発行:Within Books
ISBN:616-7156-03-3
価格:495THB
旅行で訪れる人、自分のような住んでいる人を問わず、チェンマイに関わるすべての人にとって最もおすすめできる最強ガイドブックだと個人的に思うのが、この「EXPLORING CHIANG MAI ~CITY,VALLEY & MOUNTAINS~」だ。
自分はもともと2002年に第3版を手に入れて愛用していたのだが、2013年におよそ10年ぶりに改訂されたた第4版がたぶん最新のものだ。
最新版が出てからでも、もう11年がたっているが、古さはまったく感じさせない。
第3版との比較、ということで言えば、本当に久しぶりの新版ということもあって、内容は大きく変わっている。
特に、地図が33点から48点と多くなりかつ詳細で見やすくなったこと、メーホンソーンやチェンラーイなど、チェンマイ県以外の場所もカバーするようになったところが一番の変更点だ。
オールカラーの全230ページ強というボリュームで、内容は大きく「Introduction To Lan Na」、「Chiang Mai City Sights」、「Touring Valley&Mountain」、「Living In Chiang Mai」に区分されている。
「Introduction To Lanna」ではチェンマイの歴史、人々と文化、祭りについて、古いモノクロ写真などを豊富に入れながら解説している。
マンラーイ王、チャオ・カーウィラ、サーラーピーと精霊崇拝、仏教などをコラムで説明し、チェンマイという街の歴史や文化について理解できるようコンパクトにまとめられている。
「Chiang Mai City Sights」は、チェンマイ市内中心部にある観光スポットを紹介しているこのガイドブックのハイライトだ。
旧市街の発展過程と門・城壁の構造、市内の寺院、ターペー門から東のピン川のエリア(このガイドブックでは新市街と称している)にコーナー分けし、たくさんの見どころを詳細に説明している。
圧巻は市内の寺院のコーナーで、あらかじめ寺院内にあるチェディ(仏塔)、ウィハーン(本堂)のパーツを詳細に解説(例えば、チェディの最上部は蓮のつぼみを象り、究極の解放を表しているとか)した上で、主要な寺院を17カ所、ワット・チェディルアン、ワット・プラシンなど一部主要寺院については斜め上空から寺院全体を見下ろしたスタイルの実にわかりやすいイラストつきで敷地内の各建造物について記載しており、これを見れば寺院を訪れた時に、より理解を深めながら見て回ることができるだろう。
さらに第4版では、これまでもあった「City Walks」と題されたお濠の中の旧市街の見どころ、ターペー通りからワローロット市場周辺を歩いて回るためのコースを示した地図が大きく、かつ色づかいがより見やすくなり、これがあればわざわざ独立した地図を購入する必要がないと思われるくらいよくできている。
「Touring Valley&Mountain」は、チェンマイ県内の地方部を6つのエリアに分け、それぞれに詳細なマップを付けた上で見どころを案内しているほか、今回新たに加えられたメーサリアンとその南部のビルマ(ミャンマー)国境地帯や近年外国人から高い人気を集めているパーイ、さらにメーホンソーン、チェンラーイ、ゴールデン・トライアングルなどのチェンマイから北のエリアの都市や見どころのガイドとなっている。
市内観光のコーナーと同様、「ドーイ・ステープとドーイ・プイへの登山道」、「タイのアジア象」、「首長族」といったコラムでさらに内容を掘り下げて本文をサポートしつつ、さまざまな見どころを掲載している。
コーナーの冒頭には、それぞれの場所へと向かうルートが複数紹介されているほか、数は少ないが宿泊、食事などの旅行情報も付記されており、かゆいところに手が届くというカンジだ。
プラーオやメーチェームなど、普通の旅行者ではまず地名すら知らない人がほとんどであろう街まで紹介されており、ここに載っているすべてのエリアをこのガイドブックを使ってじっくり回るとしたら、とても2週間でも足りないくらいだろうが、リピーターなら「次はどこに行こうか……」と色々計画を立てたりするのも楽しいだろう。
「Living In Chiang Mai」は生活情報ではなく、チェンマイの手工芸品とそれらを買い求めるためのショップ・ガイド、エリア別のレストランやパブ&バーなどのナイトライフ情報、ゴルフ場や料理教室、ホテルなどがイエローページ風に紹介されている。
レストランやホテルなどは非常にシンプルに書かれており、これだけでなかなかどこにするかを決めたりするのは難しいだろうが、麺屋台や食堂でのオーダーのしかたといった、タイを旅したことがある人なら誰でも一度は困ったことがあるような事柄をコラムとして取り上げており、チェンマイのみならずタイ旅行全体でも役に立つような情報もある。
地図だけで50点近く、写真やイラストはとても数え切れないほどが掲載されており、文章を含めてガイトブックとしてはもちろんのこと、日本に帰ってからもパラパラ眺めているだけで楽しくなったり、懐かしくなったり……「またチェンマイに行きたい!」という気持ちにさせる内容だ。
チェンマイ県とそれよりも西と北、ならびにラムプーン県の都市や観光スポットしか載っていないため、それ以外のタイ北部も旅行するという人にはロンリープラネットのTHAILANDのほうが使い勝手がよいが、チェンマイだけを観光する人、チェンマイをたびたび訪れるリピーター、そしてまた自分のようなチェンマイに住んでいる人にとっても、初めて知るようなことがきっと載っていることだろう。
繰り返しになるが、チェンマイに関わりのある人すべてにおすすめしたい最強の1冊だ。
コメント