日本でも年末ジャンボ宝くじを買い求める人の行列をテレビニュースで見ることがあるが、チェンマイ(タイ)の庶民の宝くじ熱はその比ではない。
お詣りをした後で宝くじを買うというのはタイ人にとっては定番の行動で、特に有名な寺院の境内にはたくさんの宝くじ売りが出ているが普通だ。
毎月1日と16日に行われる当選番号の抽選会はテレビで中継され、その時間帯は車やバイクの通行量が減りタラート(市場)などの繁華街も人が少なくなる。
同じ番号の宝くじを何枚も買ってとんでもない高額当選をした人が出れば、テレビニュースでその人の顔がボカシもなく放送され、中にはその所有権利を巡って複数の人が争った挙句、裁判沙汰や警察に逮捕される人が出たりする。
ちなみに、タイでは高額当選したらまず警察に行き「その宝くじの券が自分のものである」旨証明書のようなものを作ってもらうらしく、その様子もテレビで見かけることがある。
日本ではおよそ想像もできない警察の使い方だが、おそらくその後証明書作成料という名のお礼金がたっぷり支払われるのだろう。
写真のように通常宝くじは番号が見えるように売られていて、日本の普通の宝くじとは異なり番号を選んで買うことができるので、次の回の当選番号を予想するのに尋常でない熱量を傾けるのも自分から見れば異様に思える。
例えば「どこどこで奇形の牛が生まれた」というニュースが流れればその身体に数字が出ていないか見るために大勢の人が押しかけ、「高僧の誰々が亡くなった」あるいは「親戚や友人の***が交通事故に遭った」と知ればその高僧の年齢や亡くなった日付、交通事故に遭った自動車やバイクのナンバーの宝くじを買い求めようとする。
そういえば、昔のチェンマイ(タイ)では「ヤミ宝くじ」が公営の宝くじと同じ、あるいはそれ以上に盛んだったのだが最近はあんまり聞かなくなった気がする。
自分はタイでも日本でも宝くじを買うことがないのでそれらの光景を何となく眺めているだけだが、先日友人の家に行ったところ3人ほどの男女が顔を突き合わせて何かを一生懸命見ていた。
聞いてみたら「宝くじの当選番号の予想本」だという。
今までそのようなものを見たことがなかったが、上記のような人々が宝くじにかける情熱を見ればそういう本があるのもさもありなん、という感じだ。
「どんな内容なのだろう」と思ってその攻略本を一緒にのぞきこんでいたら「見るなら貸してやるよ」と言うので興味本位で借りて来た。
表紙はこんな感じだ
タイ語以外に書かれているのはミャンマー語だろうか。
もしかしたら、向こうで作られた本を翻訳しているのかも。
ちょっと調べてみたところ、ミャンマーの宝くじ熱も相当なものなんだね。
しかし、表紙はなぜか欧米チックというかキリスト教風というか……羽をつけた天使のような女性からさまざまな国の紙幣がヒラヒラと舞い降りているのが何ともおかしい。
タイ語では「ナンスー(หนังสือ=本)・タムナーイファン(ทำนายฝัน=夢占い)」とタイトルがついていることから、見た夢から購入する宝くじの番号を決めるためのものらしい。
中を開いてみる
こちらもタイ語併記だが「後からちょっと付け足しました」感が出てるね。
見た夢がイラスト付きで書かれており、そこに3ケタの数字がふたつ並んでいる。
このふたつの数字にはそれぞれ意味がありそうに見えるのだが、ミャンマー語(?)が読めないのでさっぱりわからない。
タイ語だけ見ていれば、左は「刀を引き抜く」という夢を見たら743と221の宝くじを、右は「飼い葉桶」の夢を見たら744と231の宝くじを買え、ということになる。
何か、すごく具体的な夢だ(笑)
「これは夢の中身を読んでいるだけでも結構おもしろそうだ。何なら、これを参考に普段買うことがない宝くじを買ってみようかな」と思ってページをペラペラめくっていたら、ふと重要なことに気がついてしまった。
数字の順番に夢が並んでいて、見た夢から数字を検索できない!!
3ケタの数字なので、000から999まで全部で1,000も夢が並んでいる。
とてもその中から、自分が見た夢を探すことなんてできないよ。
何だかなあ……_| ̄|○
結局、そこでこの本を見るのはやめて2度と開くことはなかった。
これなら、まだ高僧が亡くなった日付や交通事故に遭った友人のバイクのナンバーの宝くじを買ったほうがいいんじゃないかっていう気がするよ。
それだって、普通の日本人からは「人の死や不幸を買う宝くじの番号に使うとは、何と不謹慎!」と怒られそうだが……
タイ暮らしが決まったら、日本の不用品は売ってしまいましょう!
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