いつから始めたのかは覚えていないのだが、誕生日の朝はお友達につきあってもらってお寺でタムブン(積徳行)をするのが習慣になっている。
行くのは、決まって市内北西部にある名刹ワット(寺院)・チェットヨートだ。
チェットヨートとは「7つの(チェット=เจ็ด)尖塔(ヨート=ยอด)」という意味で、もともとは西暦1477年に開催された第8回世界仏教会議のためにティロカラート王によって建立され、仏陀が悟りを開いた地として知られるインドのビハール州、ブッダガヤにあるマハーボーディ寺院をモデルしたとされる古いウィハーン(本堂)が有名だ。
ちなみに尖塔が7つあるのは、仏陀が悟りを開いたのち7週間をブッダガヤで過ごしたことに由来しているという。
お濠の中の旧市街にある寺院と較べると敷地が広く、観光客もそれほど多くないのでいつ行っても境内にはゆったりとした空気が流れており、自分が好きなお寺のひとつになっている。
もっとも、ここにタムブン(徳積行)しに行くようになったのは、前に住んでいた家からバイクで5分もかからないからなのだが(笑)
タムブン(徳積行)の当日=自分の誕生日は、朝早くにシャワーを浴びて身を清めてからまずはお友達の家に立ち寄った。
お友達の出かける準備が整うのを待つ間に、向かいにあるよろず屋でお布施を入れる封筒を買い、名前や必要な文言を書いてもらった。
これも毎年のことで、よろず屋のおじさんとは古い付き合いなので快く引き受けてもらえる。
自分は詳しくないのだが、誕生日のタムブン(徳積行)は書いてもらう文言が決まっているようだ。
そしてお友達とバイクに乗って、ワット・チェットヨートへ。
寺院の入口の向かいに出ている店で、お坊さんへのお供え物を購入する。
この手のお供え物は、縁起がいいようにたいてい1の位が9になった値段(199バーツとか、279バーツとか)がつけられている。
寺院の駐輪場にバイクを止めて、お友達に連れられてグティ(僧房)へと向かう。
ワット・チェットヨートには誕生日以外のタムブンにも来ることがあるのだが、その時々によって行く場所が違う。
お友達に連れられて行くので、どういう決まりになっているのかはまったくわからないのだが、今回はグティ(僧房)のようだ。
入口には英語で「靴を脱げ」と書いてあった。
扉が開いている部屋に入ると、かわいい先客がいた。
小さな女の子が、母親に連れられて誕生日のタムブンに来たようだ。
部屋の中には寺男がいて、待っている間に儀式のための準備をしてくれた。
改めて母娘の作法を眺めたら、新年や厄落としなどのほかのタムブンとはまた微妙に異なっているようだ。
まあ、多少間違ってもお坊さんはあまり細かなことは言わないし、途中で口頭で指示してくれるのであまり気にする必要はないのだが。
10分ほどで母娘のタムブン(徳積行)は終わり、自分の番になった。
お盆に乗せたお供え物、お布施の入った封筒、寺男が用意した線香と花のセットを自分の前に置く。
この後、お坊さんが封筒に書かれている自分の名前を読み上げたりしながらお祈りをしてくれる。
お友達にデジカメを預けて適当に写真を撮るように頼んでおいたのだが、なぜかピンボケばかりでここには載せることができなかった_| ̄|○
最後に、サイシン(お坊さんが白い聖紐を経を唱えながら腕に巻く)をしたらタムブン(徳積行)は終了だ。
タムブン(徳積行)が終わってそのまままっすぐ帰ってしまうのは味気ないので、寺院の名前の由来にもなっている古いウィハーン(本堂)を見学する。
壁のしっくいの浮き彫りの仏像が印象的だ。
上記の通りこの古いウィハーン(本堂)はインド・ブッダガヤのマハーボーディ寺院をモチーフに建立されたのは有名だけど、現地に行ったことがある人はわかると思うが実はぜんぜん形が違う。
ず~っと「何でだろう?」と思っていたのだが、どうやら間違った遠近法で描かれた小さな絵を元に建てたかららしい。
こちらの仏様にも、自分にとっての新しい1年がすばらしいものになりますように、気持ちを込めてお参りした。
これですべてが終了だ。
が、スマホの時計を見たら9時にもなっていない。
まだ少しひんやりした朝の空気を感じながらバイクに戻り、お友達と近くの食堂でクエティオ(米麺)の朝食を取ってから帰路についたのだった。
毎年お付き合いしてくれるお友達には感謝しかないなあ。
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