チェンマイで長期滞在生活(ロングステイ)をしようとすると、アパートやコンドミニアムなどの集合住宅に部屋を借りるのが普通だろう。
部屋に何か不都合があれば、管理事務所に頼めばたいていは解決するし、セキュリティー面でもある程度安全が確保されている。
しかし、特にタイ人がターゲットの集合住宅の場合、部屋での煮炊きが禁止されているところが多く、またもともと自炊できるようなスペースや設備がないケースが圧倒的だ。
最近では、初めから外国人をターゲットにしたキッチン付きの物件(そのかわり家賃は高い)も増えてきてはいるけどね。
自分も旅行者時代の長期間そうした集合住宅を借りていたのだが、2010年ごろからだろうか、タイ人の友人の名前でホンテウ(2~4階建ての細長い一軒家がいくつかくっついたタイ式のタウンハウス。1階を店舗にできるところが多い)を借りて、1階に友人一家を管理人がわりに住まわせ、2階を自分専用として使うようになった。
当然そいう建物では自由に調理ができ、また友人の奥さんが料理が得意ということもあって、滞在中はしばしば家庭料理を一緒に食べている。
その奥さんが、ある日「ガスコンロが壊れちゃったから、新しいのを買わなくちゃ」と言った。
「どこに買いに行くの?」と聞くと、「ガス用品屋よ」と言う。
これが「ビッグC(大型スーパーマーケットのひとつ)」とかいう答えだったらまったく関心を示さなかったのだが、ガス用品屋は今までに一度も行ったことがなく、これから先行く機会があるかどうかもわからない。
そうすると、がぜん好奇心が頭を持ち上げてきて、「一緒に連れて行ってくれ」と頼むと快くOKしてくれたのて、早速店に向かった。
着いたのは、 チェンマイ市内やや北部のラーチャパット大学の近くにある店だった。
パッと見には一体何を売っている店かわからないような雑然とした雰囲気で、最初はガス用品修理屋で中古のコンロを買うのかと思ったほどだ。
しかし、よくよく見てみると、ガスレンジがいくつもディスプレイされていたりして、ちゃんとした店であることがわかる(タイトル下の写真)。
しかしすごいのは、店内にプロパンガスボンベが無造作にゴロゴロと置かれていることだ。
中にガスが詰まっているのかは聞かなかったけれど、もし充填済みだったら(もしかしたら空でも)日本だったら絶対に法律違反だろう。
写真はないが、このボンベに直接取り付けるタイプのコンロも街のクエティオ(麺)屋などでよく見かける。
便利と言えば便利なのだが、事故とか起きないのだろうか……。
さて、友人の奥さんがどんなコンロを買うのか観察していたら、上の写真のように棚にきちんとディスプレイされているきれいなコンロ台には目もくれない。
そして、店の隅に積まれていた極めてシンプルなコンロを物色しその中の1台を選び出した。
なぜ、もっといいのを買わないのか聞いてみたら、「そういうのは見た目はいいけれどすぐに壊れる(特にガスの出る量を調節するレバー)し、壊れると修理も面倒なの。こういうシンプルなもののほうが手入れも簡単で長持ちするのよね。もし万が一壊れても、近所のちょっとした手間仕事をしてくれる人に頼めばすぐに直してくれるので結局得なのよ」と教えてくれた。
確かに、タイで見た目のよさにひかれて買ったのはいいけれど、すぐに壊れてしまったり、まったく使い物にならなかったり、という経験を自分も何回もしているなあ。
ともあれ、めったにできないであろうガス用品店での買い物を目いっぱい楽しんで、家路についたのだった。
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