街の西寄りにあるラジャ・プスタカ博物館を見た後は、たぶんこの街の最もメジャーな見どころであるカスナナン王宮(クラトン・スラカルタ)へと向かう。
この王宮は街の東寄りにあり、ぶらぶらと歩いて行けば着いて翌日でまだ地理や様子がよくわかっていないソロ(スラカルタ)の街を横断するので雰囲気とかもつかめるのではないか、という目論見だ。
歩いて行く、と言っても2.5kmほどしか離れていないので、どんなにのんびり歩いても1時間はかからないのだが。
カスナナン王宮(クラトン・スラカルタ)は、1745年に当時の王パクブウォノ2世がカルトスロからソロに遷都するにあたって建設されたが、1985の火災によって大部分が消失してしまい、内部の建物のその後再建されたものだそうだ。
その割には、建物の保存状態はあまりよくなく、かなり傷んだ個所が目についたが……
それでも、遷都した時に移植したという菩提樹の木やわざわざ運んだというオールド・ジャカルタにもう片方が残る神聖なニャイ・セトノという名のカノン砲などは王宮内に残っている。
王宮内で一番見どころとされている、1782年に建設されたパングン・ソンゴ・ブウォノという名の塔の上部では、年に1度だけススフナン(スルタン)が瞑想によって南の海の女王であるニャイ・ロロ・キドゥルと会っていたという言い伝えが残っているそうだが、中に入ることはできない。
というか、驚いたことにこの王宮には現在もなおススフナン(スルタン)が住居として使っているそうで、多くの場所が立ち入り禁止になっている。
そのため、ガイドブックなどには王宮そのものの説明が少なく博物館がメインで取り上げられていたりするのだが、個人的にここを訪れて一番印象的だったのは、王宮の手前にある道路だった。
高さが5mはあろうかという白くてそびえ立つように見える壁にはさまれた幅3mほどの狭い道路は、今は自動車やバイク、ベチャ(タイでいうサームロー)がせわしなく行きかっているが、王宮ができた当時はさぞかしその威厳を高めるのに役立ったのではないだろうか(もしかしたら敵の侵入を防ぐためだったのかもしれないが)。
そして、門を通り抜けると開放的な広場に出て、そのすぐ先には前述のパングン・ソンゴ・ブウォノの塔が見える。
そういう意味では、この王宮はかなり計算されたレイアウトになっているのかも。
このような高い壁に両脇を囲われた道、というのはタイでは(少なくともチェンマイでは)見たことがなく、個人的にはインドや中近東の雰囲気を漂わせているように感じた。
何か、「タイではない別の国に来たな~」という気分が一気に高まったこのカスナナン王宮(クラトン・スラカルタ)であった。
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