行った右手。
店の周囲は夜行くとほとんど真っ暗だが、駐車場に止まりきれなかった車がパーターン通りにまであふれていることも多いので、すぐにわかるだろう。
通り沿いに出ている、スンタリー・ウェチャーノンさんのシルエットをモチーフにした赤い看板が目印だ。
TEL:083-8608196
WEBSITE:https://www.huansoontaree.com/
かなり広い店内 ライブをいい席で見るなら予約を
通りから店の敷地に入ると広い駐車場になっており、建物はその奥に位置している。
店内に入ったすぐのところはウエイティングスペースのようになっておりみやげ物などを販売していて、その先が客席に向かう通路になっている。
両側の壁には、スンタリー・ウェチャーノンさんやラーンナー・カミンさんのポスター、昔のチェンマイの写真などが飾られており、客の目を楽しませてくれる。
客席は2階建ての巨大な建物に加え屋外席もあり、すべてを合わせたら軽く50テーブル以上はあるだろう。
大小のタイ北部の灯篭が天井から吊り下げられていて雰囲気を醸し出している。
ステージはこの建物の入って右手の2階に作られており、客席はその正面の1階と2階および建物から川のほうに少し降りた屋外に設けられている。
建物内の1階の席はステージを見上げるような形になってしまう(場所によってはステージが見えない)ので、スンタリー・ウェチャーノンさんの歌を楽しむのなら、2階に席を取るのがベストだと言えるだろう。
ただし、ここは予約しないと確保がむずかしく、トイレに行くのに毎回階段を降りなければならないのがデメリットだ。
川に面した屋外席は、音は聞こえるがステージそのものの見るのは困難な席がほとんどとなっている。
おすすめは北タイ料理
店のメニューは凝ったデザインのタイ語、英語、中国語併記のものが用意されており、Snacks And Appetizers、Northern Thai Dishes、Specialty Dishes、Fish Dishes、Soup/Curry、Stair-Fried Dishes、Grilled-Baked、Sour And Spicy Salad、Thai Salads、Thai Vegetarianなどに分類されている。
店員もよく教育されており、質問などにも結構ていねいに答えてくれる(ただし英語がどの程度できるかは店員によって異なる)ので、相談しながらメニューを決めるのもいいと思う。
料理の値段は、魚料理など一部を除けば120~250THBといったところだろうか。
実は、店がここに移転するにあたって多くの従業員が通うのが大変になるという理由で辞めてしまい、コックもほとんどが入れ替わってしまったため、味が変わってしまったという評判が立ったことがある。
確かに、旧店で自分が一番おいしいと思っていた、というか、タイでこれほどおいしいのを食べたことがなかったガイホー・バイトゥーイ(鶏肉のバイトーイの葉包み)がまったく別の料理になってしまったりして、自分もしばらく足が遠のいていた。
が、メインシェフのラーンナー・カミンさんの旦那さんをはじめスタッフの努力もあってか、現在は十分普通の店以上のレベルの高さを保っていると思う。
メニューに載っている一番メインの料理はやはり北タイ料理で、ここに来たらぜひそれらを中心に食べてみてほしい。
個人的なおすすめとしては、ラープコア(コアは「炒る」という意味で、家を建てたとか結婚とかお祝いごとがあった時によく食べる北タイ風の豚肉の唐辛子ハーブ和え)、ゲーンケー・ゴップ(カエル肉のケーの花入りスープ)、ガイムアントート・サムンプライ(地鶏の北タイ風ハーブ揚げ)、トムクローン・プラークローブ(日干しした魚をベースにした、非常にスパイシーなスープ)、ヌアオプ・ラーンナー(北タイ風牛肉の蒸し煮)などがあげられる。
北タイ料理のことがよくわからなければ、まずはオードブル・ムアン(北タイ料理盛り合わせ。大皿と小皿がある)を頼んでおけば間違いない。
アートと呼ぶにふさわしいスンタリーさんのライブ
しかし、このレストランの最大の魅力は、繰り返しになるが何と言っても店のオーナーであるスンタリー・ウェチャーノンさんのステージだ。
日曜を除く毎日、20時から21時半まで行われているそのステージ(娘のラーンナー・カミンさんも店にいる時はジョイントする)は、アコースティックギター(ギタリストの腕前もかなりものだ)だけをバックに従えた、北タイ方言のフォークソングを中心に構成されている。
ちょっと鼻にかかったような独特の声(音楽家の友人を店にお連れしたことがあるのだが、その人によれば腹式呼吸の反対語である胸式呼吸による発声だそうだ)で、時には涙を流しながら情感たっぷりに歌い上げる彼女のステージは、ほかのチェンマイにあるレストランやパブに出演しているアーチストたちのものとはまったく一線を画しており、まさに「アート」と呼ぶにふさわしいだけのレベルに達していると思う。
自分は現役時代、仕事柄テレビ局などに出入りすることも多かったのだが、旬のタレントや名前のある役者には、たいてい言葉では表現するのが難しい「オーラ」のようなものが出ていて、遠くからでもすぐにその存在がわかる。
スンタリー・ウェチャーノンもそうした「オーラ」をステージ上から発しており、それが彼女の歌を通して観客に伝わってきて、結果現在のような名声を得ているのではないだろうか。
カムムアン(北タイ方言、チェンマイ語)の歌がほとんどなので普通のタイ語ができても歌詞がよくわからないのが残念なのだが、それでも歌に込められた情感のようなものは十分伝わってきて、仮に鑑賞料を上乗せされたとしても一聴に値すると思う。
なお、彼女のCDやレストランで出している料理のレシピの載せた本などは、店内で販売しているのでお土産として入手することも可能だ。
また、日本のAmazonからMP3ファイルをダウンロードして聴くこともできる(記事最下部のリンク参照)。
店に行くなら帰りの足の確保は絶必
店は幹線ではない道路に面した郊外にあり、夜はほとんど車も通らないような状況になるので、もし行くのであればレンタルバイクやレンタカーなど自前の足を用意するか、最低でもGrabなどで足の確保ができることが絶対条件になる。
が、店の料理、そしてスンタリー・ウェチャーノンさんのステージはそうまでしても出向くだけの価値があることは間違いない。
親子ともどもテレビ出演などでクルンテープ(バンコク)に出かけることも結構あるらしく、この店の一番の売り物である彼女のステージが見られないこともあるので、もし行くつもりなら事前に電話でステージがあるかどうかを確認してからにしたほうがいいかもしれない。
営業時間は16時から23時半で年中無休となっている。
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