コットンで有名なラムプーン県パーサーン郡
チェンマイ盆地の南寄り、ラムプーン県パーサーン郡は昔から綿産業が盛んな地として知られている。
かつては郡庁所在地のパーサーンの街の中心部にはコットン製品を扱う店が軒を連ね、チェンマイ市内をはじめとするショップなどに運ぶのであろう商品の積み込みを行うピックアップトラックがたくさん止まっていたものだ。
その中心部は今ではかなりさびれてしまったが、だからといってパーサーン郡の綿産業そのものが衰退してしまったわけではない。
近年郡内で目立つのは、コットン製品を生産直売する小さな村々だ。
おそらく、OTOP(One Tambon(村) One Productの略で、タクシン元首相が日本の大分県を参考にして始めたタイ版の一村一品運動)の導入によって、以前はコットン製品を生産したら郡中心部の卸売り業者に売っていたのが直接販売に乗り出したのだろう。
また、経済的に豊かになったことで国内を旅行するタイ人が増加し、道の駅的な役割を担うそうした村に直接買い物に訪れるようになったことも大きいと思う。
郡内を走る大きな国道から少しはずれて小さな村に入っていくと、ソイ(路地)沿いにコットン製品を並べた家が並んでいるところが多く、このサイトで紹介している名刹「ワット・ノーングアック」のある村も、寺院の周辺にコットンを販売する店が数軒あったりする。
自分が訪れたことのあるそうした村々の中でとりわけ規模が大きく、チェンマイからわざわざショッピングに出向く価値があると思うのが、ここで紹介する「バーン(村)・ドーンルワン」だ。
販売しているのはアパレルがほとんどだが、チェンマイ市内の例えばナイトバザールや歩行者天国などで売っているのと同じようなものが安く買えるだけでなく、盆地郊外の田舎の村のノンビリとした雰囲気を楽しめるので、ぜひ日帰りで遊びに行ってみよう。
チェンマイから自動車で約1時間
バーン・ドーンルワンは、チェンマイ市内からだと直線距離でおよそ35km南南西にある。
距離的には、国道108号線をひたすら南に走り、トゥンシヤウの街を抜けてさらに進むと国道3035号線(116号線)との大きな交差点に出るので左折、7kmほど行くと国道106号線との交差点にぶつかるので左折すると、100mも行かないうちに英語併記の大きな村への案内看板が出ているので左折、狭い道を行くとすぐにコットンの店が現れ始める。
目指すべき村の中心部へは1.5kmある。
ただし、この道は全体的に殺風景でドライブしていて楽しくはない。
個人的なおすすめは、チェンマイ市内からヤーン(インドゴム)の巨木の並木が続く国道106号線をひたすら進み、ラムプーンの街を抜けてなお同じ国道を南下していく。
ラムプーンから20kmほどで国道116号線との交差点にぶつかるので、その100mほど手前にあるソイ(路地)を右折すれば村へと行き着く。
公共交通機関を利用するとなると、ラムプーン市内からリー行きのソンテウ(乗り合いピックアップトラック)を使えば国道106号線の村の入口までは来ることができるが、そこからは歩くしかなくおすすめしない。
村の中の道は狭くて車がすれ違うのも大変な場所もあったりするが、上記地図にあるワット(寺院)・ドーンルワンの前に車を止めることが可能だ。
連休の真っただ中でもなければ、間違いなくスペースは空いている。
まずはY字路右手の民家から見てみよう
コットン製品を売る店は、ワット(寺院)・ドーンルワンのすぐ西のY字路を中心に伸びるそれぞれの道沿い200mほどの距離の中にある。
寺院の前に車を止めたら、このY字路の方向に歩きだそう。
右角のちょっと奥まったところに古い民家が建っているが、そこには機織り機が置かれており、昔ながらのこの地域での綿布を作る様子をみることができる。
また、その脇にある東屋には木製の新しく作られたタイ語の地図が掲出されているので、村歩きの参考にするとよい。
Y字路の周りはこぎれいな店が多い
寺院のほうから来てY字路の向かいには、小さなショップが集まったこぎれいな建物がある。
その向かい、ワット(寺院)・ドーンルワンの側には、シルク製品なども扱うこの村ではたぶん一番高級で大きな店がある。
ポーチなどの小物も豊富なのでのぞいてみるといいと思う。
Y字路の先は右手のソイ(路地)に店が多い
寺院から来てY字路の先は左右両方の道沿いに店が並んでいるが、数が多いのは右手のソイ(路地)だ。
似たような商品を売っている店が多いので、時間がない場合はそちらを優先して見るのをおすすめする。
右手のソイ(路地)の入口右手には店が7~8軒集まった屋根のかかった路地がある。
そこから先200mほどに渡って、店が点在している。
中には卸専業なのか、中に商品をうず高く積み上げて梱包作業をしているような店もあるが、多くはハンガーに洋服をかけたりして小売りをしているので興味があるアイテムが見つかったら中に入ってみよう。
普通の民家を改造しているため、中には靴を脱がないと入れない店もあったりするのが面白い。
たいていの店は値段を掲示しており値引きに応じてくれるような雰囲気はない(というか値切るのが申し訳なくなるような価格だ)が、同じものを10枚とか数をまとめて買うのであれば値段交渉してみてもいいかもしれない。
なお、Y字路からこの右手の路地を50mほど行った左手にある英語のメニューを出しているカフェは、この村の女性と結婚して20年以上住んでいるというオランダ人(確か)の男性がやっていて、自分は行くといつも一休みしてお話をさせていただいている。
左手の路地は店が少ない
Y字路左手の路地は右手ほど店の数が多くなく、特に変わったものを売っているというわけでもないので、特に暑い時期は無理して歩かなくてもいいと思う。
寺院の向かいや東寄りにも店が並んでいる
最近になって、寺院からY字路とは反対方向の駐車スペースの先にも店ができ始めている。
また、道路をはさんだほぼ向かい側の少し奥まった場所にも店が並んでいて、ここにはちょっと高級なタイの公務員がよく着ているようなカチッとした服や刺繍が入ったバッグ類などを扱っている店があって、自分が見たバッグはチェンマイ市内の歩行者天国の店とまったく同じものを半額以下で売っていた。
小さな店が多く雰囲気もパッとしないが、興味があればのぞいてみよう。
ラムプーン観光と組み合わせて訪れるのもよい
このバーン・ドーンルワンのようなコットン製品を扱う村はパーサーン郡の中にはいくつもあり、国道を車で走っていると「OTOP」と書かれた案内看板を時々目にする。
自分もそれにつられていくつかの村に入って行ったことがあるが、どこも店が立ち並んでいるという感じではなくせいぜい数軒あるといった程度のことが多い。
また、中にはお金をかけて小さなタラート(市場)風の東屋を作っていたところもあるが、おそらく長続きしなかったのだろう、すっかりさびれてしまって打ち捨てられたようになってしまっているところもあった。
その点、バーン(村)・ドーンルワンは勝ち組と言っていいのだろう、数年前と比較すると行くたびに店の数も増え、買い物に来ている人も増え……といった感じの好循環に入っているように感じる
外国人が訪れることはまずなく英語もほとんど通じないが、観光地化していないノンビリしたチェンマイ盆地内の田舎の村で、コットン製品を市内よりも割安な価格で手に入れることができるので、その手のショッピングに興味がある人には特におすすめだ。
特に、古都ラムプーンへのデイトリップを計画している人は、市内から車で30分もかからずに来れるので、ぜひ寄り道してほしいと思う。
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